公開日:
データ活用ツールが現場に定着する3つの条件。必要なデータへすぐ届く業務環境のつくり方


- 1. データ活用の成果は、必要な数字へたどり着くまでの過程に表れる
- 2. データ活用ツールの定着は、必要なデータへすぐ届くことから始まる
- 2-1. 同じ「確認できる」でも、業務にかかる時間は異なる
- 2-2. データへたどり着く体験が、日々の利用習慣をつくる
- 3. 現場が求めているのは、業務に合う形で取り出せるデータ
- 3-1. 指標、粒度、切り口、加工方法が業務への使いやすさを決める
- 3-2. 業務で使えるデータを4つの観点から整理する
- 4. データ取得にかかる手間は、ツールの外側に追加の仕事を生む
- 4-1. Excelでの再集計や担当部署への依頼が発生している
- 4-2. 利用状況の評価に「答えを得るまでの時間」を加える
- 5. 現場で使われ続ける環境を、3つの順序で整える
- 5-1. 業務上の問いから、必要なデータを定義する
- 5-2. 必要な粒度と切り口で、自分で取り出せる環境をつくる
- 5-3. 更新速度と数字の整合性を運用で支える
- 6. データ活用ツールの利用実態と、現場が求める改善を詳しく知りたい方へ
1. データ活用の成果は、必要な数字へたどり着くまでの過程に表れる
近年、多くの企業でビジネスインテリジェンス(BI)ツールや社内データダッシュボードの導入が進んでいます。しかし、現場での「使いやすさ」は、ツールの多機能さだけで決まるものではありません。最も重要なのは、必要な数字を必要なタイミングで取り出し、実際の判断や報告に活用できるかどうかです。
データを探す、見やすい形に加工する、あるいは担当部署へ抽出を依頼するといった作業が続いていれば、いくら高度なツールを導入していても現場の業務は大きく変わりにくいのが実情です。本稿では、データ活用ツールが現場で使われ続ける環境づくりのポイントを、「アクセス」「業務への適合」「運用」の3つの観点から紐解いていきます。
2. データ活用ツールの定着は、必要なデータへすぐ届くことから始まる
2-1. 同じ「確認できる」でも、業務にかかる時間は異なる
まず、特定のツールに限らず、日々の業務全体において現場が必要なデータにアクセスできているかを見てみましょう。「業務で必要なデータや数字を、必要なタイミングで確認・把握できているか」という問いに対し、「すぐに確認・把握できている」と回答した層は43.8%、「時間や手間はかかるが、確認・把握できている」層は38.5%でした(Q1)。

ここで着目すべきは、データを最終的に「確認できているか」という結果だけでなく、確認までに必要な時間や作業量です。会議前の確認、顧客への回答、月次報告など、日々の業務においては「数字を取得するまでの時間」がその後の判断や対応のスピードに直結します。データ活用環境を評価する際には、「データを確認できるか」に加えて、「業務のタイミングに間に合うスピード感か」を問い直す必要があります。
2-2. データへたどり着く体験が、日々の利用習慣をつくる
次に、データへのアクセスとツールの利用との関係を見てみましょう。
業務で必要なデータに必要なタイミングでアクセスできず、業務に支障が出た経験を持つ方へ「それが原因でデータ活用ツールを利用する機会が減っていると思うか」と尋ねたところ、「非常にそう思う(19.3%)」「ややそう思う(57.9%)」を合わせ、7割以上(77.2%)がツールの利用機会が減っていると感じていました(Q8)。アクセスできない経験が、ツールの利用機会の減少につながっていると受け止められている様子がうかがえます。

ツールの利用を促す際には、操作方法の研修といった施策と併せて「必要なデータへ最短でたどり着くまでの導線」を整えることが不可欠です。現場が最初に開くツールになるためには、業務上の問いに対する答えを短時間で得られる状態が求められます。
3. 現場が求めているのは、業務に合う形で取り出せるデータ
3-1. 指標、粒度、切り口、加工方法が業務への使いやすさを決める
では、ツールを開いた現場は具体的にどのような壁に直面しているのでしょうか。
ツールを利用する上での困りごととして最も多く挙がったのは「欲しい形でデータを取り出し・加工できないこと(42.0%)」でした。次いで「業務で見たい指標やデータが載っていないこと(41.3%)」、「データの粒度が粗く、知りたい単位まで見られないこと(39.9%)」、「期間や部門など、見たい切り口に変更できないこと(39.9%)」が続きます(Q5)。

現場で「使える」データであるためには、単純にデータ量を増やすだけでは不十分です。利用者がどのような判断や報告を行うのかを把握し、表示内容や取得方法に反映させることが重要です。
3-2. 業務で使えるデータを4つの観点から整理する
ツールの表示内容や取得方法を検討する際は、現場の困りごとを「指標」「粒度」「切り口」「加工方法」の4つに分けて整理すると、確認すべき点が明確になります。
指標
売上、利益、案件数、在庫数など、判断に必要な数字が揃っているかを確認する。粒度
全社、部門、担当者、顧客、商品など、業務で必要な単位まで確認できるかを見る。切り口
期間、地域、商品群、顧客属性など、目的に応じて表示を変えられるかを確かめる。加工方法
集計、比較、絞り込み、出力など、次の作業へ進むための機能が揃っているかを確認する。
例えば「全社売上」の指標があっても、営業担当者が「顧客別」や「商品別」に見たい場合、業務で求める粒度と合いません。現場が行う判断から逆算して、必要なデータの形を設計することが利用定着の鍵となります。
4. データ取得にかかる手間は、ツールの外側に追加の仕事を生む
4-1. Excelでの再集計や担当部署への依頼が発生している
ツール内で必要なデータにアクセスしづらかった際、現場はどのように対応しているのでしょうか。
最も多い対応策は「Excelなどで自分で集計・加工する(61.4%)」でした。また、「担当部署にデータの抽出を依頼する(45.6%)」、「上司や同僚に口頭やチャットで聞く(36.8%)」、「過去の資料やレポートを流用する(36.0%)」といった属人的な対応も多く発生しています(Q7)。

つまり、ツールを導入していても、その外側で再集計、依頼、確認、過去資料の探索といった「見えない作業(追加の仕事)」が生じているのです。
4-2. 利用状況の評価に「答えを得るまでの時間」を加える
データ活用ツールの利用状況を測る際、ログイン数や閲覧回数だけを指標にしていないでしょうか。本当に評価すべきは、「業務上の答えを得るまでの時間」です。
Excelでの再集計や、担当部署へ依頼してデータが返ってくるまでの待機時間も含めて、データ取得から判断までの全体の流れを確認しましょう。これにより、現場に負担が生じている工程を特定しやすくなります。改善後は、データ取得時間や抽出依頼の件数がどう変化したかを継続的にモニタリングすることが大切です。
5. 現場で使われ続ける環境を、3つの順序で整える
ここまで見てきた課題を解消し、ツールを現場に定着させるためには、以下の3つの順序で環境を整えるアプローチが有効です。
5-1. 業務上の問いから、必要なデータを定義する
最初に、各部門が「どのような場面で、どのような判断を行っているか」を整理します。会議、顧客対応、予算管理など、利用場面ごとに必要な指標と更新頻度を定めます。現場へヒアリングを行う際は、「ツールに欲しい機能」を聞くのではなく、「現在どの資料を使い、どのような手作業の加工を行っているか」を確認しましょう。現在の業務手順を起点にすることで、真に必要なデータと画面構成が具体化します。
5-2. 必要な粒度と切り口で、自分で取り出せる環境をつくる
次に、利用者が業務で使う単位(部門、顧客、商品、期間など)を整理し、自分自身でデータを取り出せる環境を作ります。よく使う条件はダッシュボードとして標準で用意し、個別分析が必要な場面では利用者が自在に切り口を変更できるよう設計します。特に「担当部署への抽出依頼」が多い項目から優先して対応することで、双方の業務負担を大きく削減できます。
5-3. 更新速度と数字の整合性を運用で支える
最後に、システムの運用面です。ツールをより活用するために必要な改善点として、「データ更新の速さ(リアルタイム性)の向上(45.7%)」と「数字の正確さ・整合性の担保(43.3%)」が上位に挙がっています(Q9)。

データの更新頻度や管理部門、指標の定義を明確にし、「ツールの数字と別の資料の数字が合わない」といった混乱を防ぐルール作りが不可欠です。利用者からの要望を定期的に吸い上げ、指標や切り口を継続して見直す運用体制が、ツールの陳腐化を防ぎます。
6. データ活用ツールの利用実態と、現場が求める改善を詳しく知りたい方へ
本稿では、必要なデータへのアクセス実態、ツール外で生じている作業、そして環境改善の考え方を中心に解説しました。
本調査をまとめたホワイトペーパーでは、今回ご紹介した内容に加え、「職場での実際の利用状況」「利用頻度」「困りごとの発生頻度」「改善された際の業務貢献への期待」など、全10問の調査結果を掲載しています。
全ての結果を俯瞰することで、自社の課題が「利用頻度」にあるのか、「データの見せ方(粒度・切り口)」にあるのか、あるいは「運用体制」にあるのかを整理しやすくなります。社内でデータ活用環境の改善策を検討する際の参考資料として、ぜひご活用ください。

当サイトに掲載されている情報(記事、資料、動画、テンプレート等)については、その正確性および妥当性の確保に努めておりますが、ご利用に際しては、利用者ご自身の責任においてご判断ください。なお、個別の事情に応じては、専門家へのご相談を含め、適切な対応をご検討いただくことを推奨いたします。






























