公開日:
AWSにおけるデータレイクとは? Amazon Redshift、AWS GlueからSnowflake活用まで解説

本記事では、AWSにおけるデータレイクの基本的な考え方から、Amazon S3・AWS Glue・Amazon Redshiftを中心とした構成イメージを解説します。

- データレイクとは
- データレイクの基本的な考え方
- データウェアハウスとの違い
- なぜAWSでデータレイクを構築する企業が増えているのか
- データの種類・量が急増している背景
- オンプレミス型分析基盤の限界
- スモールスタートと拡張性が求められる理由
- AWSデータレイクを構成する主要サービス
- データ保存基盤としてのAmazon S3
- AWS Glueによるデータカタログ・ETLの役割
- Amazon Redshiftによる分析・可視化の位置づけ
- ISV・SaaS製品としてのデータレイク活用
- Snowflakeの基本的な特徴
- 自社構築とISV・SaaS活用の考え方
- AWS MarketplaceとCPPOの視点で考えるデータレイク調達
- データ基盤関連サービスをAWS Marketplaceで調達する意義
- ISV・SaaS製品の調達・契約管理の課題
- CPPO(Channel Partner Private Offer)を活用して調達を最適化する
- まとめ
データレイクとは
データレイクとは、構造化データだけでなく、ログや画像、CSV、JSONなど形式を問わず生データをそのまま蓄積できるデータ基盤の考え方です。事前に用途を限定せず、多様なデータを一元管理できる点が特徴で、近年は分析の高度化やAI活用を見据えた基盤として注目されています。
データレイクの基本的な考え方
データレイクの本質は、「まず貯める」ことを前提にした柔軟なデータ管理にあります。従来の分析基盤では、データを利用目的に合わせて整形・設計してから格納する必要がありましたが、データレイクではその工程を後回しすることが可能です。
生データのまま蓄積しておくことで、将来的に新しい分析軸や用途が生まれた場合でも、再取得や再加工の手間を抑えられます。また、機械学習や高度なデータ分析では、加工前の情報が重要になる場面も多く、データレイクはその土台として機能します。
AWSではAmazon S3を中心に、低コストかつ高い拡張性でデータレイクを構築できる点が、多くの企業に支持されています。
データウェアハウスとの違い
データレイクとデータウェアハウスは混同されがちですが、目的と設計思想が大きく異なります。
以下の表に主な違いを整理しました。
観点 | データレイク | データウェアハウス |
|---|---|---|
格納するデータ | 生データを含むあらゆる形式 | 整形・構造化済みデータ |
設計タイミング | 使うときに定義 | 格納前に定義 |
主な用途 | 探索的分析、AI・機械学習 | 定型レポート、BI分析 |
柔軟性 | 高い | 低め |
図1:データレイクとデータウェアハウスの比較イメージ

データウェアハウスは、経営指標や業務レポートなど、安定した分析に向いています。一方で、データレイクは用途が未確定なデータや将来活用を見据えた蓄積に強みがあります。
近年は両者を対立させるのではなく、データレイクに蓄積し、必要に応じてデータウェアハウスで活用するという役割分担が一般的です。
なぜAWSでデータレイクを構築する企業が増えているのか
データ活用の重要性が高まるなかで、分析対象となるデータの性質や量は大きく変化しています。従来の基盤では対応が難しくなり、柔軟性と拡張性を備えたAWS上でデータレイクを構築する企業が増えています。
データの種類・量が急増している背景
企業が扱うデータは、基幹システムの数値情報に限られません。Webアクセスログやアプリの操作履歴、IoTセンサーのデータ、画像や音声など、形式も生成頻度も異なるデータが日々蓄積されています。
こうしたデータは事前に用途を定めにくく、従来の前提設計型の分析基盤では取り込みや管理に手間がかかります。加えて、事業のデジタル化が進んだことでデータ量も急速に増加しました。将来の活用を見越した固定的な設計が難しくなり、柔軟に受け止められる基盤が求められています。
オンプレミス型分析基盤の限界
オンプレミス環境で分析基盤を運用する場合、サーバーやストレージの調達に時間とコストがかかります。需要の増減に応じた調整が難しく、ピークを想定した過剰投資や、想定外の負荷による性能低下が起こりやすくなります。
また、ハードウェアの更新や保守対応に工数を取られ、分析業務そのものに十分なリソースを割けないケースも少なくありません。利用部門やデータ量が増えるほど、拡張や改善のスピードが課題になります。
図2:データ活用の進化(オンプレミス vs AWS)

スモールスタートと拡張性が求められる理由
データ活用は、最初から全社規模の完成形を目指すよりも、小さく始めて成果を確認しながら広げていく進め方が現実的です。
AWSでは必要な分だけリソースを利用できるため、初期投資を抑えつつ検証を進められます。分析対象や利用部門が増えても、段階的に拡張できる点は大きな利点です。
新しいデータソースや分析手法が追加されても、基盤を作り直す必要はありません。変化の早いデータ活用の取り組みを支える土台として、AWSの拡張性が評価されています。
AWSデータレイクを構成する主要サービス
図3:AWSデータレイクの全体アーキテクチャ図

AWSでデータレイクを構築する場合、単一のサービスで全てを完結させるわけではありません。役割の異なる複数のマネージドサービスを組み合わせることで、柔軟性と拡張性を両立したデータ基盤を実現します。
ここでは中核となる主要サービスの位置づけを解説します。
データ保存基盤としてのAmazon S3
Amazon S3は、AWSデータレイクの基盤となるストレージです。構造化データに限らず、ログ、CSV、JSON、画像、音声など多様な形式のデータをそのまま保存できます。容量の上限を意識せずに使えるスケーラビリティと、長期保存に適したコスト構造が特徴です。
また、S3は単なる保管場所ではありません。ライフサイクル管理による自動的なストレージ階層の移行や、アクセス権限の制御、暗号化といった機能も備えています。データレイクでは、原データと加工後データを明確に分け、用途ごとに整理する設計が一般的です。こうした運用を支える土台としてS3が利用されています。
AWS Glueによるデータカタログ・ETLの役割
AWS Glueは、蓄積されたデータを分析に利用しやすい形へ整える役割を担っています。中核となるのはデータカタログ機能で、S3上のデータ構造やスキーマ情報を一元的に管理します。結果として、分析担当者はデータの所在や内容を把握しやすくなります。
さらにETL機能を活用すると、データの抽出・変換・ロード処理をマネージド環境で実行できます。サーバーの構築や運用を意識せずにジョブを定義できるため、データ加工の自動化が進みます。
Glueは、データ保存層と分析層をつなぐ橋渡し役として機能する位置づけです。
Amazon Redshiftによる分析・可視化の位置づけ
Amazon Redshiftは、データレイクに蓄積された情報を高速に分析するための基盤です。S3上のデータを直接参照できる仕組みを活用すれば、必要なデータだけを対象に分析できるでしょう。全てを事前に取り込む設計と比べ、柔軟な運用が可能です。
RedshiftはSQLによる分析やBIツールとの親和性が高く、定型レポートやダッシュボードの作成に向いています。探索的な分析はデータレイク側で行い、業務で利用する指標はRedshiftで安定的に可視化する、といった役割分担が一般的です。データレイク全体の出口として位置づけられる存在です。
ISV・SaaS製品としてのデータレイク活用
AWSでは自社構築によるデータレイクだけでなく、ISVやSaaS製品を活用する選択肢もあります。代表例はSnowflakeなどのSaaS型データ基盤です。
ここでは、Snowflakeの特徴を整理した上で、AWSネイティブ構成との違い、自社構築とSaaS活用をどう考えるべきかを見ていきましょう。
Snowflakeの基本的な特徴
Snowflakeは、クラウドネイティブなSaaS型データプラットフォームです。インフラ管理を意識せずに利用でき、ストレージとコンピュートが分離された構成を採用しています。そのため、処理性能とコストを用途ごとに調整しやすい点が特徴です。
また、データの取り込みから分析、共有までを一つのサービスで完結できる設計になっており、初期構築の手間を抑えられます。SQLベースで操作できるため、既存の分析スキルをいかしやすい点も評価されています。
自社構築とISV・SaaS活用の考え方
自社構築とSaaS活用は、優劣で判断するものではありません。
以下の観点で整理すると判断しやすくなります。
観点 | 自社構築(AWSネイティブ) | SaaS活用 |
|---|---|---|
要件の独自性 | 高い | 低〜中 |
運用体制 | 社内に必要 | 最小限 |
初期スピード | やや遅い | 速い |
長期的な拡張 | 柔軟 | 制約あり |
分析要件が比較的シンプルで、早期に成果を出したい場合はSaaSが向いています。一方、複数システムとの連携や独自ルールを組み込みたい場合は、自社構築の方が適しています。
実際には、データレイクはAWSで構築し、分析用途の一部にSaaSを組み合わせるハイブリッド構成も多く採用されています。
AWS MarketplaceとCPPOの視点で考えるデータレイク調達
データレイクは構築して終わりではなく、継続的な利用とコスト管理まで含めて設計する必要があります。AWSでは、Marketplaceを通じたISV・SaaS製品の調達が普及しており、購入の容易さや請求の扱い方も重要な検討要素になります。
ここでは、AWS Marketplaceを活用する意義と、調達・管理面で生じやすい課題を整理した上で、CPPOを利用することによる調達の最適化方法を整理しましょう。
データ基盤関連サービスをAWS Marketplaceで調達する意義
AWS Marketplaceを利用すると、データ基盤に関連するISVやSaaS製品をAWSアカウント経由で調達できます。請求がAWS利用料と一本化されるため、コストの可視化や管理がしやすくなるでしょう。個別に契約や支払いを行う場合と比べ、経理処理や管理工数を抑えられる点が特徴です。
また、Marketplace経由の製品はAWS環境との連携を前提に設計されているケースが多く、導入時の技術的な親和性も高くなります。試験導入から本格利用への移行もスムーズに進めやすく、データレイク周辺の機能拡張を段階的に行う際に有効です。
調達と技術の両面でメリットが得られる点が評価されています。
ISV・SaaS製品の調達・契約管理の課題
一方で、ISVやSaaS製品の利用が増えると、契約形態やコスト構造が複雑になりがちです。利用量に応じた従量課金や、ユーザー数ベースの料金体系が混在すると、予算管理が難しくなります。利用実態を把握しないまま契約を継続してしまい、想定以上のコストが発生するケースも少なくありません。
さらに、部門単位で個別に導入が進むと、同種のツールが乱立し、全体最適が崩れるリスクがあります。技術的な観点だけでなく、契約期間や請求単位といった調達面の整理が不十分なまま運用が続くことも課題です。
データレイクは長期利用が前提となるため、初期段階から管理方法を意識する必要があります。
CPPO(Channel Partner Private Offer)を活用して調達を最適化する
CPPO(Channel Partner Private Offer)は、AWS Marketplaceにおける購入方法の一つで、チャネルパートナーが顧客ごとに価格や契約条件を提示した上で製品を提供できる仕組みです。Marketplace経由で調達しつつ、チャネルパートナーを介することで、価格面でのメリットに加え、導入時の設計支援や保守・運用に関する技術サポートを受けられる点が特徴です。
CPPOを活用することで、SaaSやISV製品の導入を単なる購買にとどめず、自社の利用環境や体制に合わせた形で進めやすくなります。特にデータレイク周辺のサービスでは、構成や将来的な拡張を見据えながら、適切な製品選定や導入支援を受けられる点が大きなメリットです。
技術面と調達面を切り離さず、チャネルパートナーの知見を活用しながら導入を進めることで、安定したクラウド・データ基盤の運用につなげやすくなります。
まとめ
AWSにおけるデータレイクは、単なるデータ保存基盤ではなく、将来の分析や活用を見据えた柔軟な土台として位置づけられます。Amazon S3を中心に、AWS GlueやAmazon Redshiftを組み合わせることで、自社要件に合わせた拡張性の高い構成が可能になります。
一方で、SnowflakeのようなSaaS型データ基盤を活用すれば、構築や運用の負担を抑えた導入も選択肢に入ります。重要なのは、技術だけでなく、調達やコスト管理まで含めて全体を設計することです。
AWS MarketplaceやCPPOの考え方を取り入れることで、データレイクを長期的に活用できる基盤として安定させやすくなります。

当サイトに掲載されている情報(記事、資料、動画、テンプレート等)については、その正確性および妥当性の確保に努めておりますが、ご利用に際しては、利用者ご自身の責任においてご判断ください。なお、個別の事情に応じては、専門家へのご相談を含め、適切な対応をご検討いただくことを推奨いたします。






























