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データ活用成功の秘訣は「スモールスタート」にあり|データ活用・AI活用を成果につなげる現実解とは

データ&アナリティクス

公開日:2026.01.21

データ活用成功の秘訣は「スモールスタート」にあり|データ活用・AI活用を成果につなげる現実解とは

    データ活用成功の秘訣は「スモールスタート」にあり|データ活用・AI活用を成果につなげる現実解とは

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    企業によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが活発化するなか、データの有効活用、あるいはAIの有効活用を支える基盤、つまりはデータを整備することの重要性が以前にも増して高まっています。というのも、例えば、AIの知性やアウトプット品質を高めるうえでは、AIに学習・参照させるデータの品質や鮮度を適切に保つことが不可欠だからです。ただ、日々生成される大量のデータの品質・鮮度を高いレベルで担保するのは簡単ではなく、その難度の高さがデータやAIの有効活用を阻害することがあります。そんな課題があるなかで、データの活用、あるいはAI活用を成功へと導くには何をどうすれば良いのでしょうか。そのポイントを整理して紹介します。

    1. データの整備がなぜ重要なのか

    企業は古くから、日々のビジネス活動や業務システムを通じて生成されるデータを、業務の効率化や生産性向上、あるいは意思決定の精度向上に生かそうと取り組んできました。そうしたデータ活用の手段は年代ごとに変化・進化し、現代において最も先進的で革新的なデータ活用の手段がAIであるといえます。

    そのAIの活用を実質的な成果につなげるためには、AIの知性やアウトプットの土台であるデータの整備を進める必要があります。

    そうしたデータ整備の重要性はかねてより指摘されてきました。

    例えば、デジタル庁が2023年6月9日に公表した「デジタル社会の実現に向けた重点計画(*1)」では「AI活用及びデータ戦略の推進」が掲げられ、そのなかでデータを整備することの重要性が以下のように記載されています。


    *1 参考:デジタル庁「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(2023年版)https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/5ecac8cc-50f1-4168-b989-2bcaabffe870/b24ac613/20230609_policies_priority_outline_05.pdf

    「デジタル化の急速な進展・高度化が進むなか、データは知恵・価値・競争力の源泉・創造の基盤であり、データスペースや生成 AI の急速な普及等の新たな動きがデータの生み出す付加価値をさらに飛躍的に高めている」

    「このため、多様で質が高く十分な量のデータを簡単かつ安全に信頼して活用できる環境を実現し、我が国が社会課題を解決し、世界と協調しつつ、国際競争力を維持・向上させるため、データ整備から知識化、AI 活用まで一貫したデータ戦略が必要」

    また、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)も「AIのためのデータ環境整備(*2)」と呼ばれるガイドのなかで「AIシステムが正しく機能するためには、十分な量と質が確保されたデータを供給する必要があります」と指摘しています。


    *2 参考:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「AIのためのデータ環境整備」https://www.ipa.go.jp/digital/ai/data.html

    ここでいう「質の高いデータ」とは、正確、かつ最新であり、抜け漏れやバイアスのないデータを指しています。このようなデータをAIの学習や参照の対象にすることで、AIによるアウトプットを良質化できるというわけです。

    2. 日本企業におけるデータ活用・整備の状況と課題

    では、日本企業におけるデータの活用と、それに向けたデータの整備はどのような状況にあるのでしょうか。

    情報処理推進機構(IPA)が取りまとめた調査レポート「DX動向2025」によると、データを「全社で利活用している」「事業部門・部署ごとに利活用している」と答えた日本企業の割合は60.2%と、米国企業と同水準にあるといいます。

    2024年度の日本企業におけるデータ利活用状況の割合を示す横棒グラフ

    図1:日本企業によるデータ利活用の状況(2025年度)

    出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「DX動向 2025」のデータを基に作成(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2025.html)

    とはいえ、データの利活用ができていない企業も相当数あり、その背後にはデータの有効活用に向けた(データの)整備・管理・流通の課題があるといえます。

    「DX動向2025」によると、データの整備・管理・流通を巡る課題のトップ5は「人材の確保が難しい」「データ管理システムが整備されていない」「全社的なデータ利活用の方針や文化がない」「予算の確保が難しい」「既存システムがデータの利活用に対応できていない」といった点であるようです。

    日本企業のデータ整備・管理・流通を巡る課題トップ5を示す棒グラフ。人材確保の難しさが最大の課題

    図2:2024年度における日本企業のデータ整備・管理・流通を巡る課題トップ5(複数回答)

    出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「DX動向 2025」のデータを基に作成(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2025.html)

    ちなみに、AIに関しても、導入を巡る主要な課題として「人材の不足(AI に関連する人材が不足している)」や「データ整備の難しさ(学習データの整備が困難である)」といった問題が挙げられています。

    AI導入を巡る日本企業の課題トップ5を示す棒グラフ。AI関連人材の不足が最上位

    図3:AI導入を巡る日本企業の課題トップ5(2023年度)

    出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「DX動向 2024」を基に作成(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2024.html)

     

    このように、AIの導入など、データの有効活用を促進するうえでは「人材不足」や「データ整備の難しさ」といった課題を乗り越える必要があります。以下では、この2つの課題に焦点を絞り、解決の方策について見ていきます。

    3.「人材不足」の問題を乗り越えるには

    データ活用・AI活用を巡る「人材不足」は、解決がかなり難しい問題です。

    特に近年では、日本全体においてデータやAIの利活用をリードできる人材が不足気味で、IT企業ではない一般の事業会社が、そうした人材を雇用によって確保する難度は相当高くなっています。

    ゆえに今日では、IT企業との協業や、IT企業からの伴走支援を受けてデータ活用やAI活用の取り組みを進めるケースが増えています。

    もっとも、どのようなデータをどう分析すると、自社のビジネス、業務にとって有効な知見や洞察が得られるかは、その会社のビジネス、業務に関して一定の経験・知見がないとわからないことがあります。

    例えば、何らかのビジネス上の問題に突き当たり、その原因を突き止めるべくデータ分析ツール(以下、BIツール)やAIを使った仮説/検証を行うとします。

    そのような場合、当該のビジネスに関する知見がなければ、有効な仮説(=「問題の原因はここにありそうだ」といった仮説)を立てることはできません。結果として、どのデータをチェックすべきかの「あたり」もなかなかつけられず、分析を効率的に進めることが難しくなります。

    さらに、ビジネス、業務に関する知見がないと、AIに何をさせると業務の効率化につながるかを特定するのも難しくなります。同様に「AIから目的のアウトプットを得るために、どのようなデータを使うべきか」「AIによるアウトプットが本当に正しいかどうか」も適切に判断できないといえます。

    ゆえに、データ活用・AI活用のプロジェクトには、自社のビジネス、あるいは業務に精通した現場の人員を巻き込む必要が出てきます。また、そうすることはデータ活用・AI活用を巡る人材不足を解消する有効な一手となりえます。とりわけ、巻き込む対象がデータの価値を認識し、データドリブンの思想に共感できる人員ならば、データ活用・AI活用の推進力として活躍してくれる可能性が大きいといえるでしょう。

    4.「データの整備」はなぜ困難なのか

    次に、データ活用・AI活用を巡るもう1つの課題「データ整備の難しさ」を乗り越える方策について見ていきます。

    そもそも、なぜデータの整備が難しいかといえば、この問題には「データ分析用のシステム(=データ分析基盤 *3)をどう構築するか」という技術的な課題と、データの整備に向けて「業務プロセス、ルール、体制をどう整えるか」という組織的な課題が絡んでくるからです。


    *3 データ分析基盤:さまざまなシステム(データソース)からデータを収集して蓄積し、それを分析に適したかたちに加工し、分析・活用するための基盤を指す。

    例えば、AIを活用して、顧客(法人顧客)への販売実績を集計して顧客ごとの売上げ傾向をとらえ、その将来予測を立てようとしたとします。

    AIを使うことで、このような仕組みは簡単に実現できるように思えますが、実はそうではありません。とりわけ、部門単位で顧客データを管理し、運用している場合、部門ごとに「顧客名の表記ルールが異なる」「顧客名の変更を部門内データに反映させるタイミングが違う」「販売実績やフォーキャストを入力するタイミングが違う」といった不統一が起きていることがよくあります。

    このような場合、AIによる部門横断での顧客データの集計、分析が困難になり、仮にそれを行おうとすると、顧客データに統一性・一貫性を持たせるための作業に多大な手間と時間をとられる可能性があります。

    そうした問題が起きないようにするには、顧客データの持ち方、ならびに保守・運用管理のルールを全社で統一し、データの品質・一貫性を担保するためのプロセスや体制を整えなければなりません。

    また、例えば、リース会社や不動産会社が、与信判断の効率化・自動化にAIを使おうとしたとしましょう。この場合、与信の最終判断に至るまでの検討過程がすべてデータ化されていて、AIが学習・参照できる状態にないと、AIによる与信判断の精度を高めることが難しくなります。したがって、与信プロセスにおけるすべての記録をデータとして残すよう、業務の在り方を変更し、標準化する必要があります。

    5. 成果を上げる現実解「スモールスタート」の効用とは

    以上のように、AIを何の目的で使うかによって、どのようなデータをAIに提供すべきかが決まり、その実現に向けてデータ分析基盤をどう構築するかや、業務のプロセス、ルール、体制をどう整えるかが決まります。またそれは、AIの活用のみならず、データ活用全般について同様にいえることです。

    それゆえに、データ活用・AI活用の目的やテーマを明確に定めずに取り組みを始めてしまうと、プロジェクトが「PoC(概念検証)止まり」で終わってしまったり、実質的な成果が一向に上げられなかったりします。

    そうした事態を避けるための一手が、データ活用やAI活用のテーマと対象業務を1つに絞り込み「スモールスタート」で取り組みを始動させることです。

    スモールスタートのアプローチでは、絞り込んだテーマに沿って、必要最低限の機能を備えたプロトタイプ的なデータ分析基盤を構築し、その試験的な活用を進めながら、データの過不足や品質を確認して、データの整備に必要な施策を洗い出し、講じていきます。

    具体的には、データの品質に問題があれば、表記ゆれの統一といったクレンジング処理を行ったり、分析に必要なデータがどこにあるかがわからない場合は、その調査を実施して見つけ出したりといったかたちです。さらに併せて、分析に必要なデータやデータの品質を確保するために、業務プロセス、ルール、体制の変更が必要であれば、それも実施します。

    このようにしてデータ活用・AI活用を推し進め、小さな成功例をつくります。それをもとに、他部門をプロジェクトに巻き込み、取り組みをスケールアウトしていくことで、企業全体のデータ活用、AI活用の成功率を高めることが可能になります。

    6. スモールスタート成功のポイント

    実のところ、スモールスタートが必ず成功するとは限りません。成功には戦略的なアプローチが必要であり、そのポイントは以下の3点にまとめることができます。

    ①何から始めるかを慎重に見定める:

    スモールスタートの試みでは、何から取り組みを始めるかを慎重に吟味する必要があります。そうしたデータ活用・AI活用のテーマ、あるいは対象業務の優先順位は「効果の大きさ」と「実現難易度」の2軸から見定めることができます。このうち、実現難易度については、技術的な実現可能性だけでなく、組織的な実現可能性も考慮に入れることが大切です。

    例えば、ある企業(仮にA社とします)では、情報システム部門が中心となってデータ活用のプロジェクトを始動させ、その最初のテーマとして、経営管理レポーティングの高度化や精度向上を設定し、取り組みをスモールスタートしました。

    ところが、情報システム部門と経営管理チームとのつながりが薄かったことから、取り組みが分析ツールを表計算ソフトからBIツールに置き換えただけで終わり、大きな成果を上げるまでに至りませんでした。その反省からA社では、データ活用のテーマを生産現場の課題解決へと切り替えて、情報システム部門と関係の深い部署を対象に業務の流れや課題を丁寧にヒアリングしていきました。これにより、データ活用を生産現場が抱えている課題の解決へとつなげることに成功したのです。また、その成功を軸に周囲を巻き込み、取り組みを横展開させています。

    ②成果をクイックに出す:

    スモールスタートの試みでは、成果をクイックに上げることも大切です。そして、その成果を社内に広く伝え、他部門をプロジェクトに巻き込んでいきます。

    ③成功見込みの高そうな部門をプロジェクトに巻き込む:

    他部門をプロジェクトに巻き込む際には、成功見込みの高い部門を選ぶことも大切です。また、データ活用・AI活用の効果やデータ分析基盤を整備する方法やノウハウなどを資料化しておくと、他部門を説得しやすくなります。

    7. データ分析基盤の整備も段階的に

    データ活用・AI活用の取り組みと同じく、データ分析基盤の整備もスモールスタートの考え方に則り、小さく始めて、段階的に扱うデータや基盤の機能を拡張していくことが成功の近道となります。

    データ分析基盤は、データの収集・蓄積・加工・分析の機能を提供する仕組みですが、データ活用・AI活用のプロジェクトを始動させる段階では、データを収集し、蓄積する機能に限定して基盤を構築します。併せて、必要最低限のデータガバナンスの原則を定義し、かつ、自社のなかで協力してくれる部門を探し当て、データ活用・AI活用に関するテーマを検討して決定します。

    テーマを決めて収集するデータを確定させたのちには、データ分析基盤の構築を本格化させ、収集・蓄積・加工の自動化などを実現していきます。また、扱うデータの種類が多くなることを想定して、データカタログの機能(*4)なども追加し、さらに分析・可視化の自動化などの機能も実装していきます。


    *4 データカタログ:企業内のデータを、メタデータ(データに関するデータ)によって整理して、社内のどこに、どのようなデータがあるかを可視化する仕組みを指す。

    8. IT企業による伴走支援という選択肢

    スモールスタートは、データ活用・AI活用で成果を上げるための有効な手法ですが、それでもなすべきことは多く、一般の事業会社が独力ですべての作業をカバーするのは大変です。そこで、先にも触れたようにIT企業と協業する、あるいはIT企業の伴走支援を受けるという選択肢が浮上してくることになります。

    その観点からCTCでは、お客様によるデータ活用の取り組みを伴走型で包括的に支援するサービス「D-Native」を提供しています。

    これは、お客様の課題の整理から、ベストプラクティスにもとづくデータ活用の構想策定、データ分析基盤の設計・構築、AIシステムの開発、データ活用・AI活用の推進やデータ整備を担う組織のデザイン、さらにはデータ活用・AI活用の組織への定着に至るまでを、伴走型でサポートするサービスです。「データ活用・AI活用にこれから取り組みたい」「データ活用・AI活用を本格化させたい」「データドリブンの文化を社内に定着させたい」など、お客様の多様なニーズ、お困りごとに対応いたします。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

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    執筆者情報

    Key Technology(Keys)編集部

    Key Technology (Keys)編集部は、CTCが注力する「高度AI」「データ&アナリティクス」「クラウドネイティブ」「セキュリティ」を中心とした最先端テクノロジーの情報発信を担う編集チームです。技術動向や活用事例、サービス情報をわかりやすく届け、ビジネス変革に挑む企業の意思決定や実行をサポートします。

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