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どう築く?「AI-Ready」なデータ基盤│AI×データで企業価値を高めるための方策

データ&アナリティクス

公開日:2026.04.02

更新日:2026.04.09

どう築く?「AI-Ready」なデータ基盤│AI×データで企業価値を高めるための方策

    どう築く?「AI-Ready」なデータ基盤│AI×データで企業価値を高めるための方策

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    生成AIの登場を契機に、多くの企業がAIの活用に乗り出しています。しかし、生成AIを導入しても、なかなか期待した成果を上げられないことがあります。その原因の一つとして挙げられるのは、企業がまだ「AI-Ready」の状態になっていないことです。AI-Readyの状態とは、生成AIを有効活用するための土台が整えられていることを意味します。それを実現するうえで重要なポイントになるのは、生成AIによる出力の品質、あるいは精度を決定づける「データ基盤」の整備です。本稿では、AI活用を巡る企業の課題を明らかにするとともに、AI-Readyなデータ基盤の要件について紹介します。
    企業のAI活用を支える データ基盤整備の実態と課題に関する調査-s

    1. 日本企業におけるAI活用の動向と課題

    生成AIブームの火付け役となった「ChatGPT」が2022年11月30日に公開されて以降、日本を含む各国の企業の間で業務の変革に生成AIを取り入れようとする動きが活発化しています。

    ただし、企業による生成AIの導入ペースは国によって異なります。独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の調査レポート「DX動向2025」によると、生成AIについて前向きな取り組みをしている企業の割合(「導入している」「現在、試験利用をしている」「利用に向けて検討を進めている」の割合の合計)は、米国では8割弱、ドイツでは7割弱となっていますが、日本では5割弱に留まっているといいます(図1)。

    図1:生成AIの導入状況(国別)

    図1:生成AIの導入状況(国別)
    出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「DX動向2025」(2025年7月9日発行)のデータを基に作成

    では、日本企業が生成AI活用に消極的になる理由はどこにあるのでしょうか。

    DX動向2025によると、生成AI活用を巡る課題として、多くの日本企業が「適切な利用を管理するためのルールや基準の作成が難しい」と回答したといいます。また、日本の場合、「(生成AIによる)誤った回答を信じて業務に利用してしまう」「生成AIを活用できそうな業務がない」といった点を課題として挙げる企業も多く、その比率は米国やドイツに比べて高い傾向にあるようです(図2)。

    図2:生成AIを業務で活用するうえでの課題(国別)

    図2:生成AIを業務で活用するうえでの課題(国別)
    出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「DX動向2025」(2025年7月9日発行)のデータを基に作成

    2. AI-Readyな企業になるためのステップ

    もう一つの要因として、生成AIの有効活用を阻む要因として考えられるのが、データ基盤の不整備です。

    例えば、一般社団法人 日本経済団体連合会(以下、経団連)では「AI-Ready化ガイドライン(*1)」において「AIやデータを使いこなせるAI-Readyな企業に変化」し、「すべての事業でAIを活用し、企業、業界を刷新」することの重要性を説き、そのうえで企業におけるAI-Ready化の成熟度を以下の5段階に分けて提示しています。

    レベル① AI-Ready化着手前:AIの方法論の議論が先行し、AI×データを活用した事業運営・刷新・創造は未着手

    レベル② AI-Ready化の初期段階:AI活用についてスモールスタートで経験を積む。一部の簡易業務のAI化も専門家の力を借りつつ着手開始

    レベル③ AI-Ready化を進行:既存の業務フローのAI×データ化による自動化に目途がつく。戦略的なAI活用も開始する

    レベル④ AI-Ready化からAI-Powered化への展開:AI×データによって企業価値を向上。コア事業における価値を生むドライバーとしてAIを活用

    レベル⑤ AI-Powered企業として確立・影響力発揮:すべての事業・企業がAI×データ化し、業界そのものの本質的な刷新(disruption)を仕掛けている。

    ここで注目すべきは、AI-Ready化の取り組みの根幹をなすものとして「AI×データ」(=AIによるデータの有効活用)が位置づけられている点です。

    AIによるデータの有効活用を実現するには、そのための「データ基盤」が整備されていることが条件となります。つまり、AI-Ready、あるいはAIによって企業価値を向上させられるような「AI-Powered」な企業を目指すうえでは、データ基盤の整備が必須になるということです。

    実際、経団連のAI-Ready化ガイドでは、例えば「レベル③AI-Ready化を進行」の段階において分析系のデータ基盤構築がスタートを切り、次の段階である「レベル④AI-Ready化からAI-Powered化への展開」において、業務システムと分析システムのシームレスな連携が実現され、大半の業務データがリアルタイムに近いかたちで分析が可能な状態に置かれることを想定しています。さらに最終段階の「レベル⑤AI-Powered企業として確立・影響力発揮」の段階では、リアル空間も含めすべてがデータ化され、リアルタイムに活用できることを想定しています。


    *1 一般社団法人 日本経済団体連合会「AI-Ready化ガイドライン」

    3. AI-Ready化に向けたデータ基盤整備の現在地

    では、実際のレベルはどうなのでしょうか。日本企業におけるAI活用を支えるデータ基盤の構築は、どの程度まで進んでいるのでしょうか。

    その答えを探るべく、CTCでは年商1,000億円以上の大手企業を対象にして2025年11月に「企業のAI活用を支えるデータ基盤整備の実態と課題に関する調査」を実施しました。その結果、「AI活用に向けたデータ基盤の整備が十分にできている」と答えた回答者は全体(*2)の4分の1以下(24.3%)に留まっていることがわかりました(図3)。

    図3:日本企業におけるAI活用に向けたデータ基盤整備の状況

    図3:日本企業におけるAI活用に向けたデータ基盤整備の状況
    出典:CTC「企業のAI活用を支えるデータ基盤整備の実態と課題に関する調査」のデータを基に作成

    先に触れたDX動向2025のデータを見ると、企業規模が大きくなればなるほど生成AIの導入に積極的で、従業員数が1,001人以上になると、生成AIに対して前向きな取り組みをしている企業の割合が85.1%に上っています(図4)。

    図4:企業規模別の生成AI導入状況

    図4:企業規模別の生成AI導入状況
    出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「DX動向2025」(2025年7月9日発行)のデータを基に作成

    このデータと、先にご紹介したCTCの調査結果を併せて考えると、生成AIの導入にきわめて積極的な大手企業においても、データ基盤の整備に関しては十分といえない状況にあると見ることができます。ゆえに、より規模の小さい企業では、AI活用に向けたデータ基盤の整備がさらに進んでいないことが想像できます。


    *2 有効回答者数:202名/回答者の属性:年商1,000億円以上の企業に勤務し、AI活用またはデータ活用に関わる責任者・担当者・決裁者、あるいは企画立案・推進を行っている人員

    4. AI-Readyなデータ基盤の要件

    AI活用に向けたデータ基盤の整備、言い換えれば「AI-Readyなデータ基盤」の整備がなかなか進まない要因の一つとして、取り組みの難度の高さが挙げられるでしょう。実際、先に紹介した経団連の想定などを踏まえつつ、AI-Readyなデータ基盤に何が必要とされるかを考えていくと、以下に示すような要件を満たすことが必要になるといえます。それを実現するのは簡単なことではなく、適切なソリューションを選択することが必要とされます。

    4-1. 多様なデータの統合と一元管理

    AIに学習・利用させるべきデータが社内の各所に散在し、それぞれがサイロの状態に置かれているのは、AI-Readyな環境とはいえません。というのも、データの散在・サイロ化は、AIとデータ(を管理している各システム)との連携を複雑化させたり、AIに学習・利用させるべきデータが見えない状況を生んだりするからです。

    ゆえに、サイロ化したデータを一つにまとめ上げ、必要なときにすぐ取り出せるようなデータ管理システムの構築が必要になります。このシステムで扱うことになるデータは大きく4種類に分けられます。一つは、表計算ソフトのスプレッドシートやSQLデータベースのテーブルなどで管理される「構造化データ」であり、二つ目は、テキストや画像、音声、動画などの「非構造化データ」。そして、三つ目が、HTMLやメールなどのタグやマークアップで一部構造化された「半構造化データ」であり、最後の四つ目が、テキスト、画像、音声、動画、センサー情報など、形式の異なる複数のデータ(モダリティ)を統合した「マルチモーダルデータ」です。

    生成AIなどのAIを使ったシステムでは、これらすべてのタイプのデータを扱うことになります。ゆえに、構造化データ、非構造化データ、半構造化データ、マルチモーダルデータのすべてを統合的、かつ一元的に管理できるシステムが必要とされます。

    4-2. リアルタイムなデータ処理

    生成AIなどのAIのユースケースとしては、IoTデバイスから収集したデータの解析や自社Webサイト上でのユーザーの行動解析、チャットボットのAI化といったことが考えられます。

    こうした応用を実現するうえでは、リアルタイムなデータ処理を実現することが必要とされ、例えば、ストリーミングプラットフォームなどを活用し、IoTデバイス(センサー)がとらえたデータをAIにリアルタイムに供給できるようにしなければなりません。また、エッジコンピューティングのテクノロジーを活用し、IoTデバイスがとらえたデータをその場でAIに一次処理させ、そのうえで、クラウドなどに送るようにすれば、処理のレイテンシ(遅延)を最小化することが可能になります。

    4-3. 柔軟性と拡張性の確保

    経団連が提示するAI-Ready化の「レベル②AI-Ready化の初期段階」の記述にもあるとおり、生成AIなどのAIの活用においては、スモールスタートで経験を積み上げていくことが重要です。このようにしてAIを適用する業務領域を段階的に押し広げていくと、処理するデータ量は増え、AIモデルも複雑になっていきます。ゆえに、AIのためのデータ基盤には、さまざまな変化に適応できる柔軟性と拡張性が必要となります。

    そこでポイントになるのが、クラウドネイティブな基盤設計です。これにより、必要なときに必要なだけのコンピューティングリソースを確保し、データ量やワークロードの急激な増減にも柔軟に対応していくことが可能になります。

    4-4. データのガバナンス

    生成AIなどのAIによる出力の品質や精度は、学習・使用するデータの品質に依存します。そのため、データガバナンスの良否がAI活用の成否を左右することになります。

    ゆえに、AIのためのデータ基盤では、データの正確性、完全性、一貫性、適時性を確保することが強く求められます。言い換えれば、AIへのデータ入力時のバリデーション(確認・検証)、定期的なデータのクレンジング、データリネージ(系統)管理などを通じて、データの信頼性を担保することが大切になるわけです。

    また、データ利用に関するポリシーを定めることも重要です。AIのシステムにおいて、どのデータを誰がどのような目的で利用できるのか、データの保管期間をどうするか、データの削除・匿名化をどういった手順で行うかなどを社内ルールとして策定し、周知・教育を徹底する体制を整えることが求められます。

    4-5. セキュリティ対策とプライバシー保護

    個人情報や機密データの漏えいや不正利用は、企業の信頼を失うだけでなく、賠償責任も問われかねません。そのため万が一に備えて、AI利用におけるセキュリティ対策とプライバシー保護に取り組むことも重要です。加えて、個人情報の保護やプライバシー保護に関しては、各国の法規制に対応しなければなりません。国内の個人情報保護法、欧州のGDPR、米国の州法などの最新動向を確認し、実務レベルで対応できるようにしておく必要があります。

    また、生成AIなどに入力した機密情報が流出するリスクもあります。オプトアウト(学習拒否)を設定することが可能なサービスもありますが、企業専用のAIや業務特化型AIを開発することによって、そうした情報漏えいリスクを低減させることも可能です。

    5. AI-Readyを実現するための具体策

    上述したようなAI-Readyなデータ基盤作りを推進するうえでは、いくつかのハードルを乗り越えなければなりません。

    例えば、先に触れたCTCの調査では、データ基盤の整備を巡る課題として3割以上の回答者が「専門人材の不足(データ活用基盤整備に関する専門知識を持った人材が不足している)」と「リテラシーの不足(社内全体のデータリテラシーが低い)」という点を挙げています(図5)。

    図5:AI活用に向けたデータ基盤整備における課題(上位三つの複数回答)

    図5:AI活用に向けたデータ基盤整備における課題(上位三つの複数回答)
    出典:CTC「企業のAI活用を支えるデータ基盤整備の実態と課題に関する調査」のデータを基に作成

    このうち、専門人材の不足という問題を解決する一手としては、専門知識を有する外部の協力会社の支援を受けながら、AI-Readyな基盤を実現するためのソリューションを導入するという選択肢が有効といえます。

    CTCで提供しているソリューションを例に挙げると、非構造化データや半構造化データを統合して一元管理し、機械学習やAIの活用に適した統合的なデータ管理の仕組みをスピーディに整えるクラウド型データレイクハウスサービスがあります。

    その他にも、CTCではデータガバナンスの確立を支援する「D-Native」のソリューションも提供しています。D-Nativeでは、データ活用のライフサイクル全体を伴走型でサポートし、現状把握から課題の優先順位づけ、ロードマップ策定、施策遂行、定着状況の継続把握、再評価までを包括的に支援しています。

    一方、データリテラシーの不足という問題については、研修・教育・啓発活動などを通じて全社的なリテラシーの底上げを図ることが必要とされ、それを前進させるうえでは、トップダウンでAI活用の取り組みを推進することが必要とされます。

    ちなみに、先に触れた経団連のAI-Ready化ガイドラインでは、レベル③に当たる「AI-Ready化を進行」させるうえでの要件として、経営・マネジメント層が経営戦略にAI活用を組み込んでAIへの投資にコミットし、かつ幹部社員へのAI教育を実施することが必要としています。

    また、次の段階(レベル④)である「AI-Ready化からAI-Powered化への展開」を実現するうえでは、従業員の過半数が「AIリテラシー」を持ち、かつ「データ・倫理課題を整理・遵守」し、「AI×データによる業務刷新が推進」できるようでなければならないとしています。

    AIの活用で成果を上げ、市場での自社の競争力をアップさせられるAI-Readyな企業、あるいはAI-Poweredな企業になるためには、データ基盤と人、組織、組織文化、ルールなど、さまざまな領域での変革が必要になります。

    まとめ

    生成AIの活用を成果につなげるためには、AIそのものだけでなく、それを支えるデータ基盤の整備が不可欠です。しかし実際には、多くの企業がデータの分散や人材不足といった課題を抱え、「AI-Ready」な状態に到達できていないのが現状です。

    こうした中で重要になるのは、自社の現状を客観的に把握し、どこに課題があるのかを明確にすることです。

    CTCでは、年商1,000億円以上の企業を対象に、AI活用を支えるデータ基盤整備の実態と課題に関する調査を実施しました。本調査では、企業の取り組み状況や直面している課題、今後の方向性について具体的なデータとともに整理しています。

    自社のAI活用を一歩前に進めるためのヒントとして、ぜひ以下の資料をご活用ください。

    企業のAI活用を支える データ基盤整備の実態と課題に関する調査-L

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    執筆者情報

    Key Technology(Keys)編集部

    Key Technology (Keys)編集部は、CTCが注力する「高度AI」「データ&アナリティクス」「クラウドネイティブ」「セキュリティ」を中心とした最先端テクノロジーの情報発信を担う編集チームです。技術動向や活用事例、サービス情報をわかりやすく届け、ビジネス変革に挑む企業の意思決定や実行をサポートします。

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