公開日:
不正ログインはどう検知する?対策や初動対応を解説

本記事では、不正ログインを検知する方法や、防止のための対策、いざ不正ログインが発生した場合の初動対応などを解説します。

- 不正ログインとは、正規ユーザーになりすましてアカウントに侵入する行為
- 不正ログインの主な攻撃方法
- 不正ログインがあった場合のリスク
- 不正ログインが疑われる兆候
- 異常なログイン行動
- 普段利用しないデバイス・OS・ブラウザからのログイン
- 通常のログインとは異なるIPアドレスからのアクセス
- 多要素認証の再設定・無効化の試行
- 不正ログイン検知に用いられる技術
- IDS(不正侵入検知システム)・IPS(不正侵入防御システム)
- WAF
- AI・機械学習を活用した行動分析による検知
- ログ監視
- 不正ログインを防ぐための対策
- 多要素認証とパスワード管理の強化
- 不審なIPのリアルタイム検知と遮断
- 異常行動のリアルタイム検知
- CSIRTの設置
- 不正ログインが発生した場合の初動対応
- 不正ログインが発生した後の原因究明と再発防止
- 不正ログインを防ぐためには安全な認証システムを導入するのも有効
- 不正ログインを防ぐため、多層的な対策を導入しよう
不正ログインとは、正規ユーザーになりすましてアカウントに侵入する行為
不正ログインとは、本来そのアカウントを利用する権限のない第三者が、正規のユーザーになりすましてシステムやサービスにログインする行為のことです。多くの場合、ID・パスワードなどの認証情報が何らかの方法で盗まれ、それを用いて正規ユーザーを装ったログインが行われます。
不正ログインは不正アクセスと混同されがちですが、両者は厳密には意味が異なります。不正アクセスとは、アクセス権限のない者による広義の侵入行為全般を指し、その中のひとつの形態が不正ログインです。つまり、不正ログインは不正アクセスの一種であり、正規の認証情報を悪用して侵入する点が特徴です。
■不正ログインと不正アクセスの関係

不正ログインの典型的な例としては、ID・パスワードが漏洩し、第三者がそれを使って企業や顧客のシステム・Webサービスにログインするケースが挙げられます。一見すると正規ユーザーの操作と区別がつきにくいため、被害の発見が遅れやすく、情報漏洩や不正操作などの被害につながりやすいといったリスクがあります。
不正ログインの主な攻撃方法
不正ログインは、ID・パスワードなどの認証情報を狙ったさまざまな攻撃方法によって引き起こされます。不正ログインにつながる主な攻撃方法の種類は、下記のとおりです。
■不正ログインにつながる主な攻撃方法の種類
名称 | 概要 |
|---|---|
ブルートフォース攻撃 | 考えられる文字列の組み合わせを機械的に試し、総当たりでパスワードを突破する攻撃方法 |
辞書攻撃 | あらかじめ人名や英単語、よく使われるパスワードを登録した単語リスト(辞書)を用いてログインを試行する攻撃方法 |
パスワードリスト攻撃 | ほかのサービスから流出したID・パスワードの組み合わせを使い、別のサービスへのログインを試みる攻撃方法 |
フィッシング | 正規の企業やサービスを装って偽のメールやWebサイトに誘導し、利用者にID・パスワードを入力させて盗み取る攻撃方法 |
マルウェアによる情報の窃取 | 端末にマルウェアを感染させ、キーボード入力の盗聴や保存された認証情報の窃取を行う攻撃方法 |
複数のサービスでパスワードを使い回している場合、ひとつのサービスから情報が漏洩するだけで、ほかのサービスへの不正ログインが連鎖的に発生する点にも注意が必要です。
また、これらのID・パスワードを盗む手口だけでなく、Webアプリケーションの脆弱性を悪用した「バッファオーバーフロー」「SQLインジェクション」「OSコマンドインジェクション」などの攻撃によって不正ログインが行われることもあります。脆弱性を突かれて認証処理を回避されると、ID・パスワードを入力せずにログインされる可能性もあります。
不正ログインがあった場合のリスク
不正ログインが発生すると、ユーザーや企業にさまざまな被害が生じるリスクがあります。下記は、不正ログインがあった場合のリスクの代表例です。
<不正ログインがあった場合の主なリスク>
個人情報・機密情報の漏洩
不正送金やECサイトなどの不正利用による金銭的被害
SNSアカウントなどの乗っ取りによるブランドイメージ、企業の信用の毀損
業務システムの乗っ取りによる業務停止や復旧コストの発生
これらの被害が拡大すると、企業の社会的信用の失墜や売上減少といった経営面への影響が生じる可能性もあります。さらに、個人情報保護法などの法令に抵触した場合には、行政指導や損害賠償請求の対象にもなりかねません。
不正ログインが疑われる兆候
不正ログインは、正規ユーザーの操作と見分けがつきにくい場合が多く、被害の発見が遅れがちです。そのため、日常のログイン状況や利用状況の中に潜む「いつもと違う兆候」に早期に気づくことが重要になります。
ここでは、不正ログインが疑われる代表的な兆候について解説します。
異常なログイン行動
不正ログインでは、通常とは異なるタイミングや頻度でログインが試みられるケースが多く見られます。例えば、深夜や早朝など、普段は利用されない時間帯にログインが行われている場合は注意が必要です。
また、短時間に大量のログイン試行が繰り返されている場合、ブルートフォース攻撃や自動化ツールによる攻撃が疑われます。特にボットや自動化ツールを使った攻撃では、人の操作とは異なる一定間隔の操作や高速な反応速度がログに残ることがあります。こうした挙動は、不正ログインを見抜く重要な手掛かりとなります。
普段利用しないデバイス・OS・ブラウザからのログイン
これまで使用されたことのないデバイスやOS、ブラウザからのログインも、不正ログインが疑われる兆候のひとつです。正規ユーザーが新しい端末を利用するケースもありますが、その場合は本人確認をすれば正規ユーザーによるログインかどうかを確認することができます。
そのため、新しいデバイスが登録された場合や、端末情報が変更された場合には、ユーザー本人へ通知する仕組みを導入することが重要です。これにより、本人が心当たりのないログインに早期に気づくことができます。
通常のログインとは異なるIPアドレスからのアクセス
ログイン元のIPアドレスや位置情報が、通常と異なる場合も注意が必要です。特に、海外からのアクセスや、IPアドレス・位置情報を隠した匿名プロキシを経由したアクセスなどは、不正ログインの可能性が高いといえます。
正規ユーザーの行動範囲や業務拠点と照らし合わせ、不自然な地域からのアクセスがないかを監視することが、不正ログインの早期検知につながります。
多要素認証の再設定・無効化の試行
不正ログインを試みる攻撃者は、ログイン後にアカウントを完全に乗っ取るため、多要素認証の再設定や無効化を試みることがあります。身に覚えのない認証設定の変更通知や、認証方法の切り替え履歴が確認された場合は、すでに不正ログインが発生している可能性があります。
このような兆候があった場合は、迅速に対応して被害の拡大を防ぎましょう。
不正ログイン検知に用いられる技術
不正ログインを早期に発見し、被害を最小限に抑えるためには、複数の検知技術を組み合わせた多層的な対策が有効です。ここでは、不正ログイン検知に用いられる代表的な技術について解説します。
IDS(不正侵入検知システム)・IPS(不正侵入防御システム)
IDS(不正侵入検知システム)とは、ネットワークやシステムへの通信を監視して不正なアクセスや攻撃の兆候を検知して管理者に通知するシステムのことです。また、IPS(不正侵入防御システム)は、検知に加えて不正な通信を自動的に遮断する機能を備えたセキュリティ対策システムを指します。
IDSは通信を遮断しないため、業務への影響を抑えながら監視できる点がメリットですが、誤検知が発生した場合でも対応は管理者任せになります。一方、IPSは即時に防御できる反面、誤検知によって正規の通信まで遮断してしまう可能性があるため、ルール設定や運用には注意が必要です。
WAF
WAF(Web Application Firewall)は、Webアプリケーションの通信内容を監視し、攻撃を検知・遮断するセキュリティ対策です。SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなど、Webアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃を防ぐことで、不正ログインにつながるリスクを低減します。
ネットワーク全体を監視するIDS・IPSとは異なり、アプリケーションの挙動や入力内容を詳細に確認できるため、よりきめ細かな防御が可能です。
AI・機械学習を活用した行動分析による検知
近年では、AIや機械学習を活用し、ユーザーの通常の行動パターンを学習した上で、異常なログインや操作を検知する仕組みも普及しています。ログイン時間帯やアクセス頻度、操作の流れなどを分析し、通常とは異なる挙動が検出された場合にアラートを出すことが可能です。
さらに、マウスやキーボードの操作特性を分析し、行動ベースで不正ログインのリスクを判定するシステムもあります。リスクが高いと判断された場合に、追加の本人確認を求めることで、不正ログインを未然に防ぎます。
ログ監視
ログ監視は、サーバーやアプリケーションのログを収集・分析し、不審なアクセスや異常な挙動を検知する方法です。特定のIPアドレスからの大量のログイン試行や、通常とは異なる時間帯のアクセスなどを把握できます。
サーバーやネットワーク機器から集めたログ情報を一元管理して分析するSIEMや、企業や組織のネットワークを監視してサイバー攻撃の検知・対応を行うSOCなどと連携すれば、不正ログインの兆候が検知された場合に迅速な対処が可能になります。また、ログの保存と分析は、不正ログイン発生時の初動対応だけでなく、事後的なサイバー攻撃の事実関係の解明・証拠保全を行うフォレンジック調査においても不可欠な要素です。
不正ログインを防ぐための対策

不正ログインを防止するためには、単一の対策に依存するのではなく、複数の技術や運用を組み合わせた多層的な対策が重要です。攻撃方法は日々進化しているため、下記の対策をバランスよく実施することで、リスクを低減できます。
多要素認証とパスワード管理の強化
不正ログイン対策として効果的なのが、多要素認証の導入です。パスワードに加えて、SMSや認証アプリによるワンタイムパスワード、生体認証などを組み合わせることで、仮にID・パスワードが漏洩しても不正ログインを防ぎやすくなります。
併せて、推測されにくい十分な長さと複雑さを持つパスワードの設定や、サービスごとのパスワードの使い回しを避けることも重要です。パスワード管理ツールを活用することで、利便性を損なわずに安全性を高めることができます。
多要素認証については、下記の記事をご覧ください。
関連記事:多要素認証とは?ほかの認証方式との違いやメリットを解説
不審なIPのリアルタイム検知と遮断
不正ログインは、特定の国や地域、過去に不正行為が確認されたIPアドレスから試みられるケースも少なくないため、WAFやIDS・IPSを活用し、不審なIPアドレスからのアクセスをリアルタイムで検知・遮断することが有効です。
また、国・地域単位のアクセス制限であるジオフェンシングや、IPアドレスのホワイトリストやブラックリストを作成して運用することで、不正ログインのリスクを低減できます。
異常行動のリアルタイム検知
AI不正検知システムなどを活用し、通常とは異なるログイン試行や利用行動をリアルタイムで検知することも重要な対策です。ログイン時間帯、アクセス頻度、操作パターンなどを継続的に監視することで、不正ログインの兆候を早期に把握できます。
異常が検知された場合に、追加認証の要求やアカウントの一時制限を自動的に行う仕組みを導入することで、被害拡大を防げる可能性が高まります。
CSIRTの設置
不正ログインを含むセキュリティインシデントに迅速に対応するためには、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)の設置が有効です。CSIRTは、インシデント発生時の調査、被害状況の把握、復旧対応、再発防止策の検討を担う専門チームです。
経営層の関与のもとで役割分担を明確にし、定期的な訓練を主導しながら対応手順の見直しを行うことで、実際のインシデント発生時にも迅速かつ的確な対応が可能になります。CSIRTには、社内外の関係部署や外部専門機関との連携体制を構築しておく役割もあり、サイバー攻撃発生時の社外対応も含めた迅速な対応が可能です。
■CSIRTの対応業務のイメージ

不正ログインが発生した場合の初動対応
不正ログインが発生、またはその疑いがある場合は、被害拡大を防ぐために迅速かつ適切な初動対応が不可欠です。まず、影響を受けたアカウントのパスワードをすみやかに変更し、第三者が引き続き利用できない状態にします。併せて、同一のID・パスワードを使い回している可能性がある関連サービスについても、パスワードの見直しを行うことが重要です。
次に、ログイン履歴やアクセスログを確認し、不審な操作やログイン元、時間帯などを把握します。これにより、不正ログインが実際に発生しているかどうか、また被害範囲がどこまで及んでいるかを初期段階で把握できます。
ログの確認まで終わったら、被害拡大を防ぐために多要素認証が未設定の場合はすみやかに有効化し、必要に応じてアカウントの一時停止やアクセス制限を実施しましょう。
また、顧客の個人情報や取引先に関わる機密情報が漏洩した可能性がある場合には、社内関係部署への共有だけでなく、関係者や取引先への連絡、監督官庁への報告など、適切な報告・連絡体制を整えることが重要です。事実関係を整理し、誠実かつ迅速に対応することが、信頼低下を最小限に抑えることにつながります。
不正ログインが発生した後の原因究明と再発防止
初動対応によって被害の拡大を防いだ後は、不正ログインが発生した原因を明確にし、再発防止策を講じることが重要です。原因を特定しないままでは、同様の攻撃を再び受けるリスクが高まります。
まず、アクセスログやシステムログを解析し、不正ログインの侵入経路や攻撃手法、被害範囲を特定します。どのアカウントや情報が影響を受けたのかを把握して、適切な対策につなげなければなりません。
この際、ログの証拠保全は不可欠です。証拠を適切に保全することは、法的対応や説明責任を果たす上でも重要です。必要に応じてフォレンジック調査の専門家の支援を受けることが望ましいでしょう。
調査結果がまとまったら、不正ログインの原因となった脆弱性の修正や設定変更、セキュリティポリシーの見直し、社員教育の強化などを継続的に行います。併せて、不正ログイン検知システムのチューニングや運用体制の強化、対応計画の見直し、定期的な訓練を実施することで、再発防止と対応力の向上を図ることができます。
不正ログインを防ぐためには安全な認証システムを導入するのも有効
不正ログイン対策をより確実なものにするためには、アクセス制御や不審なIPアドレスの検知といった個別の対策に加え、安全性を考慮した認証システムそのものを導入することも有効です。認証基盤を強化することで、不正ログインのリスクを根本から低減できます。
安全な本人確認の仕組みを導入しつつ、一度のログインで複数のサービスを利用できるシングルサインオン(SSO)ができる仕組みを採用すれば、サービスごとに異なるID・パスワードを一元管理できるようになるため、利便性を損なうことなくセキュリティレベルを向上させることが可能です。
不正ログインを防ぐための認証基盤を導入する場合は、伊藤忠テクノソリューションズが提供する「SELMID」がおすすめです。「SELMID」は、安全性に配慮した認証機能を備えており、さまざまなサービスのログイン情報を効率的に管理できます。導入のしやすさやコスト面でのメリットに加え、手厚い導入支援を受けられる点も特徴です。
不正ログインを防ぐため、多層的な対策を導入しよう
不正ログインを効果的に防ぐためには、単一の対策に頼るのではなく、複数の技術と運用体制を組み合わせた多層的な対策が不可欠です。多要素認証などによって不正ログインを防ぐ仕組みを整えつつ、WAFやIDS・IPS、AI不正検知システムなどを活用し、異常を迅速に検知・対応できる体制を構築することが重要です。
不正ログインが発生した場合、情報漏洩や業務停止など、甚大な被害につながるリスクがあります。そのため、早期の検知、迅速な対応、原因究明と再発防止を一体的に進めましょう。
不正ログインの防止対策を進める際は、現在利用しているログインシステムや不正検知の仕組みが十分かどうかをあらためて見直し、必要に応じて強化することが重要です。不正ログイン対策として認証基盤から見直す場合には、最先端の仕組みを備えた「SELMID」の導入も有効な選択肢となります。不正ログイン対策を検討されている場合は、ぜひ以下から資料をダウンロードいただき、詳細な機能をご確認ください。

よくある質問
不正ログインはどのような手口で行われますか?
不正ログインは、ID・パスワードを狙ったさまざまな手口によって行われます。代表的な手口は、下記のとおりです。
<不正ログインの主な手口>
総当たりでパスワードを試すブルートフォース攻撃
流出した認証情報を使うパスワードリスト攻撃
偽サイトに誘導して情報を盗むフィッシング
マルウェア感染
Webアプリケーションの脆弱性を悪用したSQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング
不正ログインされるとどのようなリスクがありますか?
不正ログインが起きると、下記のような被害が発生するリスクがあります。
<不正ログインによる主な被害>
個人情報や機密情報の漏洩
不正送金などによる金銭的被害
SNSや業務システムの乗っ取り
これらにより、企業の場合は社会的信用の低下や売上減少、損害賠償などにつながるリスクもあります。そのため、不正ログインは早期に検知し、被害を最小限に抑えることが重要です。
不正ログインが疑われる兆候にはどのようなものがありますか?
不正ログインが疑われる主な兆候は、下記のとおりです。
<不正ログインが疑われる主な兆候>
普段利用しない時間帯でのログイン
短時間に繰り返されるログイン試行
見覚えのないデバイス・IPアドレスからのアクセス
多要素認証の再設定や無効化
これらの兆候を早期に把握することで、被害拡大を防ぐことができます。
当サイトに掲載されている情報(記事、資料、動画、テンプレート等)については、その正確性および妥当性の確保に努めておりますが、ご利用に際しては、利用者ご自身の責任においてご判断ください。なお、個別の事情に応じては、専門家へのご相談を含め、適切な対応をご検討いただくことを推奨いたします。






























