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CDPの新たな選択肢「コンポーザブルCDP」とは何か|従来型CDPの課題を解決する一手を知る

データ&アナリティクス

公開日:2026.04.02

CDPの新たな選択肢「コンポーザブルCDP」とは何か|従来型CDPの課題を解決する一手を知る

    CDPの新たな選択肢「コンポーザブルCDP」とは何か|従来型CDPの課題を解決する一手を知る

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    企業における顧客理解を深化させるデータ基盤として企業への普及が進む「CDP(Customer Data Platform)」。その普及が進む一方で、従来型のCDPを巡ってはいくつかの課題も見え始めています。そんな中で、にわかに注目を集めているのが「コンポーザブルCDP(Composable CDP)」と呼ばれる手法です。本稿ではCDPの動向を整理しながら、コンポーザブルCDPによって何が実現されるのかについて見ていきます。

    1. 拡大を続けるCDPの市場

    「CDP」は、企業内の各所に散在する顧客データを収集・統合・活用するための基盤です。データドリブンでマーケティング施策を最適化したり、商品の売上予測を高精度化したりするための手段として企業への導入が進んでいます(図1)。

    図1:CDPの全体像

    図1:CDPの全体像
    出典:伊藤忠インタラクティブ「データ活用マーケティング支援のご紹介」を基に作成

    IT専門の調査・コンサルティング会社アイ・ティ・アール(ITR)によれば、CDPはマーケティングにおける「顧客理解の深化」を支える基盤として市場を拡大させているとしています。同社の予測によれば、国内のCDP市場は2023年度から2029年度にかけて年平均成長率17.0%の高成長を続けるといいます(図2)。

    図2:CDP市場規模推移および予測(2023~2029年度予測)

    図2:CDP市場規模推移および予測(2023~2029年度予測)
    出典:株式会社アイ・ティ・アール「CDP市場規模推移および予測」(2026年1月15日発表)を基に作成

    CDPの普及が進展した要因の一つは、人々の暮らしやビジネス活動のデジタル化が進んだことがあります。この流れの中で、近年における商品(製品、サービス)の選定(場合によって購買まで)がオンライン上で行われるようになっています。これにより、オンラインを介して有望な潜在顧客にアプローチし、案件へとつなげるデジタルマーケティングの重要性が高まり、デジタルマーケティング施策を、実績データ(=施策に対する潜在顧客の反応データ)をもとに最適化したいというニーズが膨らみました。それが、CDPに対する需要の拡大へとつながってきたといえます。 

    もう一つ、CDP普及が進んだ要因として、プライバシー保護に関する法律・制度が日本を含む各国で厳格化され「サードパーティCookie(*1)」の使用などに厳しい制限がかけられつつある点が挙げられます。こうした厳格化は結果として、企業各社が個人情報保護法に則って取得した顧客データ(=ファーストパーティデータ)をより有効に活用すべきとの判断につながり、それがCDPに対するニーズや需要を喚起したということです。


    *1 サードパーティCookie:ユーザーが訪れたWebサイト以外のドメイン(第三者のドメイン)から、当該のユーザーに向けて発行されるCookieのこと。広告バナーの効果を計測したり、Webサイトを跨いでユーザーの行動を追跡したりする手段として広く使われてきた。ただし、プライバシー保護の観点から、サードパーティCookieの使用に規制がかけられ、全面的に禁止にしようとする動きが主要なWebブラウザプロバイダを中心に見られている。

    2. 見えてきた従来型CDPの課題

    CDPの普及に伴い、企業におけるCDP活用のレベルも向上しています。

    CDPの定義や教育、普及促進を手がける米国の業界団体「Customer Data Platform Institute(CDP Institute)」が2024年12月に発表した調査レポート「CDP Institute 2024 Member Survey(*2)」によれば、「CDP製品を導入済み」とした回答者(全体の68%)のうち64%がCDPによって大きな価値が生み出せているといいます。

    これは、多くの企業におけるCDP活用のレベルが、顧客データを統合して一元管理する初期の段階から、データを活用して成果を上げる段階へとステップアップしていることの表れといえます。

    CDP活用が進む一方で、利用企業が増えたからこそ、従来型CDPの構造的課題も明確になってきました。

    その課題とは、「特定のCDP製品に顧客データを集約したものの、想定外の用途や部門横断での活用に対応するのが難しい」「用途別、あるいは特定部門専用のCDPが構築され、データのサイロ化が進行しがちになる」「データソースや機能の拡張性が、CDP製品に依存する」といった問題です。

    従来型のCDP製品は基本的に、デジタルマーケティングを支援することを主眼に設計されたデータ基盤です。ただし、顧客データを分析・活用したいというニーズはマーケティング組織に限らず、営業やカスタマーサービス、商品企画、経営などの各所にあります。

    本来的には、そうした各所のニーズを、単一のCDP内ですべて満たすのが理想といえますが、それには無理があります。というのも、マーケティングや営業、カスタマーサービス、商品企画、そして経営では、顧客データを活用する目的がそれぞれ異なり、分析したい顧客データの内容、粒度、さらにはリアルタイム性が違うからです。こうした違いをすべて単一のCDP内で吸収しようとすると、基盤(におけるデータベース)の構造がきわめて複雑なものとなります。ゆえに用途別、ないしは部門別にCDPが構築されがちとなり、顧客データのサイロ化、あるいは分断が進行してしまうことがあります。

    また、CDP製品にはさまざまなタイプのものがありますが、複数のデータソースからデータを抽出・加工・統合する機能を中心に、以下のような機能をインテグレートしたパッケージ型の製品が主流をなしています。

    ・データソースとのリアルタイムなデータ連携機能
    ・顧客のセグメント分析やクラスタ分析の機能
    ・マーケティングオートメーション(MA)ツールやアドバタイジングツール(*3)など、主要なデジタルマーケティングツールとのデータ連携機能

    こうしたパッケージ型のCDP製品を使うことで、顧客データを統合して分析し、実際のマーケティング施策などに結びつけることが容易になります。ただし、パッケージ型のCDPを導入した場合、データソースや機能の拡張性が特定の製品に依存したかたちとなります。つまり、製品がサポートしていないデータソースの追加やAIツールとの連携などが困難になるといった問題があるわけです。

    もう一つ、パッケージ型のCDP製品を巡っては、製品に過度の期待を寄せてしまうという使う側の問題もあります。例えば「CDPを導入しさえすれば、顧客データ活用に関するすべての課題が一挙に解決できる」という期待のもとで製品の導入プロジェクトを進めた結果、実際にできることと期待とのギャップに戸惑い、CDPによって何を目指すべきかのゴールが見えなくなることがあります。


    *2 CDP Institute 2024 Member Survey:CDP Institute会員400名強を対象に実施された調査のレポート。同会員には、CDPユーザーとCDPベンダーなどが含まれる。

    *3 アドバタイジングツール:Web広告の配信、ターゲティング、効果測定、入札の最適化などを一元管理、自動化するプラットフォームのこと。

    3. 浮上する「コンポーザブルCDP」という選択肢

    以上に示したようなパッケージ型CDP製品の課題を解決する一手として生まれたのが「コンポーザブルCDP」です。

    コンポーザブルCDPは、特定の製品や技術を指す言葉ではありません。それが意味するのは、データウェアハウス(DWH)といった汎用的なデータ基盤を土台にしながら、顧客データの統合・分析・活用に必要なさまざまなツールをニーズに応じて組み合わせ、最適なCDPを実現していく手法、あるいはアーキテクチャです。

    ここでいう「顧客データの統合・分析・活用に必要なツール」とは、データの抽出・変換・加工ツール(ETLツール)やデータ分析ツール(BIツールやAIツール)、デジタルマーケティングツール、さらには、データソース上でのデータ更新などのイベントをとらえ、データソースとDWH間でリアルタイムなデータ連携を実現するツールなどを指しています。これらのツールやDWHなどをコンポーネントとしてとらえ、疎結合(柔軟に入れ替え可能な状態)の方式で連携させ、さまざまなニーズに最適なCDPを構築していくというのがコンポーザブルCDPの考え方です(図3)。

    図3:コンポーザブルCDPのコンポーネント構成イメージ(デジタルマーケティング用の構成例)

    コンポーザブルCDPのアーキテクチャが、パッケージ型のCDPよりも優れている点の一つは、特定の製品に依存しないかたちでデータソースや機能の拡張が図れることです。

    また、コンポーザブルCDPを採用すれば、顧客データのサイロ化を回避しながら、さまざまなツールを組み合わせ、マーケティングの最適化をはじめ、営業やカスタマーサービスの高度化、商品企画の適正化、経営判断の高精度化など、多岐にわたる用途に特化したCDPを実現することも可能になります。

    しかも、コンポーザブルCDPではデータソースや機能の追加、変更が柔軟に行えるので、商品戦略や顧客戦略、あるいはテクノロジーなどの変化に適応させやすいというメリットもあります。

    さらに、コンポーザブルCDPの中核として、CTCが取り扱っている「Snowflake」などの高性能なクラウド型DWHサービスを採用すれば、パッケージ型CDP製品を使う場合以上の性能で大量の顧客データが処理できるようになる可能性もあります。

    近年では、生成AIやAIエージェントとCDPを連動させる動きが加速しています。従来は人が設計していたセグメントや施策シナリオを、AIエージェントがデータをもとに自律的に生成・改善していく──。こうした高度な活用を実現するには、特定ベンダーに閉じない柔軟なデータ基盤が不可欠です。コンポーザブルCDPは、DWHを中心にAPI連携やリアルタイムデータ処理を前提とする構造であるため、AIエージェントとの親和性が高いアーキテクチャといえます。

    4. コンポーザブルCDPが支持される理由

    コンポーザブルCDPには、パッケージ型CDP製品に比べて顧客データ基盤の構築に専門的な知見・知識がより強く求められるというデメリットもあります。また、システム全体を独自に設計する必要があるがゆえに、実装に相応の工数・時間を要するというネックもあります。それでもコンポーザブルCDPを支持するユーザー企業は増えています。その主な理由は以下に示すとおりです。

    4-1. 柔軟性が高い

    コンポーザブルCDPが支持される第一の理由は、柔軟性の高さです。繰り返すようですが、企業における顧客データの活用は、マーケティングに閉じた取り組みから、営業、カスタマーサービス、商品企画、経営など、全社的な領域へと広がっています。コンポーザブルCDPは、こうした顧客データ活用の広がりに、必要なコンポーネントを組み合わせることで対応できるという柔軟性があり、それが多くの企業の支持を集めています。

    4-2. 既存のデータ基盤を有効活用できる

    コンポーザブルCDPが支持される第二の理由は、企業がすでに有するデータ分析・活用基盤の有効活用が図れることです。

    近年、DWHやデータレイクといったデータ分析・活用のための基盤を整備し、それらの基盤上でBIやAIを活用しようとする企業が増えています。そうした企業がパッケージ型CDPを導入した場合、データ分析・活用の新たな基盤が追加されることになり、基盤運用の手間が増えてしまいます。そこで、既存のDWHやデータレイクをそのまま活用しながら、CDP環境を実現したほうが合理的という考えに至ります。それが、コンポーザブルCDPへの支持につながっています。

    4-3. テクノロジー選択の自由度が高い

    コンポーザブルCDPが支持される第三の理由は、テクノロジー選択の自由度の高さです。先に触れたとおり、特定ベンダーのCDP製品に強く依存したかたちでデータ基盤を構築してしまうと、新しいテクノロジーやサービスが登場した際に、それを柔軟に取り込むことが難しくなることがあります。それに対してコンポーザブルCDPでは、さまざまな機能やテクノロジーの取り込みを、特定製品の制約を受けることなく行うことができます。データ&アナリティクスの領域は、テクノロジーの進化するスピードが非常に速い分野です。その中でCDPを継続的に維持・発展させるうえでは、コンポーザブルCDPが持つテクノロジー選択の自由度の高さは有効といえます。とりわけ、生成AIやAIエージェントなど新たなテクノロジーが急速に進化する現在においては、その取り込みの可否が将来的な競争力を左右します。

    コンポーザブルCDPは、DWHネイティブな構造や疎結合アーキテクチャを前提としているため、外部AIモデルやエージェント型アプリケーションとの統合が行いやすく、AI駆動型の顧客体験設計へと拡張しやすいという強みがあります。

    4-4. コストの適正化が図りやすい

    コンポーザブルCDPには、パッケージ型のCDP製品に比べて、コストの適正化が図りやすいというメリットもあります。というのも、顧客データの活用目的に応じて、使用する機能、ツール(コンポーネント)をさまざまに選び、組み合わせていくことができるからです。こうしたメリットも、コンポーザブルCDPに対する支持が集まる要因となっています。

    5. コンポーザブルCDPの実装に向けたポイント

    コンポーザブルCDPを実装するうえでは、パッケージ型CDPによって基盤を構築するときと同じように「顧客データ活用の目的」を明確にしたうえで、ツールを選び、全体を設計することが大切です。以下、そうした設計上のポイントについてまとめておきます。

    5-1. 目的に沿って基本設計を明確に定める

    コンポーザブルCDPを実装する際には、顧客データ活用の目的に沿って、どのデータをどの粒度で保持し、どういったタイミングで更新・共有するかの基本設計をしっかりと行うことが重要です。基本設計が曖昧であると、コンポーネント同士の連携が複雑化し、運用負荷が高まるリスクがあります。

    また、コンポーザブルCDPの実装に当たっては、顧客IDの一貫性を確保したり、データの品質管理を徹底させたり、データの表記ルールや利用ルールを整備・統一したりするといった基礎的な取り組みも重要となります。これらの取り組みを行わずに、さまざまな用途・目的に沿ったCDPを構築しようとすると、各CDPを使ったデータ分析の結果に一貫性が保てず、矛盾が生じる可能性があります。

    5-2. 最初から完成形を目指さない

    コンポーザブルCDPを実装する際には「最初から完成形を目指さない姿勢」も重要です。コンポーザブルCDPは段階的に機能を拡張できます。ゆえに、最初の実装ではスモールスタートの考え方に基づいて必要最小限の機能に絞って構築を進め、その効果や課題を確認しながらデータソースや機能の拡張を段階的に図っていくことが、失敗を避ける有効な一手となります。また、このプロセスを踏む中で、CDPの設計、運用に関する知見やノウハウが社内に蓄積されていくことも有益であるといえるでしょう。

    このほか、コンポーザブルCDPの設計、実装、運用を巡っては、当該のCDPを利用することになるすべての人員を巻き込みながら、プロジェクトを進めていくことも大切です。なぜならば、CDPの導入は、仕事の進め方をデータドリブンなものへと変革していく取り組みでもあり、利用が現場に定着しなければ意味がないからです。ゆえに、現場のニーズを取り込みながら、基盤の設計や顧客データ活用のプロセスを設計することが不可欠であり、そうすることでビジネス現場への定着が進むことになります。

    6. コンポーザブルCDPにおいて失敗しやすいポイントと成功に必要なこと

    コンポーザブルCDPは柔軟性や拡張性に優れる一方で、導入や運用のハードルが低いわけではありません。「自由度が高い=運用が楽」という誤解のもとで進めてしまうと、かえって失敗につながるケースもあります。

    代表的な失敗例の一つが、データは統合したものの活用が進まず、「データが眠るだけの箱」になってしまうケースです。DWHやデータレイクに顧客データを集約したものの、マーケティング担当者が直接扱えず、結局エンジニアに都度依頼する運用に戻ってしまうと、従来のパッケージ型CDPよりも使い勝手が悪化してしまいます。

    また、Webデータ、実店舗データ、アプリデータなどがバラバラに存在したままだと、パーソナライズ施策や高度な分析に活用することができません。リアルタイム性を期待して導入したにもかかわらず、データ連携や処理が複雑化し、即時のアクションにつながらないケースもあります。

    こうした失敗の背景には、目的が「データ活用」ではなく「ツール導入」になってしまっていることや、マーケティング部門だけでプロジェクトを進め、IT・データエンジニアとの連携が不足していることなどが挙げられます。コンポーザブルCDPを成功させるためには、「何を実現したいのか」を起点に、全体設計力と部門横断の体制を整えることが不可欠です。自由度の高さを活かせるかどうかは、設計と運用にかかっているといえるでしょう。今後は、CDPを単なるデータ統合基盤としてではなく、AIエージェントが顧客との接点で自律的に判断・実行を行うための“意思決定基盤”として再定義する動きが加速する可能性があります。その際に求められるのは、AIを安全かつ高速に活用できるデータ基盤であり、柔軟に構成を変更できるアーキテクチャです。コンポーザブルCDPは、こうしたAIエージェント時代を見据えた基盤として位置付けられつつあります。

    ちなみにCTCでは、パッケージ型CDPやコンポーザブルCDPについて、お客様の課題や目的、状況に応じた技術の選定や設計の提案、構築、PoC、データ活用に至るまでを伴走型でご支援することが可能です。顧客データの統合、分析、活用にご興味のある方は、ご相談ください。

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    執筆者情報

    Key Technology(Keys)編集部

    Key Technology (Keys)編集部は、CTCが注力する「高度AI」「データ&アナリティクス」「クラウドネイティブ」「セキュリティ」を中心とした最先端テクノロジーの情報発信を担う編集チームです。技術動向や活用事例、サービス情報をわかりやすく届け、ビジネス変革に挑む企業の意思決定や実行をサポートします。

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