事例

株式会社出前館 様

更新
出前館 ロゴイメージ

デリバリーサービスを支えるデータベース環境をOracle Exadataで強化
さらなる事業成長にも耐えうる、処理性能と拡張性に優れた基盤を実現

  • Oracle Exadata X9M-2
  • Oracle Exadata Database Service

日本におけるフードデリバリーサービスの先駆者であり、2000年のサービス開始以後、成長を続ける株式会社出前館(以下、出前館)。デリバリーサービスの需要拡大に伴い、データベース環境の処理能力に限界が見え始めていた中、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)の支援のもと、オンプレミスで稼働するデータ分析基盤を「Oracle Exadata X9M-2」に刷新。さらに「Oracle Exadata Database Service」と併用することで、高い処理性能と柔軟な拡張性、そしてコストパフォーマンスに優れたハイブリッド/マルチクラウドによるデータベース環境を実現した。

課題と効果

課題
  • 事業成長にも耐えうるデータベース環境を構築したい
  • 半日以上を要するバックアップ処理を短縮したい
  • データベースのパフォーマンスを可視化したい
効果
  • さらなるサービスの需要拡大にも対応する基盤を構築
  • 高速な日次バックアップを容易な操作で実現
  • 管理ツールの導入でデータベースの負荷状態を可視化

導入事例インタビューデータ

会社名
株式会社出前館
所在地
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目27番5号 リンクスクエア新宿
設立
1999年9月9日
URL
https://corporate.demae-can.co.jp/新しいウィンドウで開く
  • 株式会社出前館 執行役員 プロダクト本部 本部長 米山 輝一氏

    株式会社出前館

    執行役員
    プロダクト本部
    本部長

    米山 輝一氏

  • 株式会社出前館 プロダクト本部 インフラ部 インフラグループ グループマネージャー 岡田 泰弘氏

    株式会社出前館

    プロダクト本部
    インフラ部
    インフラグループ
    グループマネージャー

    岡田 泰弘氏

国内最大級のデリバリーサービスを提供 クイックコマースにも参入し 「地域密着型のインフラサービス」の実現を目指す

国内最大級のデリバリーサイト「出前館」を運営する株式会社出前館。2000年のサービス開始以来、着実に成長を続けており、現在では全国47都道府県で事業を展開。アクティブユーザー数は873万人(2022年8月時点)、加盟店舗数も約10万店舗を超えており、昨今では日用品の即配サービスなど「ラストワンマイル」の領域までサービスを拡大している。執行役員 プロダクト本部 本部長の米山輝一氏は、「フードデリバリーだけに留まらず、日用品や生活必需品を30分以内にお届けする『クイックコマース』と呼ばれる領域にも参入しています」と語る。地域に根差した配達網を活かし、「地域密着型のライフインフラ」の提供を加速させている。

テクノロジーをビジネス成長のけん引力とする同社は、IT基盤の変革にも積極的に取り組んできた。米山氏は「フードデリバリーサービスの需要拡大や、クイックコマースビジネスの推進にも柔軟に対応可能なIT基盤を実現するため、過去のノウハウを活かしつつ、システム刷新に取り組んでいます」と説明する。

そうしたシステム変革を推進するためにも、同社のフードデリバリーサービスを支えるデータベース環境の強化は急務だった。

さらなるサービス需要の急拡大で データベース環境の処理能力に見え始めた限界

出前館のデータベース環境は、利用者や加盟店のマスターデータの他に、注文を受けて配達するまでのトランザクションを処理する更新系のデータベースと、これと同期した参照系データベースで構成されている。

従来はオンプレミス上にOracle Databaseを採用したデータベース環境を構築、更新系・参照系の両方の処理を行ってきたが、デリバリーサービスの需要拡大に伴い、データベースサーバの処理負荷も急上昇。停止などの大きなトラブルに見舞われることはなかったものの、データベースサーバの処理能力に限界が見え始めていたという。そこで出前館がとった施策が、オンプレミスのデータベース環境に対する参照系リクエストの負荷を減らすため、参照系データベースを大手クラウドベンダーのマネージド型のリレーショナル・データベース上に構築し、オンプレミス/クラウド間をレプリケーションサービスで連携させるというものだった。その際、負荷の高い参照系のリクエストをオフロードするとともに、オンプレミス上のOracle Databaseのハードウェアスペックも強化した。

しかし、プロダクト本部 インフラ部 インフラグループ グループマネージャーの岡田泰弘氏は、「コロナ禍の影響もありデリバリーサービスの需要がさらに急増、オンプレミスの更新系データベース基盤はハードウェアスペックを増強していたものの、既にCPU等のリソースに限界が見え始めていたのです」と説明する。

オンプレミスのデータ基盤を CTCの支援のもと Oracle Exadata X9M-2で強化

オンプレミスのデータベース環境の強化に向けて出前館が採用したのが、CTCから提案された「Oracle Exadata X9M-2」である。「オンプレミスで更新系の処理を担うデータベース環境は今後のサービスのさらなる需要の増加も見据え、現状の2倍以上の処理にも耐えうるシステムが必要と考えました。この要件を満たすものが、Exadata X9M-2でした」と米山氏は説明する。

また、データベース環境刷新のパートナーとしてCTCを選んだ理由について、岡田氏は次のように語る。「これまでもCTCには、出前館のデータベース環境の構築を担ってもらっていました。そうしたことから出前館のシステム状況や課題についても熟知しており、常にスピード感のある対応を行ってくれています。今回のデータベース環境の再構築についても、他社にも提案を依頼して比較検討を行ったのですが、やはりCTCのスピード感と技術力を評価し、引き続きパートナーとしてプロジェクトの支援をお願いしました」

CTCの支援のもと、2022年2月から新データベース環境の構築がスタート。設計・構築・テストフェーズを経て、2023年1月から本番稼働が開始された。

出前館の新データベース環境の詳細について見ていこう。オンプレミスの更新系データベースとしてOracle Exadata X9M-2を導入、大幅にデータベース環境が強化されている。併せてExadata X9M-2への移行にあたってOracle Databaseも11gから19cへとバージョンアップされた。また、バックアップ用途として、今回新たにOracle Zero Data Loss Recovery ApplianceおよびOracle ZFS Storage Applianceも導入されている。

なお、クラウド上に構築されていた参照系データベースは、Oracle ExadataをOracle Cloud Infrastructure(OCI)上で利用できるサービス「Oracle Exadata Database Service(Exadata Cloud)」にリプレースされた。さらに、データをリアルタイムで大規模に移動するフルマネージド型のネイティブ・クラウド・サービス「Oracle Cloud Infrastructure GoldenGate(OCI GoldenGate)」を導入し、オンプレミスのExadata X9M-2と同期させつつ参照系の本番データをExadata Cloudに保持することで、オンプレミスのデータベース環境に対する負荷を抑制している。

これにより、フロント系のアプリケーションは他社パブリッククラウド上で構築・運用され、データベース環境はオンプレミスのExadata X9M-2とクラウド上のExadata Cloudを用いた、マルチ/ハイブリッドクラウド構成で実現している(図)。

図:出前館の新旧データ活用基盤

データベース環境を大幅に強化 今後の需要増にも耐えうる基盤を実現

Exadata X9M-2を主軸に据えた新データベース環境は、これまで抱えていた課題を解消し、出前館に様々なメリットをもたらしている。岡田氏は、「Exadata X9M-2の導入によりキャパシティを増強したことで、将来的なサービスの需要増にも十分耐えうる環境が実現されました。今後、もしキャパシティが不足したとしても1サーバあたりのCPU数に余裕があるので増設も可能であり、大幅な構成変更も発生せずに済むようになっています」と説明する。また、米山氏も「Exadata X9M-2の運用開始直後にはSQL処理が早くなったとエンジニアから喜びの声もあがっています。特にバッチ処理等の長いSQLについては高い効果が発揮され、大幅な処理時間の短縮が実現されています」と評価する。

新データベース基盤に移行したことで、運用管理の面でも様々な改善が図られた。「今回、Oracle DatabaseをEnterprise Editionへ移行したことでOracle Enterprise Managerも利用可能になり、パフォーマンスの可視化、それに基づく最適なチューニングも行えるようになっています」と岡田氏は話す。

さらにZero Data Loss Recovery ApplianceとZFS Storage Applianceを組み合わせた新たなバックアップ環境も、運用の効率化に一役買っている。これまではバックアップ処理に半日近くも要していたため、毎日バックアップを行うことは困難だったという。対して、「Zero Data Loss Recovery ApplianceとZFS Storage Applianceの導入により、バックアップ時間が大幅に短縮されています。また、操作方法がとても分かりやすいため、操作ミスに対する不安もなく、誰もが簡単に日次バックアップを行えるようになっています」と岡田氏は語る。

CTCの支援により、今後の事業成長にも柔軟に対応可能なデータベース環境を実現した出前館。今回のプロジェクトを振り返り、岡田氏は次のようにCTCのサポートを評価する。

「CTCにはExadata X9M-2をはじめとするハードウェア群の提案から構築、Zero Data Loss Recovery ApplianceとZFS Storage Appliance、そしてOracle Enterprise Managerの設定や利用方法など、多方面にわたる支援を行ってもらいました。おかげで本番開始後のスムーズな運用フェーズへの移行が実現でき、とても感謝しています」

また、出前館のシステムを熟知しており、何か問題が発生した場合でもCTCのエンジニアが迅速に対応してくれる技術力の高さも評価ポイントだという。

最後に米山氏は、「今後もさらなるビジネスの成長が予想される中で、データベース環境がボトルネックとなって事業に支障をきたすような事態は絶対に避けなくてはなりません。そうした観点から、今回、オラクルのソリューション群を導入し、データベース環境を刷新したことは正しい判断だったと思っています」と強調した。

(左)株式会社出前館 執行役員 プロダクト本部 本部長 米山 輝一氏 (右)株式会社出前館 プロダクト本部 インフラ部 インフラグループ グループマネージャー 岡田 泰弘氏

(左)株式会社出前館 執行役員 プロダクト本部 本部長 米山 輝一氏
(右)株式会社出前館 プロダクト本部 インフラ部 インフラグループ グループマネージャー 岡田 泰弘氏

Oracle®、Java及びMySQLは、Oracle、その子会社及び関連会社の米国及びその他の国における登録商標です。文中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標である場合があります。

  • このページについてツイッターでツイート(新しいウィンドウで開く)
  • このページをフェイスブックでシェア(新しいウィンドウで開く)

この事例に関するお問い合わせはこちら

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。