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マーケティング活動を支える分析基盤をOracle Cloud Infrastructureで刷新
システム停止1日未満の短期移行や性能向上を実現

  • Oracle Cloud Infraststructure
  • Oracle Exadata Database Service

マーケティングへのデータ活用を積極的に進めている株式会社ファンケル(以下、ファンケル)は伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)の支援のもと、オンプレミスで稼働するデータ分析基盤を、Oracle Cloud Infrastructureの「Oracle Exadata Database Service」に刷新した。短期移行をはじめ、性能向上、業務の変化への迅速・柔軟な対応、ライセンス管理の負荷低減などを実現。今後のマーケティング活動を支えるデータ分析基盤の強化を果たした。

課題と効果

課題
  • 業務を極力止めずにデータ分析基盤をクラウドへ移行したい
  • ユーザーの操作性などを変えず、分析基盤のみ刷新したい
  • ユーザー数の増加など業務の変化に即対応したい
効果
  • 移行に伴うシステム停止は1日未満で、業務に影響なし
  • 操作性などはそのままに、約10%性能向上
  • クラウドのリソース増減で、変化に素早く柔軟に対応

導入事例インタビューデータ

会社名
株式会社ファンケル
所在地
〒231-8528 横浜市中区山下町89-1
設立
1981年8月18日
URL
https://www.fancl.jp/新しいウィンドウで開く
  • (右)グループIT本部 情報システム部 コーポレートシステムグループ 課長 池森 正記氏、(左)グループIT本部 情報システム部 コーポレートシステムグループ 片山 翔一氏

    (右)グループIT本部 情報システム部 コーポレートシステムグループ 課長 池森 正記氏
    (左)グループIT本部 情報システム部 コーポレートシステムグループ 片山 翔一氏

分析基盤のクラウド化に着手 短期移行や性能確保などが課題

「世の中の『不安』『不便』『不満』などの『不』を解消」を使命に、無添加の化粧品およびサプリメントに象徴される健康食品を中心に事業展開するファンケル。創業50周年を迎える2030年に向け、自社が目指す姿を具現化したビジョン「VISION2030」を策定し、さらなる企業価値向上に邁進している。

同社は通販や直営店などマルチチャネルの顧客接点を持ち、オンラインとオフラインを適宜融合しつつ、顧客への理解をより深め、最適な製品やサービスの提供に長年注力している。たとえば通販では、顧客の過去の購買に至るまでの行動から、好みや傾向などを分析しアプローチしている。

そのようなマーケティング活動をITで支えるシステム強化にも長年意欲的に取り組んでおり、近年は「FIT(FANCL Information Technology)」の名のもとにプロジェクトを進めている。そこで核となるのがデータ分析基盤だ。各部門が日々の業務で活用するBI(ビジネスインテリジェンス)やMA(マーケティングオートメーション)など数種類のシステム/ツールの土台となるデータベースである。

同社は2010年、分析基盤のデータベースにOracleの「Oracle Exadata」を採用し、オンプレミスで構築していた。2016年にハードウェアを更改したが、2021年にサポート期限を迎えるにあたり、移行の検討を開始した。

ファンケル グループIT本部 情報システム部 コーポレートシステムグループ 課長 池森正記氏は「テーブル数は600、容量は8テラバイトなど、膨大な量のデータを保有しています。分析を高速かつ安定して行えることはもちろん、システム停止は即マーケティング活動停止に直結する非常にミッションクリティカルなシステムです」と話す。

同社はまず、オンプレミスからのクラウド化を決断した。同コーポレートシステムグループ 片山翔一氏は「オンプレミスにハードウェア更改は宿命ですが、クラウドなら無縁です。一方、クラウドはネットワークの遅延がネックとなり、分析基盤のデータベースに必要な性能を満たせるのかを懸念する声もあがっており、性能面の要望をどうクリアするかが課題でした」と話す。

さらに池森氏はユーザー部門からの要望についても、「『使い勝手が変わるのは困る』『分析の一貫性も保ってほしい』『過去データも継続的に使えるようにしてほしい』などの声が上がっていました。その上、移行でシステムを止められるのは1日だけという厳しい条件もありました」と振り返る。

複数のクラウドサービスの中から「Oracle Exadata Database Service」を採用

グループIT本部 情報システム部 コーポレートシステムグループ 課長 池森 正記氏

グループIT本部 情報システム部
コーポレートシステムグループ
課長
池森 正記氏

複数のクラウドDWHサービスなどと比較検討した末、分析基盤のデータベースに採用したのが、Oracleのクラウド型データベースの「Oracle Exadata Database Service」である。

池森氏は採用理由を「オンプレミス時代のOracle Exadataには性能も可用性も満足しており、そのクラウド版ということで信頼がありました。また、同じOracle Exadataシリーズへの移行であることもポイントでした。移行時に許されるシステム停止は1日であり、かつ、もとより移行プロジェクト自体がタイトなスケジュールでしたので、時間や手間、リスクの面で安心できました。他社サービスでは実質、再構築になってしまいますから。さらに、オンプレミスに比べ、コストが抑えられる点も魅力でした」と話す。

Oracle Exadata Database Serviceへの移行は、CTCの支援のもと実施した。2021年2月に検討を開始し、3月末にプロジェクトがスタートした。池森氏と片山氏はCTCのソリューションを次のように評価する。

「CTCは技術力が高く、長年のつきあいから大きな信頼を寄せています。真面目で堅実、それでいて柔軟性も持ち合わせています。たとえば、BIなど本基盤に接続するシステムは複数ベンターの製品が混在していますが、それらの接続テストでは、各ベンターに先んじてテスト環境を開放するなど融通をきかせてくれました。さらに、当社で判断が求められる時、事象を整理し、リスクの洗い出しなど判断材料を的確に出していただき非常に助かりました」(池森氏)

「Oracleの導入に関しては、まさにプロの仕事でした。サポートが手厚く、トラブルにも即対応してくれました。また制約が多いなか、プロジェクトの進行管理もきっちり行っていただきました」(片山氏)

操作性などは保ちつつ基盤のみ強化 バッチ処理2時間短縮など性能向上を達成

グループIT本部 情報システム部 コーポレートシステムグループ 片山 翔一氏

グループIT本部 情報システム部
コーポレートシステムグループ
片山 翔一氏

Oracle Exadata Database Serviceによる新たな分析基盤は、2021年9月にカットオーバーを迎えた。アクティブユーザーは350(同時接続200)、5システムが接続する規模で運用を開始した。

ファンケルはOracle Exadata Database Serviceの採用、およびCTCのソリューションによって、狙い通りの効果を得ている。

「タイトなスケジュールのなか、スムーズかつ確実に移行できたのが大きいですね。実際に移行作業でシステムを止めたのは、1日に満たなかったです。操作性や分析体系は踏襲し、ユーザー部門は移行前と何ら変わらず業務を続けられています。過去のデータも問題なく使えています。私たちIT部門の運用管理体制も今まで通りです」(池森氏)

また、性能面での効果について、片山氏は「クラウド化による性能への不安は、事前にアセスメントした結果、問題ないことが判明したので安心して進めることができました。実際にカットオーバーしたところ、ネットワークの遅延は多少あるものの、Oracle Exadata Database Serviceが高速なため、トータルでは性能が約10%アップし、当初のクラウド化における懸念を払拭できました。不安のままであきらめず、勇気を持って一歩踏み出して本当によかったです」と振り返る。

あわせて、夜間バッチの処理についても効果を得られているという。「処理時間を約2時間短縮できています。移行前、繁忙期は基幹システムからのデータ取り込みが夜間で終わらず、翌朝の業務時間までかかるケースもしばしば発生しましたが、そうしたことが完全に解消されました」(池森氏)

「オンプレミスはハードウェア保守期限の問題が常につきまといますが、意識しないで済むようになりました。オンプレミス時代のライセンス管理の煩雑さからも解放され、データベース使用状況の把握も容易になりました」(池森氏)といったクラウド化のメリットも享受している。

そして何よりも大きな効果が、今後ビジネスの拡大などに応じて、システムを迅速かつ柔軟に拡大縮小することが可能になったことだ。

「分析基盤のリソースの拡大縮小が自分たちですぐにできるのが非常に便利です。実際にカットオーバー後、同時接続ユーザーが想定より増えて処理能力が足りなくなった際、自分たちでOCPUを追加して、即対処できました」(片山氏)

今後の展望について池森氏は、「Oracle Exadata Database Serviceに移行したおかげで、お客様への理解を今まで以上に深めていくためのデータ分析を強力に支える基盤を整備できました。これからの当社のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる基盤でもあります。今後は機械学習なども適宜取り入れつつ、さらなる最適化を図っていきます」と語る。

ファンケルはこれからもCTCとの二人三脚のもと、データ分析を強みに事業成長を続けていく。

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