日本を代表する大手化粧品メーカーのコーセーは、クラウド活用に積極的に取り組む一社です。先ごろも、Web動画のストリーミングサーバをAWSに移行し、社内外で利用するアンケートサイトをAWS上に構築しました。この2つのクラウド化の狙いと効果について──。当事者に伺います。
課題と効果
- 課題
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- オンプレミス環境の老朽化したストリーミングサーバを刷新し、配信にかかる環境の業務負担を低減したかった。
- ストリーミングサーバの運用負荷を大幅に低減しながら、その可用性を高めたかった。
- 全社的なオンラインアンケート環境の使い勝手、可用性を高めるソリューションが必要とされた。
- 効果
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- AWS上にストリーミング配信基盤を構築し、ストレスのない映像配信を実現
- CTCにAWS運用の一部を委託することで業務負担を大幅に軽減
- AWSとCTCの支援により、利便性が高く、セキュアなアンケートサイトをAWS上で実現
導入事例インタビューデータ
- 会社名
- 株式会社コーセー
- 所在地
- 東京都中央区日本橋3-6-2(本社)
- 創業
- 1946年
- URL
- http://www.kose.co.jp/
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株式会社コーセー
情報統括部
部長小椋 敦子氏
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株式会社コーセー
情報統括部
システム企画課 課長石原 秀男氏
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株式会社コーセー
情報統括部
システム企画課岡田 かおり氏
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株式会社コーセー
情報統括部
システム企画課川端 由紀氏
IT戦略の重要な柱としてクラウド化を推進
コーセーは、1946年の創業以来70余年にわたる歴史の中で一貫して化粧品ひとすじで業績を着実に伸長させてきました。現在、専門店や百貨店を中心にカウンセリングを通して提供する高級化粧品から、量販店・ドラッグストア等で手頃な価格で提供する商品まで多彩なブランドを展開しています。
以前よりコーセーでは、プロモーションやマーケティング施策の一環として長年にわたりWebサイトを運営してきました。
「Webは今や重要なプロモーションチャネルです。そのチャネルを使ったマーケティング施策を下支えすることは、IT部門の重要な役割の一つになっています」と、コーセーの情報統括部 部長である小椋敦子氏は語ります。
化粧品の販促手法としてデジタルマーケティングの重要性が高まるにつれて新たなサービスを迅速に開発・提供する必要性も増してきたこともあり、同社では主として自ら運用管理を行ってきたオンプレミス環境上のWebサイト環境を、全てクラウド化する方針を打ち出したのです。
AWSを使ったストリーミング配信を開始
こうした方針の下、同社がクラウド化に着手した一つが、Webサイト向けの動画を配信するストリーミングサーバです。
「動画の大多数はYouTubeを使って配信していますが、著作権・肖像権の問題から、YouTubeで配信できないコンテンツも全体の1割程度存在します。当社ではそうしたコンテンツを、オンプレミスのストリーミングサーバで配信していました」と、小椋氏は振り返ります。
そのストリーミングサーバが老朽化したこともあり、アクセス集中により動画配信に障害が発生するケースも見られ始めました。くわえて、iOS/Androidベースのスマートデバイスへの配信が行えないという問題を抱えていました。
「そうした課題を一挙に解決すべく、ストリーミングサーバのクラウド化を決定しました。AWSを採用した理由は、2012年ごろから店頭システムの開発基盤としてAWSを活用しており、その拡張性や柔軟性を評価していたからです」(情報統括部 システム企画課 課長 石原秀男氏)。
AWSの採用を決めたコーセーは、CTCにAWS上でのシステム構築・運用を依頼し、その要請を受けたCTCは、AWSのグローバルなコンテンツ配信ネットワークサービス「CloudFront」とストリーミングエンジン「Wowza」を利用した環境を構築しました。
「AWSに移行し、ストリーミングサーバの冗長化や自動振り分けを実施したことで、スマートフォンや海外に対しても、ストレスのない映像配信が可能になりました。また、アクセス集中による障害も回避され、サイトインフラに関わる運用管理の手間も軽減し、非常に助かっています」(システム企画課 岡田かおり氏)。
アンケートサイトをAWS上に構築
コーセーでは、ストリーミングサーバのAWS移行と並行して、社内外で利用するアンケートサイトもAWS上に構築しました。
「当社では、定期的に社内外にアンケートを実施し、店頭サンプルやキャンペーンに対するお客様の反応調査の実施や、取引先様とのコミュニケーションに利用していますが、そうしたアンケートを実施する際、各部署が独自にWebサービスを選定するケースが珍しくありませんでした。そのような状況を看過するのは、セキュリティの観点から言っても好ましいことではありません。そこで全社共通のアンケートサイトをIT部門で用意し、各部署が手軽かつ安全に利用できるようにしたのです」(小椋氏)。
このアンケートサイトは、まずは従業員から商品化のアイデアを募る「アイデアコンテスト」をターゲットに開発されることになりました。 「これまでは、携帯電話用の応募サイトを内製していましたが、今回のコンテストでは、スマートフォン対応が求められたほか海外拠点のスタッフも利用する想定で、あまりコストをかけずにセキュリティをしっかりと担保する必要もありました。そこで、実績があり信頼できるサービスを活用したほうがよいと判断し、CTC様より紹介いただいたCMSの「BLOCK×BLOCK」をAWS上で利用することを決めました」(石原氏)。
「新しいアンケートサイトはデザインカスタマイズの自由度が高いことに加えて、部署や役割に応じた権限を柔軟に設定できるなど、セキュリティを確保するための機能もしっかりと備えています。この仕組みによってアンケート実施の効率化とあわせて、ITガバナンス/セキュリティの向上が実現できたと考えています」(システム企画課 川端由紀氏)。
この言葉を受けたかたちで、小椋氏はCTCの働きをこう評価します。 「CTCには、単にAWSに精通しているだけではなく、顧客の要望に応じて、適切な技術、サービス情報を提供しインテグレートできる力があります。その総合力に対しては高い安心感があります。今後も、クラウドの利用価値が高いシステムは、積極的にAWS移行を図る計画ですので、CTCにも一層の支援・協力を期待しています」。
主なAWSサービス
- Certificate Manager
- AWS SNS
- Amazon CloudFront
- Elastic Load Balancer
- Internet Gateway
- VPC Peering
- Elastic IP
- Amazon EC2
- Amazon S3
- Amazon S3 bucket
- Amazon CloudWatch