BtoBを専門に広告代理店事業、イベント企画運営事業を展開するビッグビートは、自社開発したイベント管理システム「Bスクエア」でのクラウド活用に取り組んでいます。システム基盤として同社が選択したのは「AmazonWebServices(以下、AWS)」。CTCと共同でAWSの仮想サーバ上にシステム基盤を構築し、2017年8月の自社主催イベントでの試験的な活用に着手しました。
課題と効果
- 課題
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- 自社開発のイベント管理システム「Bスクエア」のサービス拡充に向け、複数サーバから成るシステムを柔軟に構築したい
- 負荷の集中があっても遅延のないシステム基盤を用意したい
- イベントの開催に合わせたシステム基盤を迅速に構築したい
- 効果
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- 自社イベントへの適用にて、AWS活用による構築期間短縮・柔軟な拡張といった効果を確認
- 「Oracle Database」のライセンス料も含めたコスト削減を実現
- CTCの手厚いサポートにより、設計・構築期間を大幅に短縮
導入事例インタビューデータ
- 会社名
- 株式会社 ビッグビート
- 所在地
- 東京都千代田区紀尾井町 4-1 ニューオータニガーデンコート
- 設立
- 1995年3月
- URL
- https://www.bigbeat.co.jp/
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株式会社 ビッグビート
取締役
営業部 部長金子 秀明氏
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株式会社 ビッグビート
システムエンジニア
西田 尚夫氏
イベントビジネスを中心にBtoBマーケティングを全方位で支援
ビッグビートは、1995年に設立された中堅広告代理店です。新聞・雑誌・インターネットメディアなどの広告枠販売、広告原稿の企画・デザインなどのクリエイティブワーク、会社案内・カタログ・ポスターなど販促物の制作、デジタルマーケティング戦略の立案・支援といったビジネスを幅広く展開するほか、展示会・カンファレンスなどのイベントビジネスを手掛けています。
「当社の特色は、BtoB市場に特化した広告会社という点です。大手ITベンダーなど、BtoB市場におけるトップ企業をメインのお客様として擁し、営業活動を直接的に支援するセールスプロモーションに強みを持っています。また、お客様主催の展示会、カンファレンス/セミナーなどの企画・運営には特に定評があります」(取締役 営業部 部長、金子秀明氏)。
そんなイベントビジネスを支える強力な武器となっているのが、イベント運営のプロフェッショナルサービス「Bスクエア」です。これは、同社のイベント運営ノウハウを詰め込んだ自社開発のイベント管理システムを土台としたサービスで、BtoBセミナーの運営で豊富な経験を持つ事務局スタッフの派遣も含めて、イベントを成功させるために必要な事務作業を丸ごとアウトソースできるのが特徴です。
「Bスクエアは、イベント来場者の登録・管理機能を備えたWebシステムとしてスタートさせたものです。2003年の開発以降、お客様のご要望に対応しながら、10数年にわたって機能拡張を続けてきました。現在は年間50以上のイベントでBスクエアを利用しています」(金子氏)。
Bスクエアは、来場者の登録管理を行うメインシステム「B-square(登録管理システム)」を中心に、出展者・講演者を管理する「B-circle(情報収集システム)」、展示会・セミナーのタイムスケジュールを管理する「B-creative(制作進行管理システム)」、配布物やノベルティを管理する「B-palette(資材管理システム)」などから構成されています。またB-squareでは、参加者と主催者とのインタラクティブなコミュニケーションを実現するシステムも提供されています。
新たなシステム基盤としてAWSを採用
こうしたBスクエアを構成する一連のシステムはこれまで、ホスティングービス事業者が提供する仮想専用サーバ(VPS=Virtual Private Server)上に構築され、運用されてきました。ただ、ビックビートには、顧客にとってのBスクエアの利便性を一層高め、かつ、リアルとバーチャルの融合によってイベントでの体験をよりリッチにするという計画があり、その推進には複数サーバによるシステム運用が必要になる可能性があります。そこで、複数サーバを用いたシステムをより柔軟に、かつスピーディに構成・構築できる新たなインフラを模索しました。結果としてたどりついたのがクラウドサービスの活用だったと、Bスクエア担当のシステムエンジニア、西田尚夫氏は話します。
「Bスクエアのシステムは、イベントごとに1台のVPSにインストールし、イベント専用のカスタマイズを加えて運用しています。イベント終了後は、データベースに蓄積したデータをお客様に提出し、運用期限を過ぎたイベントのシステムをスクラップするという使い方です。現状でのVPSのキャパシティには問題はありません。ただ、今後のサービス拡充を見据えると、システム基盤は、複数サーバから成るシステムを、より柔軟、かつ迅速に立ち上げられるものであることがベストです。そこで、クラウドサービスの活用を検討したのです」
実際、クラウドサービスならば、イベント開催に合わせて複数サーバから成るシステムを短期間で立ち上げることができます。しかも、使わなくなったサーバはすぐに削除できるという利点もあり、「Bスクエアの運用には最適ではないかと考えました」と、西田氏は説明を加えます。
この考えの下、西田氏は、Bスクエアのシステム基盤となりうる国内外の主要なクラウドサービスを試用し、比較検討を行いました。
「その結果、Bスクエアの稼働プラットフォームであるLinux環境との相性の良さ、サーバインスタンスのスペックを必要に応じて簡単に変更できる操作性・利便性の高さから、AWSを採用することにしました」(西田氏)。
さらに、AWSはコスト面でも優位性があったと西田氏は指摘します。
「AWS上のBスクエアでは、データベースとして今後のシステム拡張やセキュリティ向上を見据えてエンタープライズで利用する『Oracle Database』を採用しました。AWSの『Amazon RDS for Oracle Database』の場合、Oracle Databaseのライセンスを個別に購入する必要はなく、ライセンス込みの料金で利用できます。その経済性も、AWSを採用する大きな決め手になりました」(西田氏)。
自社イベントに適用し効果を確認
AWSの導入に当たり、ビッグビートでは伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)にシステム基盤の構築を依頼しました。「システム基盤の構築力に強みがあり、AWSに関しても豊富な実績があることから、Bスクエアのシステム基盤の構築をCTCに依頼しました」(西田氏)。
ビッグビートが、Bスクエアをクラウド化する最初のイベントとして選んだのは、2017年8月1日に開催された自社主催のBtoB企業向けカンファレンス「Bigbeat LIVE」です。
「イベント用のシステム基盤は、CTCに構築を依頼してから約2週間という短期間で引渡ししてもらいました。そこから約2~3週間をかけてイベント用にカスタマイズし、トータルで約1カ月程度の短期間でシステムを稼働させることができました。初めての試みにもかかわらず、短期間でシステムが立ち上げられたのは、CTCによる技術支援のおかげです。今後は実績を重ねることで、さらにシステムの立ち上げが効率化できると見込んでいます」(西田氏)。
西田氏によると、現在、Bスクエアの機能強化を進めており、イベント当日に講演者と来場者がリアルタイムに意見を交す機能などの搭載も実験しています。こうしたリアルとバーチャルの融合により来場者のイベント体験はリッチになりますが、サーバへの瞬間的な負荷は高まります。それを支える基盤としても、AWSは有効であり、ビックビートでは、他のイベントでのAWS活用も本格的に検討する構えです。