電巧社は、オンプレミス環境で運用していた財務会計システムを刷新し、アマゾンウェブサービス(以下、AWS)上で稼働するパッケージ「Plaza-i」へと全面的に移行しました。移行に当たり、同社では、システムの構築とAWSの運用管理を伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)に委託。わずか半年という短期間のうちに移行を終え、安定稼働を実現しています。
課題と効果
- 課題
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- 基幹業務システムの運用管理やメンテナンスが行き届いていない
- 旧会計システムでは支払手形を利用して支払っていた為、電債システムに対応が出来なかった
- 旧会計システムで利用するマクロなどは開発した担当者に運用/保守など依存していた為、属人化になっていた
- 効果
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- クラウド化と運用管理の委託により安定運用を実現
- システム上で一元的に処理してデータ活用が可能
- 経理業務が従来よりも20%~30%効率化が図れた
導入事例インタビューデータ
- 会社名
- 株式会社電巧社
- 所在地
- 東京都港区海岸3-9-20
- 創立
- 1928年
- URL
- https://www.de-denkosha.co.jp/
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株式会社電巧社
管理本部 経理課 課長
横山 正春氏
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株式会社電巧社
管理本部 経理課 チームリーダー
宮田 和也氏
社内システムに課題を抱えていた電気業界の老舗
株式会社電巧社は、1928年(昭和3年)に創業した“電気にかかわるあらゆる製品とサービス”を提供する老舗企業です。もともと電気工事業 としてスタートを切り、のちに東芝の特約代理店として成長してきました。現在は東芝を中心とする国内有力メーカーの産業電気機器、受配電設備、空調設備、昇降機、ビル総合管理システム、情報通信機器などの多岐にわたる製品を扱う電気商社事業に加えて、ものづくりへの強いこだわりを持つ配電盤メーカーという側面も持っており、電気に関するニーズに応える“電気のコンシェルジュ”を事業活動の軸に据えています。
そんな電巧社には長年、情報システム部門が存在していませんでした。財務会計、人事給与、生産管理といった基幹業務システムをオンプレミス環境のサーバーで自社運用していたものの、総務・人事・経理などを統括する管理本部の担当者が、情報システムの運用管理を他業務と兼任で遂行していました。
「情報システム専任の担当者がいなかったこともあり、基幹業務システムの保守・運用管理は行き届いた状態にはなく、特に財務会計業務については、紙による手形発行や決済処理が多く残っており、それが管理本部の負荷を高止まりさせていました」(坪田氏)。
同社ではそれまで、国産の財務会計パッケージをオンプレミス環境に導入して利用していました。しかし、このシステムは過去5年以上もアップデートが行われておらず、電子債権にも対応できていませんでした。また、紙を使って処理をする業務も数多く残っており、その大半の仕組みは作成した担当者に依存する属人化したものでした。
改革の一環として財務会計システムをクラウド化
こうした状況を変革すべく、坪田氏は財務会計システムのあり方を全面的に見直し、そのクラウド化を決断したといいます。 「社内システムの運用管理に多くの人的リソースを振り向けられないのであれば、クラウドサービスを活用して、運用管理の負荷を可能な限り減らすのが理にかなった方法です。そこで、国産パッケージの契約期限が切れるタイミングに合わせて、クラウドベースの財務会計パッケージに移行しようと決断しました」(坪田氏)。
この考えの下、坪田氏はまず、財務会計システムを稼働させるクラウドプラットフォームとしてAWSを選定しました。理由は基幹業務の基盤としてAWSの実績が豊富だからです。
一方、AWS上で動作させる財務会計パッケージの選定は、経理業務を担当する管理本部 経理課チームリーダーの宮田 和也氏が担当しました。宮田氏は、複数のクラウド型財務会計パッケージを比較検討しました。その検討のすえに選んだのが、ビジネス・アソシエイツの「Plaza-i」です。 「このパッケージを選定した理由は、電子債権の機能も含めて、私たちが欲しいと考えていた機能を網羅的にサポートしていたためです」(宮田氏)。
また、財務会計パッケージの選定と合わせて、電巧社はシステムのAWS移行・運用をサポートしてくれるSIベンダーを探し、結果としてCTCにたどり着いたといいます。 「CTCは、AWSの『APNプレミアコンサルティングパートナー』であり、AWS上でのシステムの構築・運用管理の実績が豊富です。しかも、Plaza-iの開発元ビジネス・アソシエイツも、CTCの支援によってシステムの基盤をAWSに移行したという経緯があります。そうしたことから、CTCにAWSへの移行と、運用管理を支援してもらうことにしたのです」(宮田氏)。
電巧社がCTCと契約したのは2018年3月。それから要件定義などの準備作業を進め、2018年5月から移行の作業に本格的に着手しました。目指したのは、2018年7月のカットオーバーです。
「既存の財務会計システムのデータベースには、これまで蓄積したデータを外部へアウトプットする機能が用意されておらず、移行作業は困難が予想されました。しかし、当社が独自に実施していたデータベースのバックアップを活用できることが分かり、そこからマスターデータベースを作成するという手順で進め、当初予定の2018年7月に運用をスタートできました」(宮田氏)。
経理業務の効率性が従来比で20%~30%アップ
こうしてAWS上で稼働する財務会計システムを移行した電巧社ですが、その導入効果は非常に大きいと、管理本部 経理課 課長の横山 正春氏は話します。
「特に大きな効果と感じているのは、データ活用が楽になったことです。従来は財務会計システムの勘定の中身を見て明細として取り出し、それをExcel上で消し込むという手順を踏んでいましたが、そうした作業はすべてクラウド上で一元的に実施してデータ活用ができるようになりました。これにより、経理業務は従来よりも20~30%は効率化されたと感じています」(横山氏)。
宮田氏は、AWSへの移行支援と運用管理を担当するCTCを高く評価します。 「移行してから約10カ月が経過しましたが、その間、大きなトラブルはなく、安定稼働が続いています。当社にはAWSに関する知見はありませんが、CTCの運用サービスによって何らかのトラブルが発生してもCTC側で切り分けて対応してくれます。AWSにも運用管理をするCTCにもなにも不満はありません」(宮田氏)。 電巧社では今回の移行をきっかけに、システムのクラウド化を積極的に推進していく予定です。 それに伴い、AWSを利用したシステムが今後さらに増えていくことになるでしょう。そうしたシステム基盤の構築・運用を支援するCTCのサービス「CUVIC on AWS」には今後も期待をかけていくとしています。
導入製品・ソリューション
- cloudage CUVIC on AWS