事例

パナソニック コミュニケーションズ株式会社 様

更新

仮想化+ファイルサーバ統合+DR スモールスタートで開始し順次規模を拡大!

コスト削減は情報システム部門の永遠の責務である。一方、地球温暖化防止のCO2削減は、あらゆる企業の義務だ。このコストとCO2の削減を一挙に実現するソリューションが仮想化である。パナソニック コミュニケーションズでは仮想化のほかに、ファイルサーバ統合とDR(ディザスタリカバリ)も大きな課題となっており、そのために採用したのが仮想化統合インフラ「VM Pool」であった。仮想化ソフトにVMwareInfrastructure 3とストレージにNetApp FAS シリーズ、そしてHP製ブレードサーバを組み合わせ、同社の課題を鮮やかに解決している。

課題と効果

課題
  • 環境対策の一環でCO2を削減したい
  • 大幅なコスト削減を図りたい
  • 将来的にマシンルームのスペースを確保したい
  • 複数のファイルサーバを統合したい
  • DR(ディザスタリカバリ)による災害対策を実現したい
  • 運用工数を削減し負荷の軽減やセキュリティの向上を実現したい

仮想化統合インフラ「VM Pool」の導入

効果
  • チーム・マイナス6%への貢献
  • 年間でCOの排出量を1/3に削減(既存比)
  • 初年度で約4割(既存比)のコスト削減
  • リソース追加などユーザーニーズへの即答
  • 信頼性の大幅な向上
  • システムの延命

導入事例インタビューデータ

会社名
パナソニック コミュニケーションズ株式会社
所在地
〒812-8531 福岡市博多区美野島4丁目1番62号
資本金
298億45百万円
従業員
17,500名(当社連結ベース、平成20年3月31日現在)
URL
http://panasonic.co.jp/pcc/新しいウィンドウで開く
  • パナソニック コミュニケーションズ株式会社 情報システムグループ システム基盤チーム チームリーダー松元 浩二 氏

    パナソニック コミュニケーションズ株式会社

    情報システムグループ システム基盤チーム チームリーダー

    松元 浩二 氏

  • パナソニック コミュニケーションズ株式会社 情報システムグループ システム基盤チーム 主任技師浜山 智朗 氏

    パナソニック コミュニケーションズ株式会社

    情報システムグループ システム基盤チーム 主任技師

    浜山 智朗 氏

導入背景

CO2削減とマシンルームのスペース確保

パナソニック コミュニケーションズは、九州松下電器と松下電送システム、および松下通信工業のPBX・ホームテレホン事業部門、パナソニックのシステム営業本部の固定通信関連営業が統合し、設立された会社である。

中軸となる事業はコミュニケーション、ドキュメント、そしてオプティカル・デバイスの3つ。これらの事業をとおして、豊かなユビキタスネットワーク社会の実現を目指している。

同社ではグループをあげて環境対策にも力を入れている。「二酸化炭素削減を目指す国民的プロジェクト『チーム・マイナス6%』に参加していますし、情報システムグループにおいては、4年以内に6割以上のCO2を削減するという高い目標を掲げており、これに積極的に取り組んでいかなければなりません」と、同社 情報システムグループ システム基盤チーム チームリーダー 松元 浩二 氏は語る。

「サーバ台数が増加し、数百台におよんでいます。マシンルームのスペースも限界に近くなっており、その対策も求められていました」と、同 主任技師 浜山 智朗 氏も付け加える。2007年12月のことであった。

サーバ集約とDRの検討を開始

CO2の削減、そして将来的なマシンルームのスペース確保。これを一気に解決するものとして仮想化技術の導入が考えられた。「2008年1月には仮想化の検討を本格化して、いくつかのベンダーに声をかけました」(松元氏)。

その要件には仮想化に加えて、ファイルサーバ統合とDR(ディザスタリカバリ)があった。「仮想化とともにファイルサーバ統合も一緒に考えていました。これもサーバ統合に大きな効果があるからです」(浜山氏)。DRは2007年から進めており、最重要と考えられるいくつかのシステムはすでに対策が終了している。さらに、サーバを統合してシステム全体がシンプル化するこの機会に、残りの重要システムの対策も計画を盛り込んだ。

加えてサーバを統合することで運用負荷も軽減したかった。運用工数を減らすことでセキュリティ強化にもなるし、コスト削減も可能となる。このように、同社において、仮想化の実現はいくつもの課題解決が期待されていた。

システム概要

スモールスタートに対応する「VM Pool」を採用

システム概要

導入形態として求められたのが、スモールスタートであった。コンサルタントを入れて念入りに検証をするのではなく、低コスト・短期間に導入したかった。「全社レベルの大がかりな導入事例もそろそろ出てきた時期ではありますが、まだ不安はありました。サーバのリース切れやサポート打ち切りが目前に迫っていましたので、それから順次仮想化して、様子を見ながら拡張していこうということです」(松元氏)。

そしてこれら要件をクリアする提案として採用されたのが、CTCの提供する仮想化統合インフラ「VM Pool」であった。仮想化ソフトにVMware VI3とストレージにNetApp FAS シリーズ、そしてHP社製ブレードサーバを組み合わせて、ITインフラの最適化を実現するソリューションである。

ストレージにNASのNetApp FAS シリーズを採用しており、ファイルサーバ統合にも仮想化にも共通して使うことができる。だが、心配もあった。「このような環境下では、ファイルサーバとしてのレスポンスが気になりました。期待どおりの数値を得られるかどうか不安だったのです」(松元氏)。

これを察知して、CTCはすぐに検証機を提供し、レスポンスに問題のないことを証明する。「このリアクションの速さ、そして我々の求める要件をすべてクリアしているということで、CTCの提案に落ち着きました」と、松元氏はCTCを評価する。

ハードリプレースとほぼ同額の低コストで初期導入

2008年3月には仮想化導入が決定。4月から本格的な構築に入り、6月から稼働を開始している。最初は自社で運用しているイントラネットのサーバ群が集約の対象となった。「当初の構築費用は、対象となっていたサーバのリプレース料金とほぼ同額でした。仮想化の導入はどうしても最初のハードルが高くなりがちですが、こちらの狙ったとおりのスモールスタートを実現しています。これがVM Poolの大きな 魅力ですね」(松元氏)。

以降、リプレースの対象となるサーバから、順次集約していく。10月からはP2Vにも挑戦。「それまではクリアインストールしていましたが、P2Vのほうが圧倒的に楽です。これでインストール負荷がずいぶん軽減されました」(浜山氏)。

同じ10月から東京目黒区にある東京オフィスにもNetApp FAS シリーズを導入し、ファイルサーバを統合。さらに、福岡-東京間の2拠点でデータレプリケーションを開始し、DRが可能となった。データ転送は夜間、NetAppの持つ機能で自動実行している。何らかの障害で拠点のデータが失われても福岡のデータは東京に、あるいはその逆にレプリケーションされたバックアップデータが残る。例え、拠点のシステム全体が壊滅的な被害を受けてもデータだけは確保できるのである。

さらに、東京ではサーバ仮想化を12月から開始、これも順次拡大している。

導入効果

約4割の大幅なコスト削減

仮想化導入とファイルサーバ統合によって、大幅なサーバ台数の削減か可能になった。福岡で約100台が8台に、目黒で約30台が2台まで削減している。これらほとんどはリプレースを迎えたサーバであり、今後もその数は増えていく。

さらにアプリケーションライセンスのコスト削減も忘れてはならない。「CPU課金のRDBMSはライセンス費用が1/5までになりました」(浜山氏)。これらサーバの購入台数の削減とライセンス費用により、約4割ものコスト削減を実現している。これに、運用負荷や消費電力、省スペース化も含めれば、もっと大きな数字になるに違いない。「実際、省スペース効果にも驚くほどのものがあります。すでにラックが4本減っています。1台のラックが1枚のブレードに収まってしまうのです」と松元氏は語る。

「システムの延命効果もあります」と浜山氏も語る。Windows 2000 Serverで稼働していたシステムもあったが、すでに新たに購入するサーバではWindows 2000 Serverに対応できない。だが、仮想化環境ならP2Vで簡単に移行することが可能となる。

今後の展望

仮想化の規模を順次拡大

仮想化が与える恩恵は大きい。コスト削減やCO2削減は経営層に大きなインパクトを与え、台数削減による運用負荷の軽減は現場システム担当者のメリットとなる。「ユーザーからリソースの増強を求められても、すぐに対応できます。かつてなら物理サーバやストレージの購入が必要でしたが、今ではそんな作業はまったくいりません。我々にとってはこのメリットも大きいと思います」(浜山氏)。

同社では仮想化を、サーバのリプレースの順に拡大している。「仮想化に、はまりましたね。導入して大成功でした。とはいえ、そろそろ別セットでシステムを構築しなければいけないでしょう。I/O負荷が大きくなりレスポンスが心配だからです。最終的には3セットぐらいになるかと思います」と、松元氏は予想する。そして「マイクロソフトのHyper-Vにも興味があります。これも試してみたいと思います」とも語る。これら仮想化環境の拡大にも、CTCの技術力と素早い対応が期待されている。

用語解説

DR(Disaster Recovery)
災害復旧のこと。天災や人災によりITシステムが稼働できなくなったときに備え、業務を継続するための代替手段を構築すること。

P2V(Physical to Virtual)
物理サーバから仮想サーバへの移行を支援するVMware Converterの機能。

レプリケーション
まったく同じ内容のデータを複製(レプリカ)して、別の拠点に配置すること。NetAppはストレージ自身でこの機能を備えている。

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