ビジネス継続のための多彩なニーズに対応
地震や台風など、日本は世界有数の災害多発国である。企業は、これら災害時でも安定してビジネスを継続できなければならない。とりわけ内部統制の強化等を背景に、この課題が重要視されるようになっている。これらニーズに応えるため、トランスコスモスは「マネージドIDCサービス」を開始した。
課題と効果
- 課題
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- 4カ月という短期間でセンター構築
- 沖縄という遠隔地での保守
- 企業カラーを取り入れたオフィスデザインと働きやすい環境の追求
CTCに依頼してITシステムはもちろんファシリティまで
トータルにオフィス構築
- 効果
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- ファシリティも含めCTCに窓口を一本化することで、構築業務の効率化や手戻りを削減
- CTCの沖縄拠点を活用し、システムの安定した保守運用を提供
- 実績と専門知識を活かして業務にフィットするレイアウトやゾーニングを実現
導入事例インタビューデータ
- 会社名
- トランスコスモス株式会社
- 所在地
- 東京都渋谷区渋谷3-25-18
- 設立
- 1985年6月18日(創業1966年)
- 資本金
- 290億6,596万円 (※2007年3月末現在)
- 従業員数
- 本体:7,520名 グループ:10,356名(※2007年3月末現在)
- URL
- http://www.trans-cosmos.co.jp
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トランスコスモス株式会社
ビジネスプロセスアウトソーシングサービス総括事業推進本部 プロジェクトマネジメント部長
藤原章夫 氏
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トランスコスモス株式会社
ビジネスプロセスアウトソーシングサービス総括事業推進本部 プロジェクトマネジメント部 ITマネジメントサービス課 マネジャー
芝山善之 氏
導入背景
ITアウトソーシングのトランスコスモス 「マネージドIDCサービス」に着手
ITアウトソーシングの大手トランスコスモスの創業は1966年。ビジネスを着実に拡大させ、現在では「デジタルマーケティング事業」「コールセンター/コンタクトセンター事業」「システム開発、設計事業」「ビジネスプロセスアウトソーシングサービス事業」が同社の中核部門となっている。
今回「マネージドIDCサービス」を開始した「ビジネスプロセスアウトソーシングサービス事業」部門では、BtoBおよびBtoE向けの「システム構築」「検証」「サポートデスク・AP保守」「システムマネジメント」「ビジネスサポート」などのITアウトソーシングサービスをワンストップで提供している。
「業界でもトップクラスの充実したサービスメニューを誇っていますが、それでも未着手の分野がありました。それが、高品質な災害対策ソリューションです」と、同社 ビジネスプロセスアウトソーシングサービス総括事業推進本部 プロジェクトマネジメント部長 藤原章夫 氏は語る。
災害対策ソリューション開始の契機となったのは、同社が提供しているJ-SOX対応や内部統制対策に関するコンサルティングであった。顧客の相談に対応することで、多くの企業が災害対策や事業継続に課題を抱えていることがわかった。だが、当時トランスコスモスのサービスの中には、これら課題を解決するメニューがなかったのである。
そこで、浮上したのが「マネージドIDCサービス」であった。首都圏から同時被災比率の低い沖縄にIDC(インターネットデータセンター)を構えるとともに、沖縄MSP(マネージドサービスプロバイダー)センターを開設。24時間365日、安定してデータ保護とシステムの運用監視サービスを提供するものだ。
極めて短期間で沖縄MSPセンターを構築 ITFMの実績と専門技術を持つCTCに依頼
サービス提供にあたり、データセンター(沖縄IDC)の開設は沖縄で高度なファシリティを持つファーストライディングテクノロジーとパートナー契約を締結した。残るは、システムの監視運用センターの構築である。「システムの運用監視に関して、我々には卓越した技術とノウハウがあります。それを十分に活かせるオフィス設計とシステム構築を目指しました」(藤原氏)。
だが、センター構築に着手したのは2007年5月。すでに同年9月よりサービス開始のアナウンスをしているため、実作業にかけられる期間はわずか4ヵ月しかない。さらに、構築するのはトランスコスモス本社からは遠く離れた沖縄である。構築はもちろん、オフィスやシステムの保守も必要となる。「加えてオフィスデザインの品質も求めました。弊社のコーポレートカラーを活かしつつ、沖縄のイメージを盛り込んだデザインを希望しました」と、同社 ビジネスプロセスアウトソーシングサービス総括事業推進本部 プロジェクトマネジメント部 ITマネジメントサービス課 マネジャー 芝山善之 氏は振り返る。また、センターで使用する什器は、本社や有明ソリューションセンターと同一にして、流用ができるようにもしたかったという。
これら要求に対応できるベンダーは、CTC以外にはなかった。「CTCは納期、コスト、保守、システム構築、いずれにも秀でていました。専門的な技術を持っており、適切なアドバイスを期待できました」と、採用の理由を芝山氏は語る。
CTCというと、ITシステムの構築に強いというイメージがあるが、2006年に立ち上がったITFM(IT Facility Management)サービスにより、オフィスの移転・統合から新規構築まで対応する。オフィスの全体計画や現状調査、基本計画・設計、入居工事、引っ越しまで、トータルに提供できるのである。とりわけ、トランスコスモスではMCMセンター宮崎の構築など、すでに実績があった。システム構築、設計、什器調達などをそれぞれの専門業者に依頼するよりも、発注側は少ない手間で済むし、工事等での手戻りも少ない。これは短納期にもつながる。「構築にあたっては営業と技術の窓口も一本化していただき、我々の余分な業務工数を削減できました」(芝山氏)。
システム概要
高度なセキュリティ環境と働きやすい環境の追求
順調にオフィス構築は進み、スケジュールどおり9月6日には開所式を迎えることができた。完成したオフィスを「ISMSに準拠したセキュリティ環境や優れた利便性の働きやすい環境を実現できました」と、芝山氏は評価する。
セキュリティとして取り込んだ対策は次の9項目に及ぶ。(1)登録制の入出許可(2)入出管理(3)関係者チェック(4)センター内監視(5)外的攻撃防御(6)不正アクセス防止(7)情報漏えい防止(8)情報へのアクセス追跡(9)リテラシー教育。このほか、ゾーン別(各部屋)にもセキュリティ対策を施している。
安定したサービスのため自家発電設備も用意。瞬電対策済みの電源環境や監視環境の二重化、さらに回線の冗長化など、可用性が高いファシリティ環境となっている。
また、TV会議システムの導入により、遠隔地との充実したコミュニケーションと出張経費の削減、情報共有の効率化を実現。来客エリア、監視エリア、事務エリア、コミュニケーションエリアの4ゾーンを設けるなど、利便性も追求している。
導入効果
構築ポリシーを実現し働きやすいと高い評価
「セキュリティ上、窓のないオフィスとなっていますが、照明やカラー計画等の工夫で、快適な作業空間にできました。短納期と限られたコストの中で努力していただき、CTCには大変感謝しております」と、芝山氏は語る。
特に、明るい照明と白を基調とした壁や沖縄をイメージしたインテリアカラー、トランスコスモスのイメージカラーの調和が従業員から喜ばれている。余分な配線や突起物なども壁や床からは見えないデザイン。「すでに多くのお客様企業が現地を訪問されています。システムを預けるにあたって、調和のとれた監視環境に安心感と期待感を覚えていただいております」と、藤原氏も満足している。
今後の展望
お客様の多彩なニーズに柔軟に対応 新たな分野でビジネス拡大に挑戦
沖縄IDCと沖縄MSPセンターによる「マネージドIDCサービス」は、バックアップセンターとして遠隔地からのデータリカバリーにも対応できるし、代替センターとしても機能する。もちろん、メインセンターとして活用することも可能だ。従来型の災害対策とは異なり、トランスコスモスならではの高品質なシステム運用のノウハウも最大限に活用できる。「遠隔地にあるIDCとして、多彩なニーズに対応できます。運用監視も、複数のお客様の共同利用となるリーズナブルなシェアード型からミッションクリティカルな専任体制も可能です」と、藤原氏は強調する。
「マネージドIDCサービス」は、トランスコスモスにとって新たな分野への挑戦であり、ビジネス拡大のための重要な戦略の1つだ。その戦略をCTCのITFMが実現し、確かな保守サービスで強力に支援している。
用語解説
MSP(マネージドサービスプロバイダー)
IDCにて預かったシステムや機器に対して、保守、監視、運用等の作業をお客様に代わって代行するサービス提供事業者。
ファシリティ
設備のこと。ビジネス環境における、施設、家具、備品、内装、ITシステムなどを含む。