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~緊急地震速報は2種類あるのですか?~

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CTCがご提供する様々なIT技術に関する素朴な疑問を、CTCの社員が易しく解説します

一般と高度利用者向けを提供

 気象庁の緊急地震速報には、テレビやラジオで流される一般向けのものと、公共交通機関や社会基盤施設などが専門の予報企業と契約している高度利用者向けの2種類があります。

 一般向けの緊急地震速報は、2点以上の地震観測地点で検知された情報を元に、最大震度が5弱以上と予測された地震に対して、「まもなく大きな揺れがきます」という内容を放送などで伝えます。それに対して、高度利用者向けの緊急地震速報は、震源地がマグニチュード3・5以上か、最大予測震度が3以上の地震に対して、発生から2~3秒以内に震源地(緯度・経度・深さ・マグニチュード)の情報を気象庁から受信できます。

 この情報に対して、予測地点の震度や到達予測時間を解析して、契約している企業に情報を発信するサービスをCTCでは行っています。気象庁から発信される高度利用者向けの緊急地震速報に対して、震度や到達予測時間を予測して提供するためには、気象庁予報業務許可が必要になります。そこで、CTCは鉄道総研グループのANETと協業して、受信システムの開発やサービスの提供を行っています。

 2004年3月の気象庁による試験配信の開始から、CTCは鉄道総研による地震警報システムの開発に携わってきたので、先行的な利活用期間が長く、すでに数多くの早期警報による安全な対応の実績を残しています。公共放送による一般向けの速報とは違い、専用のネットワークを利用してリアルタイムに速報を発信するので、震度と時間が的確に把握できることから、導入している企業や施設では、的確な避難や防災対応が可能になります。

 実際に高度利用者向けの緊急地震速報を利用している会社や施設は、公共交通機関や公共施設、建築現場、企業や工場などになります。将来は小規模な施設や個人でも、より安全な防災を実現するために、一般向けではなく高度利用者向けの緊急地震速報を利用していくようになるでしょう。

(科学システム事業部 大野武士)

  • このコンテンツは2008年8月28日にフジサンケイビジネスアイ紙に掲載しました。
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