意図を推測、検索範囲を拡大
パソコンや携帯が一般化した現在では、何か物を調べようと思ったときに「まずは検索」と思う人が多くなってきました。コンピューターで情報を探し出す「検索」という技術は、基本的には指定した条件に合致した情報だけを選び出します。そのため、通常の条件で検索を行っても、目的の情報を探し出せないことがあります。
例えば、「ボウル」というキッチン用品を探したいと思ったときに、「ぼうる」とか「ボール」という条件を検索エンジンに指定しても、「ボウル」は探し出してくれません。検索キーワードに誤りがあると、通常の検索システムでは、期待する結果を得られないのです。しかし、それはコンピューターの都合であって、情報を探し出したい人にとっては、どんな文字でも「ボウル」なのです。
そこで、人に優しい検索エンジンでは、文字の正確さや条件の正しさだけではなく、指定された検索条件から推測して、探し出す範囲を広くします。仮に、「ぼうる」や「ボール」などの条件であっても、「ボウル」だと解釈して探し出します。さらに、それでも結果一覧に該当がなかったときには、「スポーツ用品」や「キッチン雑貨」「おもちゃ・ホビー」のように、検索している人の意図を推測して、できるだけ探しやすくなるようなキーワードを表示するようにします。
このような、使う人に優しい検索エンジンは、オンラインショッピングなどで活用されています。例えば、商品名だけではなく、予算などを検索条件に指定したときに、該当する結果が得られなくても、自動的に条件の範囲を広げて、何らかの結果を表示します。利用している人にとっては、条件の範囲を外れていても、何も結果が得られないよりは、表示された情報の中から、新しい検索条件を考えたり、購買を検討するといった行動を起こせます。
使う人のことを考えた検索エンジンには、正確な情報を選別するのではなく、人の気持ちを酌み取って、可能性のある情報を探し出す優しさがあるのです。
(エンタープライズ事業推進室 國友将利)
- ※ このコンテンツは2008年9月9日にフジサンケイビジネスアイ紙に掲載しました。