事例・コラム

文書管理導入のポイント(序章)

更新

文書管理における課題や導入ポイントについて、文書情報管理士が、過去の事例や経験から参考になりそうな情報をお伝えしていきます。

  • 文書管理 EIMANAGER

紙、電子など媒体を問わない文書の管理および文書管理システム導入の取り組みは、過去から現在に至るまで絶えず注目されている。さらに「ビッグデータ」と言われる情報の爆発的な増大に伴い、企業における情報・文書の取り扱いは放置できない重要な課題となっている。

情報は増加の一途をたどる一方で、時代は少子高齢化により労働力減少の時代に突入した。過去の文書や情報の取り扱いを人海戦術で乗り切れる時代ではなくなったのである。労働人口の減少については政府も「一億総活躍社会」実現に向け、内閣官房に「働き方改革実現推進室」を設置し、多様な働き方を可能とする「働き方改革」の取り組みを提唱している。

企業を取り巻く課題

近年、企業を取り巻く環境は多種多様に複雑化し、同時に文書や情報の取り扱いも、より一層重要性を増している。

取り巻く環境の変化として、以下の点が挙げられる。

  • 企業に求められる責任の変化
  • 企業を取り巻くリスクの多様化
  • データの爆発的な増加

また、少子高齢化や団塊世代の退職により労働力は減少し、熟練技術者の減少は製造業において深刻な課題となっている。

人材や労働力の確保については、ダイバーシティと女性活躍の推進、定年延長という形で、政府や官庁、経済界が一体となって活動を推進し、支援や制度づくりが進められ、個別企業においても対応が急務となっている。

一方で企業は、デジタルトランスフォーメーション(DX)により、既存のビジネスから脱却して、新しいデジタル技術を活用することによって、多くの革新的なサービスや高いオペレーションの能力によって新たな価値を生み出し、生き残りを図ろうとしている。

こうした環境の下で、企業は従来にも増して以下のことに取り組まれていくものと考える。

  • 競争力の強化
  • ガバナンスやセキュリティレベルの向上
  • 事業継続性の確保
  • 環境への配慮

また、文書や情報に関わる法規制の側面では、以下のことへの対応や配慮が求められる。

  • 不正競争防止法(営業秘密の保護)
  • 個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)
  • 金融商品取引法(J-SOX)
  • 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(e-文書法)
  • 特許法(先使用権制度ガイドライン)

加えて、国際的にビジネスを展開する企業では、海外の文書や情報に関する法令(e-Discovery法、米国愛国者法(PATRIOT)など)への対応も必要となり、文書管理にも大きく影響するものとなっている。

文書管理導入の目的

取り巻く環境の影響を受けて、文書管理導入の目的も変化している。

コンピュータの誕生により、文書や情報の管理は紙から徐々に電子データへと移行していた。さらにはパソコンやインターネットの普及によって急激な速さで電子データが情報管理の主役となってきた。

現在では、グローバルでのビジネス展開、スマートデバイスの普及、そしてクラウド化などで、ますますデータが増大し、「ビッグデータ」という言葉が生まれ、データのさらなる活用の段階へと進み、「AI」や「IoT(モノのインターネット)」へと発展し経営への貢献が期待されている。

パソコンやインターネットの普及は、新たな問題や事件・事故を生み出し、これに対応すべく、電子データに関するセキュリティの強化や情報の保護の必要性が高まり、個人情報保護法や金融商品取引法(J-SOX)などの法整備が進んだ。

その後、コンプライアンス、事業継続計画(BCP)などへの対応として、ペーパーレスによる業務効率の向上や業務の可視化、適切なオフィスレイアウトの実現、説明責任など文書管理の導入目的もさまざまに変化している。

環境、法令の変化への理解と対応

それでは、このように目まぐるしい環境が変化する中で、企業はどのように「文書や情報の取り扱い」に取り組めばよいか。

問題や課題に個別に取り組むのではなく、全体像をしっかり理解した上で自社にあった対応策を検討し、実現することが不可欠であり、これまでどちらかと言えば守りの視点・限定的な視点で考えられてきた文書管理を、競争力を維持・強化するための企業活動の基盤としてとらえ、対応することが求められる時代になってきたといえる。

次章につづく!
次回テーマ:(仮)文書管理の課題

  • 次回は2018年12月の更新を予定しております。

著者紹介

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 馬場 貴志(ばば たかし)

JIIMA認定 文書情報管理士 e-文書++
JIIMA認定 文書情報マネージャー

  • このページについてツイッターでツイート(新しいウィンドウで開く)
  • このページをフェイスブックでシェア(新しいウィンドウで開く)

このコラムに関するお問い合わせはこちら

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。