コラム

よくわかるIT新発見 第13回 「パイロット組織による働き方変革の取り組みのご紹介」

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パイロット組織による働き方変革の取り組みについて、CTCのエンジニアが解説します。

2014年7月からCTCでは朝型勤務を奨励する施策が本格導入されました。社員が限られた時間の中で質を落とさず、効率的に業務をこなすにはどうしたらいいのかをテーマに、様々な働き方変革に対する取り組みが展開されています。今回は、エンタープライズ事業グループで実施されたある取り組みとそのテスト結果をご紹介します。

このパイロット組織による取り組みの特長は、図1の働き方変革のフレームワークに沿って実施している点と、非定型業務の変革に注目している点にあります。

図1:働き方変革のフレームワーク

図1:働き方変革のフレームワーク

働き方を変革し、社員の生産性を高めるために、これまではBPRに代表される定型業務のビジネスプロセス見直しによるアプローチが行われてきました。しかし、実際には定型業務よりも非定型業務の占める割合の方が高いため、非定型業務を中心に、従来とは異なるアプローチで働き方変革に取り組みました。また、付加価値の低い業務から付加価値の高い業務へのシフトを進めるために、時間がかかる原因を顕在化し、時間と情報の使い方を変革しました。

今回は、現状調査、働き方変革パイロット施策の導入、効果測定の3つの段階ごとに行ってきた内容をご紹介します。

現状調査

調査では、付加価値の高い業務における、情報検索、連絡、移動といった各行動区分に着目し、この行動区分ごとの所要時間割合を把握しました。調査の結果、職種や職位にかかわらず、以下の4つの行動区分の所要時間割合が高く、この4つを改善することが、生産性を高めるということがわかりました。

行動区分ごとの所要時間割合

1.社外接客 16%
2.情報伝達
(コミュニケーション)
16%
3.会議 15%
4.情報検索・収集 12%

また、これらの行動において、実際に時間を要している内容は以下のようになりました。

  • 早朝や勤務時間後を活用した在宅勤務の仕組みがないため、事務処理を行うために一時的に帰社することがある。
  • 人のスキルに関連する情報がないなど、提案する際に必要な情報が迅速に参照できない。
  • 外部プロジェクトメンバーとファイルなどを共有して協働作業するために、どちらかのオフィスに集まって作業を行っている。
  • 多人数で打ち合わせする際には準備が必要となり、板書がそのまま議事録に活用できない。

この結果、改善すべき課題は、以下の4つとなりました。

  1. 勤務場所と時間に制約がある
  2. 知識・情報が充分に活用できない
  3. 外部パートナーと協働作業を進める上での無駄が多い
  4. 会議の生産性が低い

働き方変革パイロット施策の導入

これらの4つの課題を解消する新たな働き方の具現策として、4つのパイロット施策を導入しました。パイロット施策は、既存の就労環境に以下の内容を追加し、生産性向上による時間の創出、ワークライフバランス向上の実現を目指しました。

施策1. 勤務場所と時間帯の変革 ~場所に縛られない柔軟な勤務

モバイルPC、及びモバイルルータを貸与し、シンクライアント環境をどこからでも活用できるようにし、場所に縛られない働き方を可能にしました。就業・勤怠管理に関するガイドラインにより、社外勤務時の制約を緩和しました。

施策2. 知識・情報活用の変革 ~ひとのスキルと知識の有効活用

ポータルに各人のスキルや経験を登録することで、探したいひとを検索しやすくしました。ポータルとインスタントメッセージが連携することで、検索したひとの状態がすぐわかり、即答が得られるようにしました。

施策3. パートナー協働の変革 ~外部パートナーとのリモート協働

Web会議とオンラインストレージを併用することで、バーチャルな協働ワークスペースを確保。行き来することなく、協働ができるようにしました。

施策4. 会議の変革 ~機動的な会議

高機能ホワイトボードとビデオ会議を連携させることで、遠隔地から会議に参加しやすくし、会議開催までの準備時間を短縮しました。また、会議中の議事や会議の様子そのものがデータや動画で残るため、共有がしやすく、会議を機動的に開催できるようにしました。

図2は、施策導入後に具現化した働き方のイメージを示しています。

図2:働き方変革後の全体像

図2:働き方変革後の全体像

効果測定

3ヵ月パイロット運用を行った後、アンケートを中心とした定性的調査と勤怠システムを活用した定量的調査によって導入効果を測定しました。アンケート調査では、業務効率の向上や利便性の向上など、効果に対する実感の声が上がっており、ワークライフバランスが向上したとの意見も多数寄せられました。
以下は、施策ごとに把握できた改善効果です。施策3のパートナー協働の変革に関しては、現在も継続して検証を進めているため、施策1、2、4について記載します。

施策1.勤務場所と時間帯の変革 ~場所に縛られない柔軟な勤務

営業、エンジニア共に業務が効率化して平均勤務時間が短縮し、ワークライフバランスの向上が見受けられました。

アンケート・定量調査結果

業務が効率化した 約95%
(隙間時間を有効活用した、持ち帰り課題が減少した)
勤務時間が減った 約70%
1ヶ月の平均勤務時間の変化 営業 約4時間減/エンジニア 微減
ワークライフバランスが改善 約85%

施策2.知識・情報活用の変革 ~ひとのスキルと知識の有効活用

施策導入の効果を約3割が実感し、ひと検索利用件数の推移は導入当初から倍増しました。

アンケート調査結果

効果を実感 約30%
リレーションが深まった 約40%

施策4.会議の変革 ~機動的な会議

施策導入の効果を約3割が実感し、開催リードタイムや準備時間の短縮で、効率が向上しました。

アンケート調査結果

会議開催リードタイムが短縮 約30%
会議準備時間が短縮 約40%

まとめ

働き方変革のパイロット施策の取り組みを通じ、残業時間の抑制やワークライフバランスが向上することで、従業者のモチベーション向上にもつながりました。今回は社内の一部で実施した取り組みを紹介しましたが、企業における働き方変革を実現するために、CTCでは働き方変革基本計画策定サービスと、働き方変革を支えるITソリューションの導入支援サービスをご用意しています。

働き方変革基本計画策定サービスは、図1のフレームワークに沿って、変革の目的/業務/ITの3つの観点から課題を把握し、働き方の将来像と最適なIT全体計画を策定するものです。また、ITソリューションの導入支援サービスは、クライアント環境/コミュニケーション環境/情報活用環境の各ソリューションについて設計から、構築、運用までを支援するサービスです。

この他に保守サービスも用意しています。ご興味があれば是非、弊社営業担当までお問い合わせください。

著者紹介

エンタープライズシステム事業グループ エンタープライズシステム事業企画室 ビジネスソリューション推進部 宮本 将志

エンタープライズシステム事業グループ
エンタープライズシステム事業企画室
ビジネスソリューション推進部
宮本 将志

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