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|特集・対談|CTC approaches Generative AI ビジネスの未来を拓く生成AIの可能性

|特集・対談|CTC approaches Generative AI ビジネスの未来を拓く生成AIの可能性
特集・対談 02

生成AI、ChatGPT誕生の背景とその技術に迫る

パラメータ数の増加とインタフェースがカギ

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ChatGPTの技術について、さらに詳しく教えてください。GPT-3やGPT-4とはどのような関係にあるのでしょうか。
藤澤
OpenAI社のGPTシリーズは、2018年のGPT-1から始まって現在GPT-4に至っています。ChatGPTはその中でGPT-3.5をベースにするものですが、2020年に登場したGPT-3の頃から、飛躍的に精度が上がったと話題になりました。その要因の一つがハードウェアの進化、つまり、GPUの進化だと考えられます。生成AIの性能を決める要素に「パラメータ数」というものがあるのですが、これを格段に大きくすることが可能になりました。GPT-2では、15億パラメータだったのが、GPT-3は1,750億に。そしてその後継に当たるGPT-3.5、すなわちChatGPTでは3,550億になっています(有料のGPT-4は5,000億以上)。
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パラメータ数とは、どのような指標なのでしょうか。
有馬
OpenAI社が2020年に発表した論文に、LLMの性能を決める3つの要素が挙げられています。それが、計算量、データ量、パラメータ数です。計算量とは、コンピュータが処理できる仕事量で、データ量は、コンピュータが学習したデータの量。そして、パラメータ数は、例えるなら、人間の脳のニューロン(神経細胞)の数に相当します。人間は子どもから大人へと成長するにつれてニューロンの数が増え、その増加に伴って、脳内の情報処理や情報伝達が高度化し、複雑なことを考えられるようになる。つまりLLMも、パラメータ数が多いほど複雑な情報を扱うことができるようになるわけです。
ただし、パラメータ数が増えると計算に必要なリソースは多くなり、ハードウェアに高い性能が求められます。そのため、LLMの進化にはハードウェアの発展も必要になるのです。
一方、ChatGPTがこれだけ広く社会を驚かせたのは、パラメータ数が増えたこと以上に、対話型のインタフェースを付与したことで、誰もが使える形に仕上げたことだと言えるでしょう。GPT-3までは、一般ユーザー向けサービスで使うのは難しい状態でした。
藤澤
内部実装の確かなことはわかりませんが、対話型AIとして異なる複数の機能があり、対話を軸に最適なフローを実行しているのだと思います。それらを統合してインタフェースを組み込んだものが、ChatGPTなのだろうと想像しています。

人間と同等なAIの誕生は近いか

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生成AIは今後どういう発展が見込めるか、または、どういうところまで進化すると考えていますか。
有馬
比較的すぐ起きると考えられるのは、マルチモーダルAI、つまり言葉だけでなく、映像や音も一緒に扱える生成AIの誕生です。現在のChatGPTとのやりとりが、カメラとマイクを通してできるようになり、そうなるとできることは大きく広がると思います。
藤澤
人間と同等な感性や思考回路を持ち、知的作業ができるAIのことを「汎用AI」と言いますが、そのような汎用AIが出てくるまでには、まだ時間がかかるのではないかと思います。現状では、あくまで過去の経験やデータを元に、新しいものを生成するという段階です。その精度は確実に良くなっていくでしょうが、本当に革新的なところに行くには、まだブレイクスルーが必要でしょう。もしかすると、次なる大きな進化のためには、量子コンピュータなどとの融合が必要なのかもしれません。
有馬
私たち人間が発する言葉も、これまでにその人が得てきた知識や体験に基づいているのだろうと思います。つまり、過去の履歴から推論して次の会話を捻り出している。とすれば、人間の思考も、AIと仕組みはそう変わらないのかもしれません。しかもAIは、人間が一生の間に会話や学習を通して得られる何千万倍、あるいは何億倍かもしれないような量のデータを元に推論し、アウトプットしてくるわけです。そう考えると、このままパラメータ数の増加などを続けていけば、今の仕組みのままでもいずれ、AIは人間のように話し、考え、創作できるようになるかもしれない、という気もします。
藤澤
確かにこのまま精度が高まれば、AIの創作も人間の創作も全く区別がつかないところにまで行き着くかもしれません。ただそれでも、自由意志があるかないかは、人間とAIの違いとして残り、その点は大きいと思います。

変化を受け入れ、CTCらしさを打ち出す

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最後に改めて、生成AIが出現した現在の状況をどう捉えているか、また、今後に向けての思いを教えてください。
有馬
私は、生成AIが登場した現状をとてもポジティブに捉えています。スローガンの「Challenging Tomorrow'sChanges」というブランドの通り、我々の役割は、新しい変化を受け入れた上で、良い未来を作るために挑戦し続けることだと考えています。ただ、私たちIT専門家としての仕事は変わらざるを得ません。これまでの私たちは、コンピュータと人間をつなぐ通訳のような役割が大きかったと言えますが、その部分がChatGPTで効率的にできるようになった。そうした中で私たちはこれまで以上に、お客様が何を求めているのか、そのビジョンを理解し、寄り添っていくことが重要になるでしょう。この新たなチャレンジは、きっと私たち自身にとって、大きな成長の機会になると感じています。
藤澤
生成AIが様々な仕事を効率化してくれることは間違いないものの、その一方で、私は、使われ過ぎると世の中の製品やサービスが皆、横並びで画一的になってしまうのではないかと懸念しています。一例としては、最近は入社希望の学生の多くが、履歴書に生成AIを使っていて、内容が同じようになってしまっている。そこから本当に採りたい人を見つけるためには、採用者の目が問われます。それはITの領域でも同じです。
生成AIが普及していく中でも、他と差別化して、よりCTCらしさを出すにはどうするか。技術だけではなく、私たちの在り方が問われています。やるべきことは多いですが、こうした時代だからこそ、CTCとしての強みを、より打ち出せるようになるのではないかと私は思っています。
出典:Best Engine Vol.14

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