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|特集1|

Change Culture

~お客様と共にAPIの世界に挑む~

ソファーに腰掛ける東氏と亀田氏

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
クラウド・セキュリティ事業推進本部長代行
東 智之

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
クラウドイノベーションセンター部長
亀田 積

今あるアイデアを一秒でも早くサービス提供につなげたい―。
お客様の想いに応えるには既存の枠組みを超え、開発手法、組織、考え方を柔軟に変化させていく必要があります。長年、開発とインフラ構築の現場で活躍してきたエンジニアが旬のキーワードをもとにITの変化を紐解きます。

お客様の変化を支える技術

──
すべてのモノがITでつながる時代を前に、私たちの生活とITとの関係は変わりつつあると感じています。アプリケーション開発とインフラ構築の専門家として、身近で起こっている変化をどう捉えていますか。
亀田
私たちが感じている最も大きな変化は、ITを使ってビジネスを加速させたいというお客様の強い要望です。特にコンシューマ向けのサービスや製品を提供するお客様は、ITを駆使して新規参入してくる企業と対抗する必要に迫られ、新たなサービスを素早く市場へ送り出し続ける必要が出てきました。例えば、金融業界では銀行以外の保険会社、通信会社なども市場に参入しており、コンシューマの利便性を高めるサービスやスマホアプリが各社から次々提供されている状況です。結果として、サービスアイデアをいち早く実現することが重要となり、極端な例では、「新たな機能やアイデアを来週にはサービスとして提供したい」と言われるようにもなりました。
──
そのようなお客様の要望にどう対応されていますか。
亀田
従来の業務アプリケーション開発を行う場合は、「ウォーターフォール型1」という手法を取っています。最初にお客様の要件を細かく定義し段階的に進めていく方法で、各段階をきちんと消化していくことで質の高いアプリケーションを開発できます。しかし、サービス開始までに時間がかかることもあり、開発中に市場や環境が変わり、アプリケーションに必要な機能が変わってしまう可能性があります。
いち早くサービス提供し利用者のフィードバックを取り込んでいくためには、よりスピードが重視されます。そのためには「アジャイル開発2」が適しています。
世に出で十数年経つ概念ですが、改めて注目が集まっています。現場で密にお客様とコミュニケーションを取り、早期に試作品を開発してお客様や市場からのフィードバックをもとに短いサイクルで更新していくものです。システム開発と保守をつなげ、新規のニーズや環境の変化に対する柔軟性にポイントを置いた「DevOps3」の概念と相性がいいと言えます。
当然、インフラの現場でも変化への迅速で柔軟な対応が強く求められています。 クラウドを活用することでそれに貢献できるのは言うまでもありません。
以前は、開発やサービス用のインフラを準備するためには、ハードウェアやOSの選定を含めて構築まで3ヵ月以上かかりました。今ではGoogleやAmazon、Microsoft Azure、CTCの「TechnoCUVIC4」など、クラウドを利用すれば数日から数週間で環境を用意して開発に着手できます。
しかし、インフラ進化の本質は、ただリードタイムが短くなったことだけではありません。近年、アジャイル開発やDevOpsなど開発方法の変化はインフラに「プログラマブルであること」を求めており、クラウドサービスで提供されるインフラはアプリケーションの一部に組み込まれる形に進化しています。
2005年頃、クラウドの要素技術である仮想化が企業向けITインフラ用途で登場した時、私たちは、乱立するサーバを集約し、数を減らし、コスト削減ができることが主要な効果だと考えていました。しかし、仮想化からクラウドへの進化は、アプリケーションの作り方・動かし方の革新を支えるために、「プログラマブルなインフラ」となることを意味していました。アプリケーション開発の変化を支える。これこそが仮想化技術がもたらす真のブレークスルーだったのです。

Keyword

1.ウォーターフォール型開発

一般的なアプリケーション開発手法。アジャイル開発との比較で引用されることが多い。要件定義から設計、開発、テストの工程を段階的に実施していく。仕様が確定できることを前提とし、一度終了した工程には戻らないことからウォーターフォールと形容されている。
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2.アジャイル開発

お客様との対話を重視し、実現する機能の優先順位に応じて短い期間で開発していく手法。2001年に、プロトタイピングや反復型開発などの専門家が発表した「アジャイルソフトウェア開発宣言」を機に発展してきた。
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3.DevOps(デブオプス)

開発(Development)と運用(Operations)を合わせた造語で、システムを安定稼働させつつ機能追加を行う手法。DevOpsを活用して、アプリケーションやWebサービスを1日に数百回更新する企業もある。
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4.TechnoCUVIC(テクノキュービック)

2008年に開始したCTCの共有型クラウドサービス(IaaS)。2014年からはユーザが仮想サーバを自由に設計・構築できる専用の仮想化・統合化プラットフォームとして、TechnoCUVIC VPを提供している。
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