2010年03月09日 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(略称:CTC、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:奥田陽一)とニューメリカルテクノロジーズ株式会社(略称:NT、本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:鳥居秀行)は、2009年8月にオープンしたCTCの検証施設「金融HPCラボ」にて、NT社の金融機関向けALMパッケージ「Altitude」の、Windows HPC Server 2008環境におけるグリッド検証を実施しました。これにより、既に同パッケージを非グリッド環境で利用している金融機関やALMシミュレーションの高度化を計画し新規で導入を検討している金融機関に対して、Windows HPC Server 2008を搭載したグリッド環境での提供が可能となりました。
金融機関において複雑な証券化商品のリスク管理や取引先の信用力を加味した高度なALMのシミュレーションが必要となっている今、グリッドコンピューティング技術による計算の高度化・高速化が注目されています。今回の検証により、ALMの高度化・高速化が合理的なシステム投資で実現可能になり、金融機関における経営の健全化への貢献が期待されます。
NT社は2007年に自社ALMパッケージ「Altitude」をグリッド化し、2008年3月国立大学法人東京工業大学学術国際情報センター(GSIC)が推進する先端研究施設共用イノベーション創出事業(産業戦略利用)を活用して、同センターが構築・運用するスパコン「TSUBAME」上で、これまでできなかったメガバンク規模の全資産負債ポートフォリオを対象としたモンテカルロ法による市場および信用リスクの大規模シミュレーションを実施しました。今回の検証で、Linuxで開発したプログラムをWindows®化し、CTCが運営する金融HPCラボにてマイクロソフトのハイパフォーマンスコンピューティング向けOS「Windows HPC Server 2008」を搭載した環境においても計算サーバの台数に応じてリニアに処理能力が向上することを確認できました。
国立大学法人東京工業大学松岡教授より下記のコメントを頂いております。
ニューメリカルテクノロジーズは、平成19年度にGSICが文部科学省の先端研究施設共用イノベーション創出事業(産業戦略利用)として推進している『みんなのスパコン~TSUBAME によるペタスケールへの飛翔』に採択され、本センターのサポートの元にALMの大規模並列化をTSUBAME上にて実施し、数千CPUのスケーラビリティを達成して、金融業界では今までになかった成果を得ました。 今回は、それがWindows HPC Server 2008上へ有効に移植され、それによって広く成果が普及し実際に金融機関の経営健全化等に役立てば、大規模スパコンおよび本事業が素晴らしい社会貢献を達成したことになります。本年秋に稼働する予定のTSUBAME2.0では、現行のTSUBAMEの数十倍の性能のマルチペタフロップスの達成と共にWindows HPC Server 2008の標準サポートが予定されており、またその上で産学連携の各事業を積極的に進めて行く予定です。
ALM(Asset Liability Management)について
金融機関において活用されている資産負債のリスク管理方法。自社の資産負債が金利や為替などの変動により、どの程度の損失を受けるリスクを持っているのか把握分析し、適切なヘッジ取引によりリスクを極小化させながら、調達コストの削減、運用の効率化、収益の極大化のために、資産と負債の最適な組み合わせを同時に決定し総合的に管理する。
金融HPCラボについて
CTCが運営する金融機関向けHPCシステムの検証施設。日本ヒューレット・パッカード株式会社(略称:日本HP)、マイクロソフト株式会社(略称:マイクロソフト)、インテル株式会社(略称:インテル)の協力により2009年8月に開設した。最新のインテル(R) Xeon(R) プロセッサー 5500番台を搭載する日本HPのブレードサーバーにマイクロソフトのハイパフォーマンスコンピューティング向けOS「Windows HPC Server 2008」を搭載したHPC環境。
ニューメリカルテクノロジーズ社について
大手都市銀行出身の鳥居社長を中心に、金融業務や数値シミュレーション分野のスペシャリストにより金融リスク管理システムのパッケージを開発、金融機関向けに導入・コンサルを行っている。
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