「早く、安く、うまく」やるためノンプログラミングツールによるモデルベース開発を導入。
GrapeCityとの協業で「Excelライク」な操作性も実現
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伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
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トヨタ自動車株式会社
株式会社トヨタコミュニケーションシステム
実際に取り組んでみてわかった3つのメリット

トヨタ自動車株式会社 エンジニアリングIT部 第2エンジニアリングシステム室 室長 稲垣 篤氏 株式会社トヨタコミュニケーションシステム 専務取締役 エンジニアリングシステム本部 本部長 大平 宏氏
【稲垣氏】
トヨタ自動車の基幹システムは、初期投資のピークが20年ほど前にあり、その後は小規模投資にとどまっています。その結果、システムは古くなり、ユーザーにとっての使い勝手が悪くなっていました。その一方でIT人材の高齢化は進み、今後も不足すると予測されています。「時間、カネ、ヒト」は限られており、基幹システムのような守りのITへの割り当ては今後さらに減っていくでしょう。まだシステムのわかる人材がいるうちに、次の世代に襷を渡さなければならない。このような想いから、基幹システムのモダナイゼーションを「早く、安く、うまく」やる方法を確立し、圧倒的な開発生産で期待に応えたいという想いを持っていました。
そのために検討したのが、ノンプログラミングツールによるモデルベース開発の導入です。当社はウォーターフォール型でシステム開発を行ってきましたが、これは紙を用いた伝言ゲームとなっており、品質を担保する為のドキュメント作成工数の増加、コミュニケーションミスによる手戻りが発生していました。すでに自動車製造の現場では、量産化に伴い自動化が進んでいます。これと同様にシステム開発も量産化への道を行くべきと考えたのです。
そのために採用したのが、ポルトガル発の開発プラットフォーム「OutSystems」です。これは人手ではなく、ソフトウェアがシステム開発を行う統合基盤。すでに90,000件以上の導入実績があり、GartnerやForresterでNo.1の評価を受けているものです。
しかし問題もありました。OutSystemsだけではユーザーが要望する「Excelライク」な操作性が実現できなかったのです。そこでCTCの協力のもと、GrapeCityとの協業を実現。OutSystemsの標準機能として、GrapeCityのパーツをOEM提供していただくことになりました。これによってUIの手組みを回避できるようになり、「早い」と「うまい」の実現が可能になったのです。
【大平氏】
トヨタコミュニケーションシステムは、トヨタグループ各社のグローバルなIT戦略をサポートする会社です。これまでにも要件のスリム化や要件定義の完成度向上などによる開発効率化に取り組んでいましたが、今回さらなる効率化を目指し、トヨタ自動車が採用したOutSystemsを使ってみることにしました。まずは「試作部品調達システム」へと適用。その結果、3つのメリットがあることがわかりました。
第1は開発生産性の向上です。詳細仕様局面~導入において、従来開発と比較して工数が15%削減されました。第2は機能実現性の高さであり、今回のシステム開発においてはすべての画面を実現できました。今後はGrapeCityの組み込みにより、さらに複雑なユーザー要望にも応えられると期待しています。そして第3がサポートの充実です。CTCが窓口になっているのですが、問い合わせのほとんどに数日以内で回答があり、問題なくプロジェクトを進めることができました。
使用にあたっては注意点もあります。1つは通常の開発と同様に、設計力が求められるということです。ノンプログラミングツールだからといって、誰でもが使えるわけではありません。処理効率や処理分割を考慮し、維持保守しやすい設計が必要です。もう1つは紙運用廃止を意識的に行うことです。OutSystemsでは開発ツール上でレビューを行うことになりますが、開発者やレビューワーはこれに慣れる必要があります。
今回はウォーターフォール型で開発を行いましたが、今後はアジャイル開発にもトライしていく計画です。OutSystemsはアジャイル開発とセットにすることで、より大きな効果を発揮します。すでにトヨタのグローバル拠点では、アジャイル開発が活発化しています。当社もその活動の一員として参画し、さらなる開発生産性向上を目指していきます。

他講演レポート
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