Digital Disruptionから見る最新IT活用
デジタルを駆使したアマゾンvsウォルマート

今、米国ではデジタル技術を活用して既存産業を破壊しようとする「Digital Disruption」が進行しています。最たる企業は乗り合いタクシーを提供しているUberで、交通エコシステムの支配を目指しています。その台頭によってイエローキャブを中心とした既存の業界が脅かされています。米国のVCもこうしたDigital Disruptor投資を加速させています。

既存の業界がDisruptionに対抗する手段は、Digital Transformationしかありません。その攻防が最もよく表れているのがアマゾンとウォルマートの戦いです。アマゾンはネット通販の覇者で、時価総額で見ればウォルマートやコストコなど小売メジャー4社のそれを合算した倍額の規模を誇ります。しかし実際の売上高で見ればまだまだウォルマートの背中は遠いと言えます。昨年、高級自然食品スーパーを買収しましたが、それでも売場面積はウォルマートの1/5しかありません。アマゾンは実店舗であるオフライン開拓策として「Amazon Go」をオープン、今後3年間で3,000店の出店を計画しています。

一方、ウォルマートは小売業界の売上高世界第1位ですが、何も策を講じなければ2024年にアマゾンに抜かれると予想されています。そのため、ネット通販のJet.comを買収してオンラインコマースサイトを全面刷新したり、テキスト買い物サービス「Jetblack」の提供など、オンライン開拓を進めています。ロボットによる棚卸しや店舗清掃などといったバックオフィスでのIT活用にも意欲的です。ウォルマートのデジタルテクノロジー導入姿勢には学ぶべきものがあります。

テクノロジーなき会社に未来なし。アマゾンとウォルマートの戦いは対岸の火事ではありません。強力な敵が出現しても対抗できるよう、日頃からデジタルテクノロジーを使いこなしておく必要があります。