事例

伊藤忠テクノソリューションズ(自社)

更新

ワークスタイル変革を支えるビジュアルコミュニケーション基盤を新たに構築

伊藤忠テクノソリューションズ(以下CTC)は、顧客企業へよりよいサービスを提供するために、社内の業務効率化や生産性向上を促進すべく、様々な取り組みを行っている。2004年に実施された東京地区のオフィス統合や、ITインフラの継続的な見直しはその一環であり、ワークスタイルの変革に必要な基盤を着実に整えてきた。情報システム構築、運用を担うプロジェクト「eWork@CTC」(イーワーク・アット・シーティーシー、以下eWork)も一定の成果を上げてきたが、年月の経過とともに新たな課題も生じることとなった。その解決を図り、社内のコミュニケーション、コラボレーションをより活性化させるべく進められているのが、eWorkの進化形となる新たなプロジェクト「eWork+」(イーワーク・プラス)である。

課題と効果

課題
  • コミュニケーションツールの十分な活用を実現できていない(セキュリティと利便性のバランスなどに起因)
  • ビデオ会議のコスト、業務負担の削減
  • 接続拠点数、配信内容の録画、画質などシステム要件の改善、強化

「eWork」から「eWork+(プラス)」への進化

効果
  • ビジュアルコミュニケーション基盤を活かしたワークスタイル変革のさらなる促進
  • 通信コスト、業務コストの削減、業務プロセスの効率化による生産性の向上
  • 接続拠点数の増加による情報共有のタイムラグ短縮など、企業力の向上に貢献

導入事例インタビューデータ

  • 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 情報システム部 部長仙北谷 仁

    伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

    情報システム部 部長

    仙北谷 仁

  • 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 情報システム部 部長代行永田 孝哉

    伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

    情報システム部 部長代行

    永田 孝哉

  • 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 情報システム部 クライアントシステム課 課長細貝 正之

    伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

    情報システム部 クライアントシステム課 課長

    細貝 正之

導入背景

時代の変化を踏まえ、ワークスタイルの在り方とITインフラの見直しに着手

2004年のオフィス統合を機にスタートしたeWorkは、メールやサーバ、グループウェアの刷新などを含む、日々の業務を支える情報システムに関するプロジェクトとして中心的な役割を担ってきた。当初のコンセプトとして「セキュリティの強化」と「利便性の向上」という相反する要件の両立を掲げ、グローバル市場における先進かつ優れた利用モデルを日本の実情に合わせて最適化してきたことが特長となる。しかし、システム構築から8年あまりが経過し、IT技術の進歩、経営環境の変化、そしてCTC自身のグローバル化が進んだことを受けて、改めてワークスタイルの在り方、その実現に必要なITインフラの見直しを進めることになった。

そこで、従来のeWorkをより発展させる、新たなプロジェクトeWork+を立案。ここでは、ビデオ会議や映像配信など「ビジュアルコミュニケーション」に関するシステムを強化し、日々のコミュニケーション、コラボレーションを支援することに重点が置かれている。

「新しいシステムを構築する際は、それがどれだけ効果を上げられるかということを常に意識しています。単に、新しいシステムを導入した、ということではなく、社内でどのように活用され、どのようなメリットをもたらすのか、十分に検討した上でプロジェクトを進めています」と、情報システム部 部長 仙北谷 仁は語る。

「例えば、従来のビデオ会議システムは独自回線で接続しており、とても通信コストがかかっていました。eWork+の整備で、そのコストは大きく削減され、より多くの社員が快適に利用できるようになります。また、遠隔でも高品質な会議が行えるようになれば、出張費だけでなく、移動にかかる時間や関係者のスケジュール調整など、業務上の負担も大きく減らせるでしょう。こうしたことの積み重ねが、よりよいワークスタイルの実現には不可欠だと思います」(仙北谷)。

eWork+でコミュニケーションの支援を強化することにした背景には、これまでeWorkの運用を通じて得られた課題や反省があったという。情報システム部 部長代行 永田 孝哉は次のように語る。

「eWorkでは、セキュリティと利便性の両立を目指していました。当社はIT企業として様々なお客様のシステム構築に携わっており、保護すべき情報も膨大です。セキュリティを重視するのは当然ではありますが、その結果、利便性とのバランスが難しくなっていました。そこを改善して、社内のコミュニケーション、コラボレーションを強化するためにeWorkを進化させるという意味を込めて、eWork+(プラス)と名付けたのです。」

従来のビデオ会議システム、映像配信システムの課題を解決

CTCでは、国内、海外の各拠点に向けて、トップメッセージの発信や最新ソリューション、導入事例など各種情報を共有する定例会(コンベンション)を毎月開催しており、経営層から現場のメンバーまで幅広く参加している。これまで用いられてきた映像配信システムには、改善が必要とされる部分がいくつかあり、「今回のプロジェクトでぜひ解決したいと思っていました」と、情報システム部 クライアントシステム課 課長 細貝 正之は語る。

「従来のビデオ会議システムは、機器に付随したMCU(多拠点接続機能)を使っていましたが、同時に接続できる拠点が6拠点までと少なかったのです。多くの拠点をつなごうとすると、接続がとても複雑になってしまい、実際に会議を開催する上では高いハードルがありました。配信内容の録画も、専用のPCを準備して毎回アナログで接続していたので非常に面倒でした。ストリーミングサーバもeWorkの構築とほぼ同時期に入れたものなので、世代が古く、PCで作成した資料を映しても文字がつぶれて読めない、相手の表情も見づらいなど、画質面の不満は多く出ていました。今は多くの人が自宅でもHD画質のテレビを見ていますから、かなり違和感があるのは否めず、改善したいと考えていたのです。」

システム概要

オールシスコによるエンド・トゥ・エンドのシステムを構築

システム構成図

今回、eWork+におけるビジュアルコミュニケーションの基盤(ビデオ会議、映像配信・録画、コンテンツ管理など)は、全てシスコシステムズ社のソリューションを採用している。細貝は、「エンド・トゥ・エンドでの導入、構築が可能で、全体の品質や整合性を高い水準で保てること、また万が一トラブルなど起きた場合でも一元的な対応を受けられる点を評価しました」と語る。

「MCUは、他社端末との接続性や各社の実績を踏まえ、以前から旧Tandberg社(現シスコ社)の製品を導入したいと考えていました。今回のプロジェクトを進めているときに、Tandberg社の製品がシスコ社のソリューションとしてラインアップされることになり、タイミングが合致したことも理由の1つです」(細貝)。

採用したソリューションの中で、映像コンテンツの配信と管理を担うCisco Enterprise Content Delivery System(Cisco ECDS)とCisco Show and Shareをまとめて導入するのは、アジア圏ではCTCが初めてとなった。社内のコミュニケーションを強化するにあたって、これらで実現されるオンデマンド配信の重要性は高いと永田は語る。

「ビデオ会議は遠隔で開催できることがメリットですが、毎回リアルタイムで参加するのは難しいというケースも多く見られます。そこで、リアルタイムに参加できなかったユーザーに対して、空き時間に録画を視聴してもらえるオンデマンド配信の意義が出てきます。配信した内容を速やかに蓄積、配信して、拠点や担当者の情報共有にかかる時間差をできるだけ少なくすることが、ビジュアルコミュニケーションの定着と活性化に欠かせないと思っています。また、我々が率先して取り組み、経験とノウハウを蓄積していくことは、同様の課題を抱えているお客様へ、より具体的なご提案をしていく上でも役立つでしょう。」

導入効果

情報の発信、蓄積、共有を効率化して企業力の向上に貢献

専用の大型MCUを導入したことで、ビデオ会議の同時接続拠点数は従来の6拠点から20拠点へと大幅に拡大。毎月のコンベンションはより効率的に開催できるようになり、リアルタイム配信の負担は確実に軽減されたと細貝は語る。配信画質もHD対応が図られ、映像の情報量そのものも大きく向上した。

「配信内容の録画も、専用のサーバを設けてほぼ自動化しており、とてもスムーズに行えるようになりました。また、以前は拠点によって、配信や録画をできるところとできないところがあったのですが、eWork+の環境ではどの拠点でも配信と録画が可能です。これも、拠点間の情報発信と共有にとって、大きな改善点だと思います」(細貝)。

「コンベンションの際に、最低でも10拠点は同時に接続したいと考えていたので、ここまで同時接続可能な拠点数が増えたのは大きな効果と言えます。経営陣のメッセージ発信、情報の共有、日々のコミュニケーションを、できるだけ多くの拠点でタイムラグを抑えつつ実現することは、企業力を向上させる上でも重要な取り組みです。近年は海外拠点とのコミュニケーションも増えており、なおのことメリットを実感してもらえるのではないかと思います」(永田)。

今後の展開

ワークスタイルへの浸透、更なる活用によって社内の活性化を促進

永田は、eWork+を活用したコミュニケーション、コラボレーションを、日々のワークスタイルに溶け込ませていきたいと語る。

「従来のビデオ会議システムの問題の1つは、専用のスペースを設ける必要があり、そこに行かないと会議ができないということです。改善したいと考えているお客様も多いでしょう。そうした課題を払しょくする文化を社内に醸成したいと考えていて、eWork+の検討・構築と並行する形で、カメラ付きのIPフォンも少しずつ導入して、会議室などに設置してきました。

オフィスの場所にあまり依存せず、電話のように簡単にビデオ会議を使えるようにして、ワークスタイルに溶け込ませていくことが重要だと思っています。うまく融合するようにプロジェクトを進め、2~3年くらいかけて発展させていく予定です。」

今後は、コンベンションのリアルタイム中継、オンデマンド配信に限らず、社内からの積極的な情報発信やトレーニング、社内・社外セミナーへの活用も検討している。端末も、PCに限らず、スマートフォンやタブレット端末も利用可能にして、広範に展開していくだろうと仙北谷は語る。

「社内の拠点間でのやり取りはもちろん、オフショアやニアショアでの開発部門同士の打ち合わせなど、ビジュアルコミュニケーションが活躍する場面はいっそう増えていくでしょう。既存のツールとの連携を含め、eWork+全体の活用が進み、それが社内の活性化につながっていけばと思います。リアルタイム配信については、放送局のようなものなので、実施するたびに非常に緊張感があります。お客様や海外拠点も交えた会議で利用する基盤として、品質や信頼性が求められるものですから、スムーズに運用することを常に意識しています。」

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