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トップツアー株式会社 様

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クラウドを活用して1000名の営業担当を「歩く店舗」に。営業時間の増加と機会損失の減少で、約1億円の収益を期待。

営業活動の生産性を向上することで、収益の大幅な拡大を期待できる。このため多くの企業が、CRM、SFA、グループウェアなどを活用して、営業スタイルの刷新に取り組んできた。そんな中、旅行業大手のトップツアー株式会社(旧・東急観光)は、スマートフォンを全営業担当に配布し、モバイルでGoogle Apps Premier Edition(以下、Google Apps)の各種サービスを利用できるようにした。メールやスケジュール確認はもちろん、受注のための業務システムへのアクセスなど、さまざまな営業活動がオフィスに戻ることなく可能となった。クラウドを活用することで、1000名の営業担当を「歩く店舗」に進化させようという挑戦である。この営業システムのSIを担当したのがCTCであった。クラウドの構築実績を誇るCTCの技術力とブランドを信頼しての依頼であった。

課題と効果

課題
  • 営業活動の生産性向上
  • 外出先からメールや各種情報へのセキュアなアクセス
  • コスト削減や運用負荷の軽減

クラウドを活用した営業システムの構築

効果
  • Google Apps 採用による機能拡張性の確保、可能性の拡大
  • イニシャルコストおよびランニングコストの削減
  • 「機会損失」の低減
  • 営業時間増加による売上の拡大

導入事例インタビューデータ

企業名
トップツアー株式会社
代表取締役
石川 邦大
所在地
〒153-8550 東京都目黒区東山3丁目8番1号
資本金
30億円
従業員
1793名(平成22年1月1日現在)
URL
http://toptour.jp/新しいウィンドウで開く
  • トップツアー株式会社 旅行営業本部 営業企画部 部長 脇坂 克也 氏

    トップツアー株式会社

    旅行営業本部 営業企画部 部長

    脇坂 克也 氏

  • トップツアー株式会社 旅行営業本部 営業企画部 マネージャー 住本 卓巳 氏

    トップツアー株式会社

    旅行営業本部 営業企画部 マネージャー

    住本 卓巳 氏

導入背景

迫られる営業活動のインフラ整備

トップツアーの設立は1956年1月31日。東急観光の名前で創業したが、50周年を記念して、同社のブランド「トップツアー」に社名を変更している。

同社の特長は、法人向けの団体旅行が売上の大半を占めていること。「約1000人の営業担当が企業、学校、官公庁をお伺いして、社員旅行、研修旅行、修学旅行、国際会議などの提案をしています」と、同社 旅行営業本部 営業企画部 部長 脇坂 克也 氏は語る。

一方、旅行代理店の売上に対する経常利益率は極めて低い。一説には業界平均0.4%という試算もあるほどだ。このような中で収益を確保して生き残りをはかるため、同社では2009年春に社長自らがトップに立って「新業務体制検討委員会」を発足させた。全社的な生産性向上への取り組みだ。

そのワーキンググループ「営業インフラ整備」に脇坂氏が参加。営業活動の基盤を改革し、利益を上げる体質づくりに着手している。「そこで課題となったのが、営業活動の効率化とグループウェアのリプレースでした」(脇坂氏)。

営業活動は提案・獲得から添乗、さらに旅行後の精算までのプロセスがあり、この効率化が必須となる。だが、同社では外出先からメールを読めないし、業務システムへのアクセスもできなかった。メールや各種情報の入手、システムへのデータ登録のたびにオフィスに戻らざるを得ず、極めて効率が悪かった。

クラウドに強く期待

グループウェアを最新版にリプレースすれば、社外からのメールアクセスは可能となる。だが、脇坂氏は時代の潮流となっている「クラウド」に強い興味を持った。単に既存のグループウェアをバージョンアップするのではなく、より低コストでより柔軟な営業基盤が構築できるかもしれない……。

脇坂氏はクラウドで利用できるSFAに注目し、ベンダーに相談を重ねることになる。2009年8月には要件も出揃い、そのベンダーから見積もりも得た。だが、営業担当者が最も活用するメールやカレンダー機能が用意されていない上に、コストにも不満があった。

そこで、新たに検討したのがGoogle Appsである。多彩なサービスが盛り込まれており、同社のゴールとする営業プロセス全般の改善が可能となると思われた。さっそく問い合わせ、Google社から信頼できるパートナーとして紹介されたのがCTCであった。

「CTCのSEに確認すると知識は豊富だし、レスポンスもすばらしい。クラウドの構築実績も多いので、ここなら大丈夫と思えました」と同社 旅行営業本部 営業企画部 マネージャー 住本 卓巳 氏はCTCの印象を語る。

脇坂氏も「Googleはコンシューマ向きの印象が強かったのですが、話を聞いて不安はなくなりました。CTCのブランドも信頼できました」と、語る。十分すぎる機能、柔軟性と拡張性、ランニングコストなどから、CTCの提供するGoogle Appsの導入を決定した。

システム概要

スマートフォンを全営業1000人に配布

Google Appsの導入決定は12月末。明けて2010年1月から「業務刷新プロジェクト」を発足させ、営業システムの構築にとりかかった。「構築にあたってCTCのSEにほぼ常駐の形で作業してもらいました。緻密なコミュニケーションができ、まかせて安心でした」と、住本氏はCTCを評価する。

旧グループウェアに蓄積されていたデータベースもGoogle Appsに移行させ、3ヵ月後の4月1日から新システムのサービスを開始している。

各種情報に外出先からアクセスしやすいよう、携帯電話ではなくスマートフォンを全営業担当に配布した。「携帯電話よりもスマートフォンの方がシステムへのアクセス端末として優れています。これを全員に配布することで、拠点ごとにバラバラだった携帯電話の運用も統一できました」(脇坂氏)。Google Appsとの相性を考慮して、Android端末を採用している。

セキュアに各種情報へアクセス

利用しているサービスはメールのほか、掲示板、カレンダーなどGoogle Appsの基本機能のほかに、スマートフォンから社内の業務システムのデータもアクセスできる。「会社に戻ってメールを確認する必要はありませんし、ホテルの空室情報なども確認できます」(脇坂氏)。

また、セキュリティの面から、顧客情報や商品情報はクラウド上ではなく、会社側がサーバを用意しアクセスさせている。さらに、複数のシステムに1回の認証でログインできるよう、シングルサインオンの仕組みも取り入れた。

導入効果

機会損失をなくし約1億円の収益向上

従来、お客様から旅行の手配を相談されると、いったんオフィスに戻り予約状況を確認してからお客様に再度連絡して、受注する手順であった。これではオフィスに戻る時間が無駄になるし、この間に他社から抜け駆けをされる危険性が高い。また、営業担当はしばしば団体旅行に添乗し、連絡が取りづらい状況になることも多い。この間に、お客様が他の旅行代理店に相談することも考えられる。

「新たな営業システムによりこの『機会損失』を削減できます。さらに、従来オフィスとの往復に利用していた時間を新たな営業時間に充てることもできます。メールも移動時間などに確認できます。これらを増加する営業時間を収益に換算すると、約1億円近くの増収になります」と、脇坂氏は強調する。営業システムが稼働してからすでに半年。その確実な手応えを感じつつあるという。

優れた拡張性

トップツアーでは、リーマンショックや長引く不況等外部環境の影響を受け、既存のグループウェアのバージョンアップの機会を逃し、数年間旧機能のまま使い続けていた。このため、社内から苦情が寄せられることもあった。だが、Google Appsであれば、意識することなくバージョンアップでき、最新の状態で利用できる。「大幅な運用負荷の軽減になります」(住本氏)。

さらに、Google Appsは発展途上のアプリケーションであり、随時新機能が追加されている。例えばマイクロソフトのオフィスライクな「Google ドキュメント」を利用できるし、Webサイトの構築と管理が可能な「Google サイト」もラインアップされている。これらを、料金を追加することなく利用できるのである。

今後の展望

営業担当全員を「歩く店舗」へ

ワークフロー機能を追加したり、帳票の電子化を進めることにより、今後は営業概況報告や各種申請を出先からAndroid端末で作成・送信させることを検討している。「これにより、営業担当全員を『歩く店舗』とすることができます。カウンター店舗そのものとはいきませんが、直行直帰を増やすことも合わせると、お客様と接する時間をより長く確保することができ、生産性の大幅な向上が可能となるはずです」と、脇坂氏は構想を語る。

また、Android端末を介してナレッジの共有も可能だ。例えば、ベテラン営業が蓄積しているホテルや観光地の評価情報を利用して、新人社員でもベテランと同レベルの旅行日程が設計できるようになる。同社のさまざまな情報や機能をマッシュアップした地図情報の提供サービスも考えられる。

営業システムは既存のビジネススタイルを大きく変革する起爆剤となっている。同社ではその新たな可能性を探っているし、CTCもさまざまな提案を続けている。

用語解説

Google Apps Premier Edition

Google が提供している有償版アプリケーション。コミュニケーションやコラボレーションのためのツールをクラウドサービスとして提供。クラウドの潮流とともに導入企業が増加している。

Android

スマートフォンやタブレットPCなどの携帯情報端末を主なターゲットとしてGoogleが開発したアプリケーションプラットフォーム。

シングルサインオン

1回の認証で複数のシステムにログオンできる仕組み。複数のIDとパスワードを覚える必要がないのに加え、アクセスする端末の制御等セキュアな仕組みのため便利。

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