CTC Group Global Report
各国の現場から見るAI導入とその戦略
世界にネットワークを広げ、成長を続けるCTC。
その拠点は、北米をはじめ、マレーシア、シンガポール、タイ、インドネシアなどのASEAN諸国・地域に根差し、着実に足場を築いています。今号は各国のAI技術の動向や活用事例、お客様への支援策などについて最前線で活動する現地の社員から最新レポートをお届けします。
技術革新が目覚ましい米国のAI最前線
トレンドに先手を打ちソリューションを探索
Business Development Manager
ITOCHU Techno-Solutions America, Inc.
渡辺 健太
データサイエンティストとして様々なプロジェクトに参画。要件定義からデータエンジニアリング、AIモデル構築、アプリケーション開発まで幅広く手掛ける。2023年8月からAIエキスパートとして米国での商材開発に従事。
3つの機能を主軸とするCTCアメリカの活動
パートナー企業のイベントに、CTCアメリカの社員が登壇。当社との最新の協業プロジェクトについて解説。
生成AIをはじめとするAI技術は、ここ数年で驚異的な進化を遂げ、米国のビジネス現場に急速に浸透しています。シリコンバレーを拠点に活動するITOCHU Techno-Solutions America,Inc.(以下、CTCアメリカ)は、現地でのネットワークと豊富な経験を活かし、AI・データ・インフラ分野の最新トレンドをいち早くキャッチし、日本企業との橋渡し役を担っています。その活動は、「ビジネス開発」「SI」「日本向け貿易業務」の3分野を主軸としています。
まずビジネス開発では、ベンチャーキャピタル(以下、VC)とのネットワークを活かし、「AI/Machine Learning 」「Modern Data Stack※1」「Cyber Security」「AI Infrastructure」の4つを注力領域に設定。スタートアップの調査・選定を通じて、有望な商材を開拓しています。また、日本のお客様に最新のIT動向を直接体感いただく機会の提供や、最先端のAI・データ・インフラ技術を持つスタートアップやVCを日本へ招致するイベントの共催も実施しています。先端技術の知見を取り込み、日本企業との協業機会の創出を図るこれらの活動は、CTCアメリカならではの価値を生み出す取り組みです。
またSI事業では、米国に拠点を置く日本企業のインフラ構築を支援。日本向け貿易業務では、米国のITベンダー製品を日本市場へ輸出しています。
米国における生成AI活用の現在地
米国企業におけるAI活用は拡大傾向にあり、直近の調査では「AI(分析AI+生成AI)を業務で利用している」企業は78%、「生成AIを日常的に活用している」企業は71%に達しています。一方で、全社のEBIT(利息・税引前利益)への寄与は依然として限定的であり、AIによる真の価値創出には、KPIの設計や業務ワークフローの再設計がカギを握るとされています※2。
シリコンバレーでは投資マネーの回帰が鮮明で、2025年上半期の米国スタートアップの資金調達額は前年同期比+75.6%と大幅に増加しました。中でもAI関連企業が中心となっており、資金は1回の調達額が1億ドル以上のメガラウンドに集中しています。主要ハブ(シリコンバレー・ニューヨークなど)への偏在も続いており、M&Aも活発に行われています。
PoC(実証実験)から商用化へと進む動きも加速しています※3。
CTCアメリカには多くのお客様にご来訪いただき、今年は約400人に迫る勢いです。お客様から伺う声は、私たちのトレンド調査活動にとって重要な指針となっています。直近では、生成AIへの関心が最も高く、関連する「データ活用基盤の整備」「セキュリティ・ガバナンスの強化」へのニーズも比例して高まっています。これらのニーズはCTCアメリカが注力する4領域とも合致しており、トレンドを先取りした情報提供やスタートアップの紹介は、お客様から高い評価をいただいています。
AI技術で注目される4領域
ひと口にAIと言っても、その領域は多岐にわたり、トレンドも日々変化します。そうした中、CTCアメリカでは、既存ビジネスとの親和性や、今後の先進的な取り組みを鑑みて、4つのAI領域に注目しています。
- ① Agentic AI
- 受動的なコパイロットから、自律的に計画・実行・検証を行う「エージェント」への移行が加速しています。企業価値への貢献には、業務の再設計と運用KPIの明確化が不可欠です。
- ② Edge/On-Device AI
- クラウドではなく、スマートフォンやPCなどの端末上でAIを直接実行するオンデバイス推論が拡大しています。遅延、コスト、プライバシー保護の観点から再評価が進んでおり、早ければ今年中にAI PCの普及が本格化すると考えられます。
- ③ AI Security
- ユーザー入力を悪用して誤動作を誘発するプロンプトインジェクションや、学習データへの不正情報を混入させるデータ汚染など、LLM特有の脅威が顕在化しています。これらに対応するため、米国国立標準技術研究所(NIST)の定める枠組みや業界ごとのベストプラクティスに基づいたガバナンス、評価、監視体制の構築が求められています。
- ④ Embodied AI/Physical AI
- 人型ロボットや移動しながら物を操作するモバイルマニピュレーションなど、物理空間でのAI活用が進展しています。ロボティクス向けAIモデルの整備も進んでおり、2025年8月に公開されたGartnerの「Top AIInnovation」レポートでは、Embodied AIや関連技術のWorld Modelsが黎明期の注目技術として挙げられました※4。
加えて、AIコア技術だけではなく、AI開発や運用を支えるためのインフラ領域にも注目しています。
有望なスタートアップを発掘・連携
近年、CTCアメリカでは現地企業と関係構築を強化しており、前述の4領域とも連動した企業との連携が進んでいます。
- ① Agentic AI:Articul8
- 大企業向け生成AIプラットフォームを提供。
- ② Edge/On-Device AI:Liquid AI
- 端末・エッジ環境での活用を見据えた小型AIモデルを開発。
- ③ AI Security:Dynamo AI
- AIコンプライアンスに特化したサービスを提供。
これらの企業とは、AI時代に不可欠な技術要素にフォーカスした早期連携を進めてきました。
また、前述の4.Embodied AI/Physical AIのように、CTCの事業とは一見関連が薄い分野においても、Liquid AI社との技術的な親和性や、将来的なビジネス展開の可能性を見据え、調査やパートナー探索を開始しています。さらに、AIインフラへの注力も重要です。高密度GPU時代を前提に、データセンター設計の刷新が進み、液体冷却が主流となりつつある状況を継続的に比較調査し、最先端の動向を追い続けています。
AIの飛躍的な進化に伴い、トレンドが急速に変化しており、ビジネス開発における技術調査やスタートアップ選定などの難易度もそれに比例して高まっています。CTCアメリカでは、これまで通りお客様のニーズに即したソリューション探索を重視しつつ、業務やKPIをAIに適合させることで、より効果的な業務活用が可能になると考えています。こうした米国で感じる肌感覚をお客様に伝えながら、課題解決に貢献できるソリューションの提供を目指して、今後もビジネス開発を一層加速していきます。
- Modern Data Stack:クラウドサービスやSaaSを組み合わせてデータ活用基盤を設計・構築するコンセプト。データの収集、加工、分析、活用といった一連のプロセスで、それぞれに特化したツールを組み合わせて効率的で柔軟なデータ活用を可能とする。
- 【参考】https://www.mckinsey.com/capabilities/quantumblack/our-insights/the-state-of-ai
- 【参考】https://news.crunchbase.com/venture/global-funding-climbs-q2-2025-ai-ma-data/
- 【参考】https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2025-08-05-gartner-hype-cycle-identifies-top-ai-innovations-in-2025
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