事例

株式会社エアーリンク 様

更新

ビッグデータ活用でコンバージョン率アップの課題やヒントを発見

「CTCBD-Naviでデータ活用・分析プロジェクトを支援」

「ビッグデータ」が注目を集めている。ビッグデータを分析してお客様のニーズを知りたい、販売プロモーションや製品開発に活用したい、経営に生かして競争力を強化したい……。今では、これらを実現するいくつかの成功事例も発表されるようになってきた。だが、多くの企業では、何から着手すればいいか分からない、どのようなデータを集めればいいか分からない、集めてはみたが分析手法が分からないなどの課題を抱えている。そこでCTCの提供するのが、ビッグデータ活用を支援するサービス「CTC BD-Navi」だ。旅行サイト「スカイゲート」を運営する株式会社エアーリンクでは「CTC BD-Naviビッグデータトライアル分析サービス」を利用して、コンバージョン率アップの課題やヒントを発見するなどの効果を上げている。

課題と効果

課題
  • 旅行商品のコンバージョン率アップ
  • ビッグデータ分析専門家の不在

「CTC BD-Navi ビッグデータトライアル分析サービス」の採用

効果
  • サイトの設計やデータ収集など業務課題の発見
  • データに対する社員の意識の高まり

導入事例インタビューデータ

会社名
株式会社エアーリンク
所在地
〒160-8341 東京都新宿区新宿5-15-5 新宿三光町ビル
設立
1979年7月
資本金
1億円
URL
http://www.airlink.co.jp/新しいウィンドウで開く
  • 株式会社エアーリンク 社長室 室長 兼 ビジネス企画本部 本部長 早坂 泰祐 氏

    株式会社エアーリンク

    社長室 室長 兼 ビジネス企画本部 本部長

    早坂 泰祐 氏

  • 株式会社エアーリンク ビジネス企画部 部長 菅野 章 氏

    株式会社エアーリンク

    ビジネス企画部 部長

    菅野 章 氏

導入背景

海外旅行販売サイトとして国内トップクラスのWebサイト「スカイゲート」を運営

旅行業界の予約サービスは、物販と異なり実際に物が動くわけではなく、情報のやり取りが発生するだけである。このためWebとの親和性が高く、ネット上でのサービス提供業者が多い。中でも老舗の1つとして知られているのが、エアーリンクの運営する「スカイゲート」だ。

エアーリンクは、日本のインターネット業界を牽引するDeNAグループの旅行会社である。スカイゲートのサービス開始は2000年からと古く、オンラインでの海外旅行の売上では国内トップクラスを誇る。「お客様の多彩なニーズに応えるため、価格、品揃え、利便性を追求してきました。これもあって、おかげさまで大変高い支持をいただいております」と、同社 社長室 室長 兼 ビジネス企画本部 本部長 早坂 泰祐 氏は紹介する。

また、ビジネス企画部 部長 菅野 章 氏は「旅行会社として提供可能商品を全てオンライン完結でサービス提供できることを目指しています。海外旅行の航空券のみならず、国内旅行やホテルの案内も含めて、全方位のサービスを追求しています」と語る。

人口は減少傾向にあり、レジャーも多様化している。旅行市場全体の成長に大きく期待できない中で、同業各社は勝ち残りをかけて競い合っているのである。

コンバージョン率アップを目指しデータ活用を検討

サービスを開始以降、市場やお客様の変化に合わせて、常に新しい技術を取り込んできた。物販と異なり、旅行商品は買いだめができない。「更に、旅行商品は価格だけでは比較できません。とにかく安く行ければいいという人もいますし、当日の予約を柔軟に変更できるのがいいという人もいます。経由先にこだわる人もいます。人それぞれに求めるサービスが異なっており、それぞれの要求に対していかに商品を見せるかによってコンバージョン率が異なってきます」と、早坂氏は説明する。

旅行のピークとなるゴールデンウィークや夏期休暇の時期と、それ以外の閑散期ではサイトの見せ方や訴求のポイントが異なってくる。実店舗であれば接客しながらお客様のニーズを聞き出して、最適な商品を提案できる。この機能をオンラインで提供するために、同社では人材にもシステムにも投資を重ねてきた。

同社が最適なサービスのレコメンドのヒントになるのではないかと期待したのが、日々蓄積されるサイト上のデータであった。「ほとんどの人が旅行商品の検索をするために訪れるのですが、1回の検索で決まることはありません。多い人では百回ほども検索を重ねており、そのログデータが残っています。これを活用できるのではないかと考えたのです」(早坂氏)。

プロジェクト概要

収集されたビッグデータの分析が課題に

CTC BD-Naviサービス体系

繰り返される検索の中でお客様のニーズを見出して最適な旅行商品を提案する、更には旅行商品を開発した段階で見込み客層を絞り出しメール等でお知らせする。「旅行という商品の特性上、単純にECサイトのようなお勧めを出すだけでは意味がなく、真の意味での『旅行商品リコメンド』を提供できている旅行サイトはありません。このようなサービスの提供も視野に入っていました」と、早坂氏は強調する。

2011年の夏頃から検討を開始し、その後プロジェクトを発足。ログデータの本格的な収集を開始した。「どのようなデータを集めどこに溜めておくかを検討し、データのダムづくりを終わらせました。数カ月で相当な量のデータを得ることができました。しかし、そのデータを効果的に分析する技術を社内のスタッフは持っていませんでした」と、菅野氏は振り返る。

プロジェクトを構成する社内スタッフは、それぞれの部門で本業を持っており、分析の専門家ではない。時間を見つけてはExcelにダウンロードして、傾向や相関関係を調べたりするのだが、手法にも精度にも自信がない。反面、スカイゲートは登録会員数が約135万人、ページビュー約3000万PV/月の大規模なサイトであり、ログデータは膨大な量へと増加していった。

「CTC BD-Naviビッグデータトライアル分析サービス」を採用

「データサイエンティストがおらず、自社では限界がありました。とはいえ、貴重なデータを活用しない手はありません。当社のコンサルタント会社にも相談し、ビッグデータの分析サービスを提供するベンダーを探すことにしました」(早坂氏)。こうして見つけたのが「CTC BD-Naviビッグデータトライアル分析サービス」であった。お客様の所有するデータを使って分析から効果測定までを行い、お客様の仮説を検証し、業務施策の立案を支援するサービスである。「何度か実績やサービスの説明をお伺いしているうちに、これは信頼できると確信しました」と、サービスへの印象を早坂氏は語る。

そこで本サービスを採用し、指定の旅行商品を購入した人の行動分析を依頼することにした。「私達は買った人には何かしらの独特なルールがあると仮設を立てました。これを明らかにすることで、新たな対策を打つことが可能となります。商品を購入していただけるのは百人に1人の割合です。これを2人にするだけで売上は2倍に跳ね上がるのです」と早坂氏は説明する。

導入効果

サイトの設計やデータ収集の方法見直しへ

データサイエンティストの力を借りたプロジェクトが発足し、過去データの分析からレコメンドモデル構築を試みた。

しかしながら結果は、「購入者の行動に特別なルールは抽出できなかった」ということであった。「期待したルールはないという残念な結果になりました。ただそれは、我々の持っているデータ範囲のことです。サイトにその材料が全く残されていないのか、あるいは我々が収集できていないだけなのかまでは分かりません」と、菅野氏は指摘する。例えばお客様がどのような状況や気分で検索しているかまでは分かっていない。単なる情報収集なのか、差し迫っている渡航なのかまで、現状のサイトでは掴むことが困難だ。

また、今回の分析を通じて購入しない人の行動も見えてきたため、購入機会損失がどの程度あるかもわかった。「報告書の中ではサイト設計の見直しや、検索はしたものの購入に至らなかった行動との別アプローチの比較などの提案がありました。新たな課題が見つかり、2013年夏のツアーサイトのリニューアルに生かしています」と、早坂氏は得られた効果を語る。

データに対する意識の高まり

これらのデータ分析プロジェクトを知った、自社のマーケティング部門や販売部門から必要とするデータが欲しいというリクエストが来るようになった。「プロジェクトを発足させたことで、社員のデータに対する意識が高まりました。これも効果の1つといえるでしょう」と早坂氏は語る。

また、同時に旅行業界におけるデータ分析の難しさも改めて痛感した。「旅行は外部環境に極めて影響されやすい業界です。極端なことをいえば景気が良くなれば売上が上がり、下がれば売上が落ち込みます。海外旅行は更に複雑で、政治問題や通貨レート、また開催される国際的なイベントでも全体の需要が大きく左右されます。分析のためには環境要因も含めたデータのチューンアップが必要です」(早坂氏)。

今後の展望

2度目3度目のビッグデータ分析に挑戦

「今回の分析は初回のトライアルであり、これで終わりではありません。金鉱探しや油田掘りのように、何度も何度も挑戦していきたいと考えています。まだ始まったばかりなのです。データを積み重ね、仮説を立て、検証を繰り返していきます」と、早坂氏は今後の抱負を語る。「定期的にビッグデータ分析を依頼していくことになると思います。年に一度、あるいは半年に一度というように。試し掘りも数が大切です」と、菅野氏も語る。

そのために求められるのがデータ量であり、これは継続して蓄積する仕組みを整えていく。更に、金鉱をより探し出しやすいよう、データ収集方法から分析手法、さらにはサイトの設計までを再検討していく。

「効果的なレコメンドができるよう、今後も取り組んでいきます。環境要因も含め、効果的なデータ収集から分析まで、CTCには提案をお願いしたいと思います」と、早坂氏はCTCへの期待を語った。

なお、本サービスの提供については、CTCが提携しているデータ分析専門家の集団である株式会社データフォーシーズと協力して実施した。

用語解説

コンバージョン率

コンバージョンとは商品購入や資料請求など、Webサイトで目的とする最終成果のこと。その数をサイトへのアクセス数またはユーザー数で割って算出する。Webサイトの投資対効果を計る上で重要な指標となる。

レコメンド

勧めること。あらかじめ登録されたお客様の趣向情報や、購買履歴などを参照して、好みに合致する商品やサービスを紹介する。

データサイエンティスト

ビッグデータになると従来までのデータ分析とは異なる分析手法やIT技術などが求められる。ビッグデータ分析専門家。注目の業種となっている。

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