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株式会社メルティンMMI 様

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MELTIN

サイボーグ/アバター事業を展開するメルティンMMI、拠点間の設計情報共有を目的に「SOLIDWORKS PDM」を導入

  • SOLIDWORKS PDM
  • CUVIC on AWS

メルティンMMIは、福島県南相馬市に研究開発拠点を新設したのに伴い、東京と福島の開発拠点間で設計情報を共有するために、製品データ管理ソリューション「SOLIDWORKS PDM」を導入した。システムの稼働基盤には、Amazon Web Services(AWS)を採用。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が提供するクラウド構築・運用サービス「CUVIC on AWS」を利用し、わずか3カ月という短期間でシステムを立ち上げた。

課題と効果

課題
  • 拠点間で設計情報(CADデータ、ドキュメント)を共有する仕組みがない
  • クラウド上に構築したインフラの運用管理も含めてアウトソースしたい
効果
  • CADデータの情報共有を促進し、多拠点にまたがる設計業務を効率化
  • CUVIC on AWSにより構築から運用まで一貫したアウトソースを実現

導入事例インタビューデータ

会社名
株式会社メルティンMMI
所在地
〒104-0033 東京都中央区新川1-17-24 NMF茅場町ビル5F
設立
2013年7月
事業内容
生体信号・ロボット技術を利用したサイボーグ事業。医療・福祉機器、アバター、身体拡張デバイスの研究開発・事業化。
URL
https://www.meltin.jp/新しいウィンドウで開く
  • 藤本 真弘氏

    株式会社メルティンMMI

    クリエイティブディレクター

    藤本 真弘氏

  • 神林 実氏

    株式会社メルティンMMI

    機械設計エンジニア

    神林 実氏

  • 遠藤 泰子氏

    株式会社メルティンMMI

    広報

    遠藤 泰子氏

課題

事業拡大が続くメルティンMMI、開発情報管理の課題が浮き彫りに

株式会社メルティンMMI(以下MELTIN)は、サイボーグ事業を展開するベンチャーとして2013年に設立された企業。独自の生体信号処理アルゴリズムと生体から着想を得たロボット技術という2つのコア技術を活かし、機能サポートやリハビリテーション用途の医療機器、危険作業や汚染環境で働くアバターなどの社会実装を通し、サイボーグ技術の実現を目指している。

「当社は大きく分けてアバター事業と医療機器事業の2つの分野で研究開発を行っています。アバター事業では2018年3月に、パワフルで器用な手を持つ独自開発のアバターのコンセプトモデル『MELTANT-α』を発表しました。人の手に近い動作を可能にしたこのモデルは、従来のロボットにできなかった繊細な動きを実現するなど、世界に例のない最先端テクノロジーとして注目されました。2020年3月には建設作業現場の実証実験用に進化させたアバター『MELTANT-β』を発表しました。医療機器事業では手指ロボットニューロリハビリテーション装置の臨床効果検証を目的に、順天堂大学と行っている共同研究について2020年12月に発表しています」(遠藤氏)

そんな研究開発に取り組む同社では、CADデータやドキュメントなど製品開発に関連する情報は、開発者個人のPCごとに紐付けられていたという。当初は事業拠点が本社に集約され開発者同士の距離も近かったこともあり、協調設計のために必要な情報を共有する際には大した苦労はなかったという。しかし、事業規模が拡大するにつれ、CADデータやドキュメントの情報管理・共有に課題をかかえるようになったという。

「例えばまったく同じファイル名が使われていたり、どのバージョンが最新版なのか設計を担当した開発者本人しかわからなかったりといった問題が生じ、業務に支障を来たすようになりました。またロボットの設計は、ハードウェアやソフトウェアなど様々な技術を統合しなければないのですが、それらの情報を共有しながら円滑なコミュニケーションを図るところにも限界を感じていました」(藤本氏)

経緯

インフラ構築・運用と導入が可能なSIベンダー探しに着手

そうした課題を抱えている中、MELTINは2020年9月、福島県南相馬市と「福島イノベーション・コースト構想」の実現に向けた連携協定を締結。南相馬市産業創造センターと福島ロボットテストフィールド研究室に事業拠点を新設し、東京本社と2拠点体制で事業を展開することになった。

「福島に研究開発拠点を新設したのに伴い、それぞれの拠点でCADデータやドキュメントなど設計情報を共有しながら協調設計する必要がありました。そこで製品開発に関するすべての情報を統合管理できる製品データ管理ソリューションの導入を検討することにしました」(神林氏)

複数のソリューションを候補として挙げて比較検討した結果、同社が選んだのが「SOLIDWORKS PDM」だった。

「MELTINではCADソフトウェアとして『SOLIDWORKS』を利用しています。このSOLIDWORKSと最も親和性が高いことが決め手となり、SOLIDWORKS PDMを選定しました」(神林氏)

ところがここで新たな課題が発生したという。

「当社にはIT部門がなく、システムの導入や運用管理は開発者が分担しながら行っています。SOLIDWORKS PDMを運用するためのサーバー構築、運用するまでのインフラ構築を自社だけで行うことは難しいので、まずは稼働基盤としてSOLIDWORKS PDMの稼働実績があるAWSクラウドを採用することにしたうえで、AWSクラウド上のインフラ構築・運用とSOLIDWORKS PDMの導入の両方を一度に対応できるSIベンダーを探すことにしました」(神林氏)

選択

AWSクラウドとSOLIDWORKSの実績からCTCの「CUVIC on AWS」を採用

AWSクラウドとSOLIDWORKSの両方の実績があるSIベンダーを探した結果、MELTINが行き着いたのが、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)だった。

「AWSクラウドによるインフラの構築・運用から、SOLIDWORKS PDMの導入まで一貫して対応できるという要件を唯一満たしていたのが、CTCでした。さっそくCTCにコンタクトをとり、提案されたクラウド構築・運用サービス『CUVIC on AWS』を契約しました」(神林氏)

MELTINがCTCと契約を交わしたのは、2020年9月のことだった。福島の拠点で業務を開始するまでの時間が限られていたため、出来るだけ早くAWSクラウド上にインフラを構築し、SOLIDWORKS PDMを稼働させなければならない。CTCはすぐに同社専任のコーディネーターを任命し、月内にプロジェクトをスタートさせた。

「CTCは短時間でAWSクラウドのインフラを用意し、SOLIDWORKS PDMを導入してくれました。わずか半月後の10月中旬には受入テストを実施し、そこから当社側でSOLIDWORKS PDMのテストやトレーニングを約1カ月かけて実施しました」(神林氏)

11月中旬からは12月にかけて本番運用に向けたリリースの準備作業を行い、12月初旬にはスケジュール通りにリリースできたという。

効果

製品データの一元管理を実現し拠点間の情報共有がスムーズに

AWSクラウド上で稼働するSOLIDWORKS PDMの運用を開始してから間もないが、MELTINではすでに効果を実感し始めているという。

「2つの拠点に分かれているのにもかかわらず、設計業務は従来よりも格段に効率化したと感じています。個人任せだった情報管理の課題を解決し、CADデータやドキュメントをSOLIDWORKS PDMに一元的に管理できるようになったことで、情報共有やコミュニケーションもスムーズになりました」(藤本氏)

また、AWSクラウドの運用からSOLIDWORKS PDMによる製品データ管理システムの保守、セキュリティ対策までを一貫してCTCに委託できたことも、効果の一つだ。

「当社側がインフラやシステムの運用管理に割ける工数はほとんどありません。将来、CADデータやドキュメントなど製品関連情報が増えたとしても、AWSクラウドのリソースを増やすだけでコストを抑えながら拡張することもできます。これらも大きな導入効果だと考えています」(神林氏)

今後の展望

意思決定に必要な情報を集約しコミュニケーションを活性化

今回、AWSクラウド上に製品データ管理システムを構築したMELTINだが、今後はさらに利用を促進し、製品開発や意思決定に必要なあらゆる情報を集約していく予定だ。

「ここにアクセスすればあらゆる情報が入手できるという状態にして、社内のコミュニケーションをどんどん活性化していきたいと考えています」(藤本氏)

さらに将来的には、他のシステムについてもクラウド化を推進し、とくに設計情報以外の管理業務や開発者がアナログで行っている業務の自動化にも取り組んでいきたいという。

AWS構成イメージ(CCOA、Single AZ)

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