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小林化工株式会社 様

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kobayashikako

SAP ERPのインフラ基盤にCUVICmc2を採用
医薬品の品質維持と安定供給に向けて業務効率性を強化

福井県あわら市を本拠地に、医療用医薬品の製造・販売を手がける小林化工株式会社。同社は後発医薬品(ジェネリック)ビジネスの急成長を見据えて、グローバル製薬業界で広く活用されているSAPERPを導入。インフラ基盤にはSAPに最適化されたクラウド基盤「CUVICmc2」を採用し、運用負荷の軽減とインフラコストの最適化を図った。高パフォーマンスなシステム基盤の整備により、さらなる企業価値創出を推進している。

課題と効果

課題
  • 将来の売上高、生産量増大への対応
  • 円滑な事業継続を支援する仕組み作り
  • システムの個別化による二重入力や手作業によるデータ連携の解消
SAP ERPを採用し、クラウド基板「CUVICmc2」上に導入
効果
  • データ自動連携による受注出荷業務の効率化
  • 業務フローの全社標準化、業務分担の明確化
  • インフラのパフォーマンス強化によるデータ抽出時間の短縮

導入事例インタビューデータ

会社名
小林化工株式会社
所在地
福井県あわら市矢地5-15
創立
1946年12月1日
URL
https://www.kobayashikako.co.jp/新しいウィンドウで開く
  • 小林化工株式会社 代表取締役社長 最高経営責任者 小林 広幸氏

    小林化工株式会社

    代表取締役社長
    最高経営責任者

    小林 広幸氏

  • 小林化工株式会社 執行役員 コーポレート本部長 宮川 修治氏

    小林化工株式会社

    執行役員
    コーポレート本部長

    宮川 修治氏

  • 小林化工株式会社 コーポレート本部 情報システム室 課長代理 長谷部 了氏

    小林化工株式会社

    コーポレート本部
    情報システム室 課長代理

    長谷部 了氏

国内外の医療機関や調剤薬局に 高付加価値型のジェネリック医薬品を提供

1946年から半世紀以上にわたって医療用医薬品/一般用医薬品の開発/製造/販売を行う小林化工。現在はジェネリック医薬品に特化した製薬会社として、ライフサイクルマネジメントの観点から高度な製剤技術を駆使して高付加価値型製品の開発を進めている。代表取締役社長で最高経営責任者の小林広幸氏は次のように語る。

「当社が追求しているのは、患者様が飲みやすく、医療関係者の皆様が取り扱いやすい製品作りです。当社独自の工夫を施した、高付加価値型ジェネリック医薬品の研究開発と供給を進めています」

高レベルの品質保証と需要拡大に応えるため、安定供給に関しては医薬品の製造・品質管理基準であるGMPの日・米・欧対応を目指した最新鋭の工場を建設し、ハード/ソフトの両面から充実を図っている。2016年には年間約10億錠の生産能力を持ち、ロボット技術を駆使してローコストオペレーションを実現した清間第二工場を竣工した。さらにオンコロジーセンター(抗がん剤製造棟)、総合物流センター、製剤技術総合研究所などを有し、優れた医薬品を全国に供給している。

海外でも早くから台湾でビジネスを開始以降、香港、韓国、ベトナムへの輸出を強化してきた。今後もASEAN地域やUAE等でグローバルビジネスを推進していくという。

全社統合基盤による業務の高度化を目指してSAP ERPを導入

小林化工が基幹システムの見直しに着手したのは2017年。日本政府が「2020年9月までにジェネリック医薬品の使用割合を80%とする」方針を打ち出し、生産量・販売量の増大が確実視される中、大規模生産に対応できる体制が必要だった。しかし、既存システムは販売購買管理を中心に会計、生産管理、在庫管理、品質管理など個別で運用しており、システム間の連携が課題となっていた。また、より正確な原価管理も重要だった。そこで全社統合システムを構築し、経営判断に必要な情報をスピーディに入手できる基盤を整えることにした。

「データベースを統合し、各種の実績データをタイムリーに見られるようにすることが最大の目的です。また、業務の効率化を推進し、人的リソースを高付加価値業務にシフトしたいと考えました」(小林氏)

同社は、グローバルの製薬業界での実績が豊富なSAP ERPを採用。海外の製薬会社や原材料メーカーの多くと同じシステムであれば、円滑な取引にも役立つと考えたからだ。また、執行役員でコーポレート本部長の宮川修治氏は「既存のMES(製造実行系システム)やWMS(倉庫管理システム)との連携、導入パートナーの株式会社JSOLのサポート体制が充実していることなども含め、総合的に判断して決めました」と振り返る。

SAP ERPのインフラ基盤は、JSOLの提案をもとにCTCの「CUVICmc2」を選定。製薬業務に必要なCSV(コンピュータ化システムバリデーション)対応をインフラレベルで実装していたことと、伊藤忠グループのCTCが提供するサービスの信頼性を評価した。コーポレート本部 情報システム室 課長代理の長谷部了氏は次のように語る。

「日常の運用、リプレース時のサーバー構築などの負荷軽減を考えてクラウドを選びました。当社にとっては初めてのクラウド導入でしたが、JSOLからCUVICmc2の稼働実績の説明やCSV対応の提案をいただきながら理解を深め、懸念点を解消していきました。CTCが提供するクラウドサービスであれば、海外の同サービスと比べて融通が利くと考えたことも理由の1つです」

経営トップが積極的に関与することで一体感を醸成

2017年7月に始まった導入プロジェクトは要件定義、設計・開発、テスト・移行を経て、2018年10月に本稼働を開始した。会計、販売、購買、生産、品質のモジュールすべてをビッグバンで稼働。SAP ERPとは別途構築したLIMS(品質管理システム)、導入済みのMESシステム、物流システム(WMS)、データ交換システム(JD-NET)、Web受注システムとも自動連携させた。

キックオフ前の全体構想フェーズでは約4カ月かけて現状の業務課題を抽出し、改善点を整理した。また製薬業界特有のビジネスモデルを標準で実装しノウハウ化したJ-Model(SAPテンプレート)を活用して、業務の標準化と効率化を目指し、周辺システムとの連携も行うことでさらなる業務効率化を行った。SAPのベストプラクティスを維持し、独自の業務フローもSAP ERPに合わせ、アドオンが必要な業務については協議を重ねながら最低限に絞ったという。

「経営陣全員が当初から会議に参加して、全社を挙げて推進していくという姿勢を示しました」と小林氏が語るように、経営トップ自らトップダウンで進めたことも、一体感の醸成と社員の意識向上につながった。

プロジェクトメンバーには各業務部門のキーマン、さらに若手社員を積極的に登用して、新しいシステムを担う意識につなげたという。

「プロジェクトは、従来の業務を見直すきっかけにもなりました。標準化を進めながら業務のマニュアルを作成したことで、システム稼働後もスムーズに移行できました」(長谷部氏)

CUVICmc2の安定した環境でコストを軽減 パフォーマンスの強化でデータ抽出時間も短縮

SAP ERPの導入により、同社は強固なシステム基盤を実現した。柔軟性の高いクラウド環境により今後データ量が増大しても、即時の拡張が可能になっている。

業務面では、二重入力や手作業が解消。JD-NETやWeb受注のシステムでは自動連携により、受注出荷業務の作業負荷が軽減されている。

「受注業務が効率化された結果、1~2人月の工数削減が実現しました。工場ではMESとのデータ連携を自動で行うことでシステムごとの多重入力がなくなり、業務の無駄が排除されています」(宮川氏)

今後はデータを蓄積し、システム活用の習熟度を高めることでより効率的な経営を推進する考えだ。従業員の間でもExcel中心の業務から脱却し、標準システムを活用していく意識が高まった。部門間の連携が強化されてコミュニケーションが活発化し、さらに業務を改善していく自発性も芽生えているという。

CUVICmc2については、安定した環境、コスト軽減、サポート要員の充実を評価。システムのパフォーマンスにも満足していると長谷部氏は語る。

システム基盤のBCP対策を強化 工場との連携を高めて高品質維持と安定供給へ

小林化工は今後、BCP(事業継続計画)対策を進めていくという。また、MESが未導入の工場についても導入を進め、SAP ERPとのリアルタイム連携を図っていく。さらに、工場の自動化に向けてロボットやAIも積極的に活用していく構えだ。

継続的な製品の品質確保と安定供給のためにも社員教育を充実させ、システムの活用度を高めていくことは欠かせない。品質管理についても製薬業界ではデータインテグリティ(Data Integrity)の概念のもと、データの一貫性が求められている。物流面でも販路の拡大に向けて、データ処理のスピードや正確性の向上は不可欠だ。「さまざまな課題に対応するため、今後もシステムの強化を続けていきます。今回きめ細かなサポートをいただいたJSOLとCTCには、引き続き力添えを期待しています」(小林氏)

導入製品・ソリューション

  • 案件協力:株式会社JSOL
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