|特集|50周年の節目にエンジニアたちが本音で語る、CTCの「今」と「これから」

SDGsへの取り組みと社内の変化

渡部 亜美
CTO/技術戦略室
エキスパートエンジニア
入社以来、ストレージやサーバなどのプリセールスを担当。マレーシアに駐在した3年間では現地のクラウドサービス立ち上げに携わる。

松村 愛子
情報通信事業グループ
情報通信第2本部 システム技術第3部
技術第3課
入社以来、インターネットやモバイルビジネスを中心に、大規模アプリケーションや仮想基盤などのネットワーク設計・構築に携わる。
- 里見
- 続いて、SDGsに関連した取り組みについて聞かせてください。CTCは、どらちかといえば「裏方で支える」立場のため、SDGsにどう貢献しているかを表立って言いにくいところもありますね。実際は色々な形で貢献していると思いますが。今日は、皆さんの具体的な取り組みについて可能な範囲で教えてください。
- 富士榮
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私が現在取り組んでいるIDに関するパッケージ「SELMID」は、“全ての人に公的な身分証明を”ということを一つのビジネスターゲットとしています。
世界には、戸籍や身分証明を持っていない人が20億人ほどいると言われます。加えて、国から追われてパスポートを抹消されている人もいる。そういう人たちは身分を証明できないがゆえに、銀行口座を作ったり、携帯電話や部屋を借りたりすることができない、さらに就職もできないという状況に陥ったりしています。私たちは、そういう人たちがIDを手に入れて、経済参加できるようにするために「SELMID」を活用する方法を探っています。戸籍や身分の登録によって、国や自治体から「この人は○○さんです」と認めてもらうのではなくて、身近な人の証言などをその人の存在や信頼の裏付けとする。そして分散されたデータソースを元にIDを確立し、それをデジタルの形で実現させる。それが「SELMID」のコアな部分の考え方になります。その仕組みを実現するために、今、分散型台帳を使ったり、色々なIDを持っている事業者とのコネクタを作ったり、マイナンバーカードとつなぐといったことを行っています。
現段階ではBtoCを事業としているお客様に対して、このプラットフォームを使ってビジネスを作ってもらうことを考えているのですが、むしろ私たちが事業体として身元証明を担う側になるという方法もあるかもしれないと思っています。SDGsということを考えるのであれば、デジタルの仕組みを作るだけではなく、そこまで考えていきたいという思いもあり、実は今、具体化させる案を練っているところです。
- 里見
- まさにSDGsに貢献できる素晴らしい取り組みで、今後の展開が楽しみです。久保田さんも、意義のあるプロジェクトに関わっていましたよね。
- 久保田
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はい。未来研では今、いわゆる持続可能な経済、サーキュラーエコノミーを念頭に置いた家具物流の仕組みが作れないかと考えているところです。メーカーが作った家具をある人が買い、しばらく使った後に、別の方に売ってリユースされるということは一般的ですが、それに対して、1つの製品をパーツレベルで分解して、使えるものは再利用して循環させようという、素材レベルで循環させるという考え方をサーキュラーエコノミーと言います。例えばベッドだったら、マットレスの布の部分は再利用が難しい状態だけど、中の鉄製コイルは溶かして別のものにできるから回収して使おう、という具合です。私たちは、そのような仕組みを家具物流の中に作り、事業化することを目指しています。
- 里見
- その仕組みがうまくできれば、SDGsへの貢献も大きいですね。
- 久保田
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そう思います。未来研では、それ以外にもSDGsにつながる事業の検討を進めています。その一つが“三方よし”の交通事業の仕組み作りです。交通に不便を感じている高齢者などは数多いものの、バスや電車が、採算が合わないために廃業したり、路線が減ったりしている地域が多くあります。そうした地域において、人々にもっと移動してもらいやすいようにする。そして、交通機関を運行する側も、地域の人々も、地域の経済も、共に益のあるシステムを作り、事業化するべく動いています。私たちのIT技術を活かすことで、SDGsという面でできることは、実はとても多いのではないかと考えています。
- 泉
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科学システム本部としては、今年6月に発表になった風力発電に関する取り組みがあります。風車を設置する際にその最適な配置を割り出す独自の計算モデルを開発すると共に、その計算が、量子コンピューティングによって従来のシミュレーションよりもかなり短時間でできるようになることを確認しました。再生可能エネルギーの効率的な普及に寄与できるのみならず、量子コンピュータの技術で計算に使う消費電力も抑えられる。SDGsの面で大きな貢献が期待できる事業です。
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