Best Engine

ITの最新動向を紹介する技術情報サイト

Technical Report

新しい世界観を実現するOpenStack

OpenStackとは?

OpenStackは「人」にフォーカスしたソフトウェアであるため、そのための機能を核としてデザインされています。その核とは「操作の標準化」と「判断の自動化」です。

OpenStackは様々なハイパーバイザー、ストレージ、ネットワーク装置などを配下に収めることで動作しますが、配下に収める対象がどのようなものであってもOpenStackが定める標準化された手法で操作が可能になります。これにより、運用者は製品ごと、ソフトウェアごとの手順を覚える必要がありません。

そして、従来では環境を操作する際に「ネットワークアドレスの重複を回避する」「仮想マシンの配置先を決める」といった「人の判断」が様々なポイントで必要になってきましたが、OpenStackではこれらの判断の大部分をプログラムによって問題が発生しないように自動判断して決定してくれます。

この2つの機能により人の操作が大幅に効率化されると同時に、様々な周辺ツールとの連携が容易となることで運用の自動化を促進し、従来の常識を遥かに超えた大規模な自律運用が可能となるのです。

新しいツールと新しい文化

OpenStackは「人」にフォーカスしているため、単純に社内にOpenStack環境を作れば効率化や迅速性の向上が望めるかと言えばそうではありません。なぜならば「人」が作った運用というものは、その企業が持つ社会的背景や、これまでの歴史によって醸成された「企業文化」の上に形成されているからです。

つまり、OpenStackに代表されるこれらの「新しい常識」を作るソフトウェアを活用して新しいシステムを築こうとするならば、単なるツール導入を超えて、「企業の文化改革」に取り組む必要が出てきます。いくら新しくて評判の良いツールを導入しても、それが「古い常識」を前提として使われたのでは、効果が出ないどころかマイナスの効果すら出てしまうことに対して、十分な注意を払う必要があります。

今後の可能性

OpenStackの最新の開発では、これまでのコア機能であるサーバ・ストレージ・ネットワークからさらに一歩進んで、コンテナやデータ分析といった分野にも機能拡大しています。そして、国内でOpenStackを使って新しい時代の運用を築いている企業が増えていることに加え、世界ではOpenStackの活用領域が広がりを見せており、通信キャリアではSDN(Software-Defined Network)と併用したNFV(Network FunctionsVirtualization)への適用なども進み、業界全体の進化が加速しています。

この進化に追従し、新しいシステムを作っていくためには、従来の「常識」を疑い、古いプロセスを変えていくことが必要になります。そして、こういった取り組みの結果、本当の意味での「攻めのIT」が実現されるのです。

出典:Best Engine Vol.1

記載内容は掲載当時の情報です。最新情報と異なる場合がありますのでご了承ください。