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Snowflake Intelligence(前編): データ活用ビジネスの拡大を実現する生成AIプラットフォーム

データ&アナリティクス

公開日:2025.12.08

Snowflake Intelligence(前編): データ活用ビジネスの拡大を実現する生成AIプラットフォーム

    Snowflake Intelligence(前編): データ活用ビジネスの拡大を実現する生成AIプラットフォーム

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    こんにちは、伊藤忠テクノソリューションズの阪本です。

    皆さんは、SnowflakeでCortex AIという生成AI機能が使えることをご存じですか?Cortex AIは、Snowflakeの中で構造化データや非構造化データの検索および分析に関するツールがそろった機械学習・生成AIプラットフォームです。その中でも、SQL やダッシュボードを使用せずにデータの検索や可視化を行える「Snowflake Intelligence」が、2025 年 11 月に一般提供を開始しました。Snowflake Intelligenceの使用により、以下のようなことが行えます:

    ・SQL文を必要としないSnowflake内のデータ検索

    ・チャット形式でデータの可視化ができ、対話型BIとしての活用

    ・社内の文書やルールを基にして回答するAIチャットボットを簡単に作成

    本記事では、前編と後編に分け、現在の生成AIの動向から、Snowflake Intelligenceを実際にどう活用するのかについて説明します。

    関連記事:Snowflakeとは何がすごい?クラウドベース向けに構築された特長をわかりやすく解説

    1.生成AI市場の急速な拡大とエージェンティックAI

    2022年のChatGPTの登場は、ビジネスの世界に大きな転換点をもたらしました。わずか数年で、生成AIは「新しい技術」から「当たり前のツール」へと変貌を遂げています。

    その勢いは数字にも表れています。Gartner社の調査によると、世界全体のAI支出は2025年に約1.48兆ドル、そして2026年には2兆ドルを超えると予測されています※1。国内でも、生成AIを業務に導入する企業の割合は75.3%※2に達しており、「導入するかどうか」ではなく「どう活用するか」が問われる時代になっています。

    生成AIの進化に伴い、いま大きな注目を集めているのがエージェンティック(Agentic)AIです。従来の生成AIは、私たちが指示を出すことで文章や画像などのコンテンツを生成する「受動的」なツールでした。一方、エージェンティックAIは自身が業務要件を理解し、計画を立てながら、コンテンツ生成やタスク実行を自律的に進めていきます。

    たとえば、社内の過去事例や資料を自動で参照しながら提案書を作成したり、まるでアシスタントのように複数の業務を連携して処理したりすることが可能になります。これにより、単なる作業の効率化を超えた、本質的な業務変革が期待されているのです。

    ユーザーの指示に従ってコンテンツを生成する受動的な生成AIと、業務要件を理解し計画・実行を自律的に行うエージェンティックAIの概念図

    図1:生成AIとエージェンティックAIの概要

    しかし、期待の一方で現実は簡単ではありません。

    生成AIの導入率は75.3%と高い一方で、エージェンティックAIの導入率はまだ39.8%※2にとどまっており、実際に業務で活用できている企業はさらに少ないのが実情です。

    国内企業における生成AI導入率75.3%に対し、エージェンティックAI導入率が39.8%にとどまっている現状を示すグラフ。情報・通信/ソフト開発/コンサル業界の導入率が高い。

    図2:生成AIとエージェンティックAI導入状況の比較分析※2

    多くの企業が生成AIの利用にあたって、以下のような課題に直面しています。

    • 生成AIの初期投資からビジネス価値を実証することに苦戦

    • データセキュリティに懸念を抱いている

    • AIを効果的に実装できる人材不足に直面

    つまり、『生成AIを使ってみたものの、セキュリティが心配で本格導入できない』『社内にAIのノウハウがなく、次のステップに進めない』といった悩みを抱える企業が多いのが現状です。生成AI、そしてエージェンティックAIの可能性を最大限に引き出すには、単に最新技術を導入するだけでは不十分です。データセキュリティを確保しながら、既存のデータ基盤と統合し、専門知識がなくても使いこなせる環境が求められています。

    では、こうした課題を解決し、ビジネス価値を生み出すAI活用を実現するにはどうすればよいでしょうか?

    企業データを安全に活用しながらAI機能を簡単に実装できる、Snowflakeが提供するAIソリューションについて次の章からご紹介します。

    2.Snowflake Cortex AI: エンタープライズAIの基盤

    今回の主題であるSnowflake Intelligenceの説明に入る前に「Cortex AI」について紹介します。Cortex AIは、Snowflake AI Data Cloud内で直接動作するマネージド型のAI機能群です。最大の特徴は、最小限のAI/ML知識でも、Snowflake内で高度なAI機能を活用できる点にあります。Cortex AIには、要約、感情分析、翻訳などのAI機能をSQLだけで実行できる「Cortex AI Functions (旧名称: Cortex AISQL)」や、自然言語入力でSQLクエリの構築を支援するSnowflake Copilot機能など、多彩な機能が揃っています。

    その中でも、今回Snowflake Intelligenceに大きく関連するのが、Cortex SearchとCortex Analystという機能です。

    Snowflake AI Data Cloud内で機能群が整理されたCortex AI機能一覧。AGENTS & INSIGHTS、MODELS、GOVERNANCE、PROCESSING & RETRIEVAL、DATAの各カテゴリに主要な機能が配置されている。

    図3:Cortex AI機能一覧※3

    2.1 Cortex Search

    Cortex Searchは、ハイブリッド検索(ベクトル検索とキーワード検索)を用いた非構造化データのテキスト検索を可能にする機能です。これにより、ユーザーが入力したテキスト文と関連が深い非構造化データ(社内文書や設計書など)を、簡単に検索および抽出することができます。従来は複雑な設定が必要だった高度な検索機能が、Snowflake上でシンプルに実現できるのです。

    Cortex Searchを使えば、非構造化データ検索と生成AIを組み合わせた RAGという技術が実現可能です。RAGとは、通常のLLM(大規模言語モデル)に対して、社内文書などの検索結果を組み合わせることで、回答精度を大幅に向上させる手法です。LLM単体では一般的な知識しか持ちませんが、RAGを活用することで、企業固有の情報やナレッジを反映した、より正確で実用的な回答が可能になります。

    ユーザーの質問に対して、文書をチャンク・ベクトル化し、ハイブリッド検索で関連文書を抽出した後、LLMが内部文書を考慮した回答を生成するRAG(Retrieval-Augmented Generation)の仕組みの図。

    図4:RAGの仕組みとCortex Searchの機能範囲

    この手法は現在のチャットボットにも広く採用されており、Cortex Searchを使用することで、以下の図のようなRAGチャットボットアプリが簡単に構築可能です。

    Streamlit in SnowflakeとCortex Searchを組み合わせたRAGアプリの構築手順の「ステップ1 初期設定とDocumentアップロード」画面 。

    Streamlit in SnowflakeとCortex Searchを組み合わせたRAGアプリの構築手順の「ステップ4 AI検索 質問応答」画面 。

    図5:Streamlit in SnowflakeとCortex Searchを組み合わせたRAGアプリ

    2.2 Cortex Analyst

    Cortex Analystは、ある問い合わせ内容に対して、それを解決するSQLを自動生成し、回答を返すText-to-SQL機能です。なぜText-to-SQLなのか?それは、SQLの専門知識がない人でもデータ分析を可能にするためです。

    構造化データは、非構造化データと異なり、生成AIで直接データ検索を行うことが困難です。そのため、SQLで構造化データを検索するという手順を踏む必要があります。Cortex Analystでは、Text-to-SQLという以下の流れで構造化データの検索を行います。

    1. 問合せ内容を分析し、適切なSQLを自動生成

    2. 生成されたSQLで構造化データを処理

    3. 処理結果をLLMに渡し、解釈可能な形に変換

    4. 正確な回答を返す

    この仕組みにより、「テキストから直接構造化データを解釈する」方式よりも、はるかに高精度な回答が得られます。

    ユーザーの質問やLLMの回答時に、構造化データをテキスト化してもLLMが解釈しにくいこと 上と、Text-to-SQLでSQL文を生成 実行してから結果をLLMに解釈させるCortex Analystの仕組み 下の比較図。

    図6:構造化データのテキストからの解釈(上)とText-to-SQLを用いた解釈(下)

    ただし、Text-to-SQLだけでは対象テーブル情報(列名や役割など)を完全に理解できません。テーブル間の関係性や企業独自の列情報などはLLMに学習がされていないからです。そこで、検索精度を上げるために重要となるのがセマンティックモデル/ビューです。

    これはいわゆるメタデータのようなもので、データベース、スキーマ、テーブル情報についてセマンティックモデルはYAML形式、セマンティックビューはSnowflakeオブジェクトとしてまとめ、それぞれのテーブルごとに詳細を定義します。

    セマンティックモデル/ビューの設定品質によって、企業独自のビジネスロジック等を反映することが可能となり、生成されるクエリの精度や回答の一貫性が大きく変わります。主な設定事項には以下が含まれます:

    • テーブル名と説明

    • 各列の名称、データ型、ビジネス上の意味

    • テーブル間のリレーション

    • よく使われるフィルタ条件や計算ロジック

    セマンティックモデルやビューの主な設定事項の概念図。Logical Table 論理テーブル Relationship リレーションシップ Verified Query 検証済みクエリ Custom Instruction カスタムインストラクションの4つの要素から構成される。

    図7:テーブルに対するセマンティックモデル/ビューの主な設定事項

    Cortex Analystにより、Cortex Searchの非構造化データだけでなく、構造化データの検索や分析も自然言語で可能となります。

    3.Snowflake Intelligence: Cortex AIを基盤とした次世代データエージェント

    第2章で紹介したCortex AIの機能は非常に強力です。しかし、これらをエンドユーザーに使ってもらうためには、アプリケーションとして公開し、使いやすい形にする必要があります。Snowflakeには「Streamlit」という手軽にアプリケーションを構築できるフレームワークが備わっています。ただ、こちらはPython言語による記述が必須で、ある程度コーディング技術が必要です。そこで、より手軽にノーコード対話型のAI体験を実現できる「Snowflake Intelligence」がCortex AIの一機能として発表されました。従来のチャットボットやRAGアプリケーションとは異なり、Snowflake Intelligenceは以下を行うことが可能です。

    1. すばやい回答生成 - 複雑なビジネス質問にもエージェントが数秒で応答

    2. 実行力を持つAI - 分析するだけでなく、システム間で実際の操作も実行

    3. マルチモーダル処理 - 数値、テキスト、画像を同時に理解・分析

    4. 知識の統合 - 社内データから最新ニュースまで、情報の壁を超えて検索

    また、セキュリティ面でもSnowflakeのガバナンス機能との統合やデータがSnowflakeの管理境界内で処理が行われます。

    Snowflake Intelligenceにより、第1章で述べた「データセキュリティを確保しながら、既存のデータ基盤と統合し、専門知識がなくても使いこなせる環境」がすぐに実現できます。

    アンケートの回答時間平均について質問し、Snowflake Intelligenceのエージェントが分析結果とグラフ 棒グラフ を数秒で提示している実行画面。

    図8:Snowflake Intelligence実行の様子

    3.1 ビジネスを遅らせる3つの壁

    皆さんも、こんな経験はありませんか?
    急ぎで売上データを確認したいのに、データチームが忙しくてすぐに対応できない。
    重要な契約書の内容を確認したいのに、どこに保存されているかわからないし、見つけても内容がまとまっておらず理解できない、など、こうした「データの壁」が、ビジネスのスピードを奪っています。

    現在、企業がデータ活用で直面する壁は、大きく3つに集約されると考えています。

    壁1:技術的スキルの違い

    • ビジネスユーザーがデータから洞察を得るには、SQLやダッシュボード作成の専門知識が必要

    • 対象のドキュメントを探しても見つからない、またはドキュメントを見つけても、どのように解釈すればよいか分からない

    壁2:データサイロの問題

    • 構造化データ(データベース、テーブル)と非構造化データ(PDF、ドキュメント、メール)がまったく無関係のものとして保存されている

    • 複数のツール間でデータが散在している

    壁3:リアルタイム性の欠如

    • すぐに欲しいデータなのにデータ調査をしている間に、ビジネス機会を逃す

    • 意思決定までに必要な情報を揃えるリードタイムが長すぎる

    データから何かしらの考察を得るためのレポートを作成するにも、従来のアプローチでは、このようにある程度、結果を得られるまでに時間が生じてしまいます。

    関連記事:データ活用とは?|DX推進における重要性や実践ステップを解説

    従来のアプローチ(所要時間:数時間〜数日)

    ビジネス質問の発生 → データチームへ依頼 → SQL作成 → レポート作成 → 結果受領

    一方でSnowflake Intelligenceを使用した場合は、このようなフローとなり、わずか数秒〜数分でデータの結果確認および分析ができます。

    Snowflake Intelligence使用時(所要時間: 数秒〜数分)

    ビジネス質問(自然言語) → AIエージェントが即座に分析 → 洞察と可視化を提供

    従来 データチームへの依頼からレポート作成まで数時間から数日かかっていたフローと Snowflake Intelligenceを使用し自然言語の質問から数秒から数分で洞察と可視化を提供するフローの比較図。

    図9:従来のフロー(上)、Snowflake Intelligence使用のフロー(下)
    の分析レポート作成比較

    実際のビジネスケースでも上記に関連した壁に直面している企業も多いと考えております。Snowflake Intelligenceはその壁を排除し、簡単で、すぐに業務に適用できるプラットフォームとなっています。

    3.2 Snowflake IntelligenceとCortex Agents

    Snowflake Intelligenceを語るうえで、Cortex Agentsは欠かせない要素となっています。

    Cortex Agentsは構造化データと非構造化データの両方をオーケストレーションし、インサイトを提供するツールです。Cortex Agentsは、Snowflake Intelligenceのまさに脳にあたる役割で、内部で4つの行動を行っています。

    1. 計画:質問(クエリ)に対して、複数のタスクに分解し、的確な回答を得るための計画を内部で検討

    2. ツールの使用:計画に対して、必要な情報を得る、もしくは出力するために使用するツールを選定

    3. 振り返り:回答結果を評価し、次のステップで何を行うかの判断

    4. 監視と反復:メトリクスを追跡し、パフォーマンスを分析し、動作を改善

    これはまさに第1章で紹介したエージェンティックAIであり、Snowflakeでは既にエージェンティックAIを簡単に実行できるフレームワークが実装されています。

    また、ツールの使用については第2章でも紹介したCortex AI機能を含む大きく3つを指定することが可能です。

    • Cortex Analyst:構造化データに対するText-to-SQL

    • Cortex Search:非構造化データに対する検索

    • カスタムツール:ストアドプロシージャ、ユーザー定義関数(UDFs)で定義されたカスタム実行フローや結果の取得

    ※デフォルトでチャート生成、SQL実行のツールも含まれています

    さらに、2025年に新たに発表されたOpenflowと連携もできます。これにより、外部のデータソースからデータを取得し、更なる分析や検索結果を取得できます。

    以下、OpenflowとCortex Agentsを連携した図となり、これら一連の流れをSnowflake Intelligenceを使用することで様々なタスクが実現可能です。

    外部データとSnowflake環境内のCortex Agents、Openflow、Cortex Search、Cortex Analystの連携フロー図。

    図10:OpenflowとCortex Agentsの組合せ

    関連記事:AIエージェント時代の業務可視化 AI×タスクマイニングによる業務改善とは?

    4.まとめ

    いかがでしたか?今回前編として、現状の生成AIのビジネス状況からSnowflake Intelligenceの概要について、ご説明しました。

    Cortex AIでは、Cortex Search(非構造化データ検索)とCortex Analyst(構造化データ分析)により、最小限のAI知識でも高度なAI機能を活用できます。

    さらにSnowflake Intelligenceは、これらの機能をコーディング不要で利用可能にしたプラットフォームです。その中核となるCortex Agentsは、エージェンティックAIの4要素(計画、ツール使用、振り返り、監視)をすべて備え、Openflowとの連携により外部データソースも統合できます。

    これにより、従来は数時間〜数日かかっていたデータ分析やレポート作成が、数秒〜数分で完了します。技術的スキルの壁、データサイロ、リアルタイム性の欠如という3つの課題を一気に解決し、誰もがデータドリブンな意思決定を行える環境を実現しています。

    本編の中で紹介したCortex SearchやCortex AnalystはSnowflake Intelligenceだけではなく、Streamlit in Snowflakeでも活用可能で、よりカスタマイズしたアプリケーションを作成可能です。今回ご紹介できなかったCortex AIの他機能もあなたの課題を解決できる機能があるかもしれません。ぜひ、さまざまな機能を試してみてください。きっと活用の幅が広がるはずです。

    また、後編では実際にSnowflake Intelligenceを使用した実践的な内容やユースケースをご紹介しています。もしご興味があれば、ぜひ後編もあわせてご覧ください。

    Snowflake Intelligence(後編): データ分析の民主化を実現する次世代プラットフォーム


    出典一覧

    ※1:
    Gartner® Press Release, 2025年9月18日
    Gartner、2025年の世界のAI支出は総額1.5兆ドルに達すると予測
    https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20250918-ai-spending
    GARTNER is a trademark of Gartner, Inc. and its affiliates.

    世界のAI支出予測を示す表。2024年から2026年までのAIサービス、AIソフトウェア、AIインフラなどの市場別の支出額(百万米ドル)と、世界AI支出総額の推移(2025年に1.48兆ドル超、2026年に2兆ドル超)を Gartnerのデータに基づき示している。

    ※2:
    CTCオリジナルレポート「AI市場動向レポート2025」2024年6月

    ※3:
    Snowflake Cortex AI | Generative AI Services

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    執筆者情報

    阪本 翔紀

    伊藤忠テクノソリューションズ株式会社にて機械学習エンジニアとして従事。データ活用支援プロジェクトや機械学習を用いたモデル開発を経験し、AIやデータ分析における業務を中心に担当。Snowflakeを用いたデータ分析や生成AIサービス開発においても、積極的に活動中。

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