事例

日産自動車株式会社 様

更新

コンピテンシー・マネジメントを取り入れた先進の人材育成システムを構築

世界一有名なカルロス・ゴーン氏の就任により始まった日産リバイバルプランは会社の存続を、次の日産180は成長を実現した。そして2005年4月からの日産バリューアップはグローバルな自動車業界においてトップレベルの営業利益率を確かなものにすることを目的としている。この戦略の中、国内の販売拡充のためには、販売会社の能力向上、付加価値アップが不可欠だ。そこで、より効果的な人材育成を進める販売会社向けシステムAISSが構築された。

課題と効果

課題
  • 販売会社にかかる集合研修費用を削減したい
  • 煩雑な手間を要するシステム運用の負荷を軽減したい
  • 日産側では、古いシステムの保守運用コストを削減したい

混在した4つのシステムを統合

効果
  • e-ラーニングの導入により集合研修をオンラインで補完する
  • 統合されたシステムによるデータ連携が運用負荷を軽減
  • システム統合により、容易かつ低コストの保守運用を実現

導入事例インタビューデータ

会社名
日産自動車株式会社
所在地
東京都中央区銀座
資本金
6,058億1,300万円(2004年3月末現在)
取締役社長 兼 最高経営責任者
Carlos Ghosn(カルロス ゴーン)
従業員
31,389名(2004年3月末現在)
URL
http://www.nissan.co.jp/新しいウィンドウで開く
  • グローバルニッサンセールス&サービスウェイ(NSSW)本部 セールストレーニンググループ(日本) 主担 諸熊直俊 氏

    グローバルニッサンセールス&サービスウェイ(NSSW)本部

    セールストレーニンググループ(日本) 主担

    諸熊直俊 氏

  • グローバルニッサンセールス&サービスウェイ(NSSW)本部 セールストレーニンググループ(日本) 島田幸子 氏

    グローバルニッサンセールス&サービスウェイ(NSSW)本部

    セールストレーニンググループ(日本)

    島田幸子 氏

  • グローバルニッサンセールス&サービスウェイ(NSSW)本部 セールストレーニンググループ(日本) 木下彰子 氏

    グローバルニッサンセールス&サービスウェイ(NSSW)本部

    セールストレーニンググループ(日本)

    木下彰子 氏

導入背景

全国販売会社スタッフの能力向上をサポートするために

日産バリューアップを掲げ、グローバル市場でのトップレベルの営業利益率の確保を目指している日産自動車。日本市場において、この戦略の一端を支えているのが、全国に広がる日産販売会社である。販売会社スタッフを対象に、教育・研修を提供しているグローバルニッサンセールス&サービスウェイ(NSSW)本部セールストレーニンググループ(日本)の諸熊直俊氏は、「バリューアッププラン実現のためには、これまで以上に販売会社の人材のスキルを高めることが必要です。しかし、今までの販売会社向けの教育・研修システムは、四種類に分かれていたため運用工数がかかり、また、販売会社にとっても利便性の良いものとは言えませんでした」とシステム再構築のきっかけを語る。

販売会社向けの教育・研修システムは、C/A(カーライフアドバイザー)と呼ばれる営業向けの日産販売士ステージアップ制度、車の整備などを行うサービススタッフ向けのサービス技術修得制度、講座申込受付、そして講座管理の四つのシステムが混在していた。データが複数のシステムや手作業を経由するため、データの流れが遅く、インタラクティブ性に欠け、運用保守にもコストがかかっていた。これらのシステムは個別に構築、運営されてきたが、システム間で連携されていないため、販売会社もシステムごとに入力しなければならず、データも印刷しなければ確認できないなど、運用上、大きな負荷がかかっていた。

さらに、「販売会社の集合研修コスト削減、教育のスピードアップを図るために、e-ラーニングを取り入れることを考えていました。そして最終的に人材のスキル向上のためには、コンピテンシー・マネジメント・システムの導入が必要だと考えました」と、諸熊氏。こうして、人材育成に重点をおいたシステムの構築が始められた。

導入経緯

ユーザー部門との協力体制のもと、地道な作業でプロジェクトを遂行

2004年2月、本格的にプロジェクトがスタートした。Ver.1では、資格管理システム(販売士・サービス技修)、講座管理システムを統合・リプレースし、新たな特色としてe-ラーニング管理の導入、販売会社基幹システムとの外部システム連携を開発することとなった。

プロジェクトを進める中、複数の業務を一本化するための新しい業務フロー・帳票の作成、旧システム仕様の情報不足による現行仕様調査、複雑な業務・例外業務の対応策立案など、様々な課題が浮上。しかし、ユーザー部門と一つになりトライ&エラーを繰り返して地道に仕様化を行った結果、今までの制度や手法を生かした新システムを構築することができた。
このようなユーザー部門との緊密な協力体制なくしてAISSの成功は有り得なかった。

また、このAISSは操作マニュアルを電子化したことにより、システム導入における販売会社の集合教育を極少化。販売会社における負担を軽減し、スムーズな展開及び定着化に貢献している。
そして、2005年2月、予定通り、AISS Ver.1が完成した。

システム概要

販売会社の教育業務を効率的にサポート

新システムは、AISS(アビリティ・インプルーブメント・サポート・システム)。販売士やサービス技修など日産資格制度ごとの試験実施から、資格認定、講座開催・受講履歴管理、e-ラーニング配信・受講管理、販売会社の基幹システムとの連携までトータルにサポートするラーニングマネージメントシステムである。AISSは、販売会社が自由にデータを抽出・分析し、スタッフへの教育業務の効率化・スピード化をサポートできる仕組みを備えている。

AISS導入による効果

AISS導入による効果

今後の取り組み

コンピテンシーの導入により販売会社のパラダイムを転換

AISS Ver.1により、既存システムの課題は解決された。「販売会社からは、使いやすくなったとの声が寄せられています」と諸熊氏。今後、運用が拡大するにつれて、導入効果は目に見えて表れるだろう。

ただし、Ver.1は通過点にすぎない。2005年7月より、コンピテンシー・マネジメントを導入するVer.2のプロジェクトが始まっている。グローバルニッサンセールス&サービスウェイ(NSSW)本部 セールストレーニンググループ(日本)の島田幸子氏は、今後の取り組みこそが重要だと述べている。「Ver.1は、これまでのシステムを統合して新しくしただけ。やることは同じ。コンピテンシーといういままでなかった新しいものを採り入れるVer.2により、人材育成としてのシステムが機能し始めます」。

コンピテンシーという新しい概念は、販売会社に、大きなパラダイムの転換を迫る。人材育成の考え方における共通の"ものさし"を導入することは、いままでの考え方を大きく変えることを意味する。それだけに、セールストレーニンググループに課せられた役割は重大だ。コンピテンシーの販売会社導入をすすめているグローバルニッサンセールス&サービスウェイ(NSSW)本部 セールストレーニンググループ(日本)の木下彰子氏は、次のように語っている。「販売会社にコンピテンシーをどのように定着させ、AISSを人材育成のマネージメント・ツールとして、いかに自然な形で使って頂けるようにするかを常に念頭においてプロジェクトを遂行しています」。諸熊氏も、「コンピテンシー・マネジメントにより、効率性や効果がより一層高められる。いいものだと販売会社に理解してもらい、運用していただくまでが大変です」と、今後の展開の大切さを力説する。

コンピテンシーを軸に、教育や人事評価、採用が連動しながら展開される人材育成戦略。それをシステムとしてサポートするAISS。現在、進められているVer.2の開発に、CTCも持てる力を存分に発揮することが求められている。

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