コラム

NX、Teamcenterからインフラまでトータルでものづくりに最適化したソリューションを提供

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設計環境のグローバル化や業界の構造変化が進む中でも勝ち抜ける製造業の姿とは?

CAD/CAM/CAEの各分野で大きな価値を顧客にもたらすNX。そのNXの効果を最大限に引き出すために、PLMの「Teamcenter」やそれらを動かすインフラを含め、ものづくりに最適化したトータル・ソリューションを提供しているのが伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)だ。設計環境のグローバル化や業界の構造変化が進む中、新しい環境の中でも勝ち抜ける製造業の姿を、システムの面から提案している。

Teamcenterを推す理由

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CTC エンタープライズシステム事業グループ エンタープライズビジネス第3本部 本部長 鳥越浩嗣

CTCが3次元CADなど製造業向けソリューションを提供し始めたのは、同社が伊藤忠の関連会社として設立した初期の1977年からである。実は歴史は古い。以来、製造業の企画構想や設計開発の領域で、CAD/CAM/CAE、PDMを中心としたソリューションを30年以上にわたって提供し続けてきた。現在では生産準備の領域にもソリューションの範囲を広げ、製造業のエンジニアリング・プロセス全体で、すなわちPLMの領域で付加価値を生み出す体制を築いている。

その同社が製造業向けソリューションの中核と位置付けているのが、NXとTeamcenterだ。特にTeamcenterは、顧客の実情に合わせたソリューションを実現するうえで有効なPLMだという。「お客様がお使いのCADは一種類だけとは限らない。しかし、お客様はそれらすべてのデータ管理を統合して行うことを必要としており、NX含め主要なすべてのCADのデータを管理できるTeamcenterは最も理想的である。」同社の製造業向けソリューション部門であるエンタープライズシステム事業グループエンタープライズビジネス第3本部の鳥越浩嗣本部長は、Teamcenterを推す理由をこう語る。

同社がTeamcenterによるPLMを重視する背景の1つに、製造業の設計拠点が分散化してきたことがある。
製造業が新興国など海外の有望な市場へ事業を展開するために、現地に設計拠点を置いて、現地のニーズを直接取り入れながら製品を開発する例はもはや珍しくない。しかし設計拠点が分散すればするほど設計資産の管理は煩雑になる。このため、効率的なデータ管理体制の整備が求められる。

また3次元CADが広く活用されている自動車業界では、ハイブリッド車や電気自動車の台頭に代表されるクルマの電子化にともない、サプライヤの業界構造も大きく変わりつつある。そこでも新しいサプライヤの受け入れにも対応できるデータ管理体制の構築が急がれている。マルチCAD対応のTeamcenterがベストというわけだ。

JTデータの操作にも一日の長あり

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CTC エンタープライズビジネス第3本部 エンタープライズ開発第3部 部長 川脇広繁

また、同社はNXにも大きな期待を寄せている。その理由の1つが、国際標準となった「JT」フォーマットの存在だ。「データをJTで保存しておけば、業界の変化に関係なく将来に渡ってデータを使い続けることができる。NXはJTのデータでもシンクロナス・テクノロジで直感的に設計できるため、同じJTを扱うにしてもNXを使う利点は大きい」とエンタープライズビジネス第3本部エンタープライズ開発第3部の川脇広繁部長は言う。

実際自動車業界では、欧州の大手メーカーがCADシステムをNXに置き換える決定をしたことが引き金となり、NXへの流れが強まっているが、その置き換えの背景にはJTの存在があったと言われる。JTを生んだ「本家」として、シーメンスPLMソフトウェアとNXが持つアドバンテージは意外と大きい。

全体最適化に必要なトータルのソリューション

CTCはTeamcenterやNXに自社のノウハウを組み合わせることで、一層効果的なソリューションを実現している。その1つの例が自社開発のドキュメント管理フレームワーク「EIMANAGER/WEB」だ。Teamcenterと連携し、品質管理や文書管理、プロジェクト管理などの機能を提供するもの。「部品の含有物質や組み込みソフトなども含めて、製品開発過程で重要な情報を一元管理できるようになります」(川脇氏)。

さらに同社が製造業支援で特に意識しているのが、システムに最適なインフラの企画だ。アプリケーションを動かすハードウエアはもちろん、現在はシステムのセキュリティを高めるためのシンクライアントやストレージ、ハード資源の有効活用をはかる仮想化技術なども,安全で費用対効果の高いシステムを作り上げる上で重要な要素となっている。「CADだけでなく、これらシステムインフラ部分のノウハウを持っているベンダーでなければ、トータルでのソリューションは実現できません」(鳥越氏)。

特にシンクライアントは、顧客の設計拠点の分散化に対応した体制を整えるのにも有効な手段と言える。「設計拠点がグローバルに分散すればするほど、設計データ流出の危険性が高まる。そこでデータを端末側に残さずサーバーで一元管理するシンクライアントが有効」(鳥越氏)。2次元のCADはともかく3次元CADはデータが特に重くなりがちで、これまでシンクライアントのシステムにはなじまないと見られていたが、今は国内でのデータ共有はもちろん、海外との共有も十分現実的になってきたという。

「特に大手のお客様は、設計業務の部分最適化はある程度達成し、今後は全体最適化を目指そうとしている。アプリケーションからインフラまですべてのレイヤーに渡って、ものづくりに最適化したソリューションをトータルで提供できる当社の強みは、これから再認識されると考えている」と鳥越氏は強調する。

  • このコンテンツは、日経BP社 Tech-On! 2010年6月 掲載の内容です。
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