コラム

初心者でもわかる5G

第2回 5Gの「今」と「これから」

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初心者でもわかる5G

今回は、5Gサービス開始直後、すなわち「今」と、「これから」どのように変わっていくのか、についてご紹介します。

第1回のコラムで、5Gは「超高速・大容量、超低遅延、多数同時接続」という特徴を持つ通信システムであることをご説明しました。
今回は、5Gサービス開始直後、すなわち「今」と、「これから」どのように変わっていくのか、についてご紹介します。

「今」サービス開始直後の5G

既にご存知の方も多いと思いますが、まず、皆さんが利用されているスマートフォンが5Gに対応していないと5G通信は利用できません。5Gを利用するには対応端末への機種交換が必要となります。
では5G対応スマートフォンをお持ちの方なら、サービス開始と同時に全国どこでも「超高速・大容量、超低遅延、多数同時接続」の通信が利用できるかというと、そうではありません。なぜなら、5Gはこれまでの4G(LTE)と設備が全く異なる為、ある日を境に全国で5Gの設備に入れ替えてサービスを継続できるものではないからです。
2022年以降、いわゆる「3G携帯電話」のサービスが順次終了となります。こちらはニュース等でご覧になられた方もいらっしゃるかと思います。一般的に「3G携帯電話のサービス」と呼ばれているサービスは、通信規格で言うと「3G」のサービスです。多くの人がスマートフォンを持つようになってかなりの歳月が流れていますが、ここでようやく「3Gが終了」となります。4Gサービスは当面、終了のアナウンスはありません。このように通信事業者は私たち利用者が不便とならないよう、まずは並行して複数のシステムを稼働させ、長い時間をかけて、少しずつ設備の入れ替えを実施していきます。
現在はまさに、4Gと5Gの並行利用が始まったところです。通信事業者は4Gの設備を維持しつつ、5Gの設置を進めている、という状況です。もちろん、これは日本国内だけでなく、全世界の通信事業者が同様の手法を取っています。

では、具体的にどのように5G設備が導入されていくのか、見ていきましょう。
一般的な携帯電話システムの概略図を以下に記載します。実際には携帯電話システムは非常に複雑で、様々な付帯設備がありますが、ここでは省略します。

携帯電話システム概略図

携帯電話システム概略図

システムには、端末、基地局、コアネットワークと、大きく3つの設備が使われています。この3つの設備が使われる基本構成は4Gでも5Gでも同じです。 この携帯電話システムと端末の間で信号のやり取りが行われていますが、流れている信号は大きく分けると以下の2種類です。

U-Plane ユーザープレーン。実際に利用者が通信ネットワークを使う際に送ったり受け取ったりするデータトラフィック
C-Plane コントロールプレーン。端末がシステムに接続するために必要な手続きなどを行う制御信号

4Gと5Gの基本構成は同じですが、5Gでは新たな技術や機能が搭載されていることもあり、システムの仕様が異なります。この為、4Gの設備をそのまま使って5G通信を行うことはできません。
4Gと5Gの設備を全て同時に並行稼働させるのは非常に難しい為、4Gから5Gへの切り替えは幾つかの段階を踏んで実施します。
まず、コアネットワークは4G用の設備をそのまま使い、基地局のみ5G用の設備を追加します。

5G NSA構成

5G NSA構成

この構成を、NSA(Non Stand-alone)と呼びます。U-Planeは5Gシステム、C-Planeは4Gシステムを使用する方式です。

通信事業者の5Gサービスは全て、この方式を使って開始しています。
図の通り、この方式は4Gコアネットワークを使用します。4Gの設備を一部流用する為、5Gの特徴である「超低遅延、多数同時接続」は実現できません。まずは私たち一般ユーザーの期待の高い「超高速・大容量」通信を先行して実現する為の構成です。

このシステムでは4G/5Gの基地局を並行稼働させますが、全国エリアをカバーする為には多数の基地局設備の追加設置が必要となります。

その為、サービスは全国同時に一斉開始とはならず、主に大都市圏やイベント会場などから設備を追加し、少しずつ広がっていきます。

「これから」5Gサービスの本格化

ここまで、サービス開始直後の5Gの状況をご説明しました。
では5G本来の機能が使えるようになるのがいつなのか、自分がいる場所でサービスが使えるようになるのはいつなのか、疑問に思う方もいらっしゃると思います。

各通信事業者は、2022年から、C-Plane制御も5Gシステムを使うSA(Stand-alone)方式でのサービスを開始する予定です。

5G SA構成

5G SA構成

この構成では、「超高速・大容量」だけでなく「超低遅延」「多数同時接続」を活かした様々な5Gサービスが実現できるようになります。
ところで、5G SA構成の概要図では「C-Plane制御」「U-Plane制御」という2つの設備がコアネットワークの枠内にあることにお気づきでしょうか。この構成は低遅延を実現する5Gの特徴のひとつですが、詳細は次回ご紹介したいと思います。

また5Gのエリアについては、総務省より、2023年度に人口カバー率9割との目標が提示されています。
大都市において巨大ターミナル駅周辺のごく一部で開始された5Gサービスですが、それから1年ほどでエリアはかなり広がりました。東京23区であれば山手線の多くの駅で5Gが使えるようになっています。
このように、各社とも着実にエリアの拡大を進めています。もし今いる場所で使えなくても、来月には使えるようになるかもしれません。
私たちの見えないところで、通信事業者はエリア拡大、5Gサービス本格化に向けて様々な準備を進めており、CTCは陰ながらそれを支援しています。
次回は技術的な5Gの特徴についてご紹介いたします。

著者

中島 暁子

中島 暁子

2002年入社。衛星通信運用業務を経て、2008年より地域WiMAX、Wi-Fiなど無線関連のサービス企画、プリセールス、導入作業に携わる。 現在はCTCグループの5G/ローカル5GにおいてRAN領域全般を担当。

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