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ローカル5Gコラム

第1回 ローカル5Gとは?

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第1回 ローカル5Gとは?

ローカル5Gと比較される規格である自営BWAとWi-Fi6についてなど、それぞれの特徴や違いを法令の視点から解説します。

皆さんご承知おきの通り、5Gとは4Gを発展させた新たな機能を持つ次世代移動通信システムです。主な特徴として、これまでの4Gより、超高速・大容量、超低遅延、多数同時接続の通信が可能となります。本コラムではローカル5Gと比較される規格である自営BWAとWi-Fi6についてなど、それぞれの特徴や違いを法令の視点から丁寧に解説します。

1.2020年は 『5G』 year

オリンピックイヤーの2020年に入り、『5G』というワードを見聞きする機会はますます増えてきましたが、実はもう一つ、2019年末にモバイル通信に関する大きな動きがあったことをご存知でしょうか。

それは、『ローカル5Gが利用できる法令が制定された!』ことです。

「ローカル5G」というキーワードは聞きなれない方も多いかもしれませんが、通信業界では今、非常に注目されているキーワードです。「ローカル5Gを導入・活用していくには、何を準備する必要があるのか?」まず、主に法令の視点からご説明していきます。

詳細な話に入る前に、『5G』と『ローカル5G』の違いを整理しましょう。

2.5Gとローカル5Gの違い

『5G』と『ローカル5G』は、無線の規格は同じで、5G(第5世代移動通信システム)として国際的に承認された規格です。

5G規格の特徴は、『超高速・大容量』、『超低遅延』、『多数同時接続』の3つと言われています。

これらの特徴により、モバイル通信は革命的な躍進を遂げると考えられます。

では、『ローカル5G』と普通の『5G』の違いを見ていきましょう。

『5G』は認可を受けた携帯事業者(MNO)が、日本全国で広くエリアをカバーして大規模な通信システムを展開します。これに対して『ローカル5G』は、地域や特定の敷地にエリアを限定し、使用する通信システムです。

つまり、自治体や企業が特定の範囲内に独自の5Gネットワークを構築し、使用することができる、これがローカル5Gです。

『5G』も『ローカル5G』も無線通信の為、同一周波数だと双方が電波干渉を起こし、通信劣化や通信断が発生してしまいます。その為、それぞれに異なった周波数が割り当てられています。

『5G』は先行して各MNO事業者に周波数が割り当てられていましたが、2019年12月に法令が制定され、ローカル5G用の周波数(先行周波数)が割り当てられたことで、利用できるようになりました。

『5G』『ローカル5G』いずれも利用促進に向けて、今後通信業界が賑わっていくと思われます。

3.自営BWAとWi-Fi6

LTEによる自営網「自営BWA(プライベートLTE)」

ここで、ローカル5Gとよく比較される規格である『自営BWA』と『Wi-Fi6』についても簡単にご紹介します。まず『自営BWA』とは、5Gではなく、4G(LTE)を特定のエリアで使用する通信システムです。(つまりローカル5GのLTE版です) 自営BWAに関する法令は、ローカル5Gと同様に2019年12月に制定されました。自営BWAは「プライベートLTE」とも呼ばれ、LTEであるため5Gより通信速度などは劣りますが、既出の技術を活用しますので比較的導入のハードルが下がると言えます。5Gほどの高スペックは必要ない、という通信網であれば、このプライベートLTE(=自営BWA)の導入が選択肢になると考えられます。

次世代Wi-Fi規格「Wi-Fi6」

『Wi-Fi6』は、Wi-Fiの次世代規格IEEE.802.11axとして2019年9月にリリースされ、既に導入が進められています。

従来のWi-Fiと比べ、大幅に通信容量・速度が向上しています。Wi-Fiですのでもちろん利用にあたっての免許は不要(アンライセンス)です。その為無線の混雑などの懸念はありますが、導入のハードルは自営BWAとは異なる意味で低いと言えます。

CTCグループでは、『Wi-Fi6』についても積極的にお客様への導入を行っております。

4.必要な準備、手続き

『ローカル5G』、『自営BWA』は、キャリアグレードの高スペックの通信システムを各企業や団体が使えることで、無線通信の可能性がさらに拡がる夢のような試みです。一方、これらの利用には電波法で定められた準備や免許申請などの手続きが必要です。

主に以下のような準備が必要となります。

  1. 使用する設備の用意(基地局、端末、コア装置、ネットワーク機器、配線系など)
  2. 無線のエリア設計を実施し免許申請書類を作成
  3. 必要に応じて各種の事業者間調整を実施
  4. 総務省への申請や届出、質疑応答を実施
  5. 免許交付後の無線従事者(有資格者)による設備の運用

必要となる準備事項(例)

  • 構築する無線ネットワークの種類やロケーションによっては、その他にも必要な対応が発生します

いかがでしょうか。
言葉だけ並べてもこれらの準備で具体的に何をやる必要があるのか、ピンと来ないかもしれませんね。

次回はこれらの準備について、もう少し詳しくご紹介していきます。

著者

中島 暁子

中島 暁子

2002年入社。衛星通信運用業務を経て、2008年より地域WiMAX、Wi-Fiなど無線関連のサービス企画、プリセールス、導入作業に携わる。 現在はCTCグループの5G/ローカル5GにおいてRAN領域全般を担当。

  • 本コラムは2021年12月現在における技術情報の加筆・修正を加えた再編集版となります。
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