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ローカル5Gコラム

第3回 ローカル5G利用準備の際によくあるご質問

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第3回 ローカル5G利用準備の際によくあるご質問

ローカル5Gの免許申請に係る準備で頂いたお客様のお悩みやご相談への回答をご紹介します。

2019年12月に関連法令が制定されてから、様々なご相談をいただいております。
今回はその中から代表的なものをいくつかご紹介したいと思います。

1. よくあるご質問

実験免許と商用免許の違いとは?

お客様によくご質問頂くのは「実験免許」と「商用免許」はどう違うのか?というご質問です。

ローカル5Gで取得可能な「商用免許」(「自営用免許」とも呼ばれます)は、2019年12月に免許申請可能となった28GHzのNon-Standalone(以下NSA)構成、2020年12月に免許取得可能となった4.6GHz帯のStandalone(以下SA)構成のみです。

対して、商用免許で取得出来ない周波数を使う、あるいはドローンなど商用免許での利用が認められていない機器を使いたい、といった時に登場するのが「実験試験局」という免許です。

こちらを申請することで、商用免許で認められていない検証を行うことが可能になります。
ただし実験試験局の免許申請は、商用免許とは異なり、幾つかの追加の対応が求められます。

具体的には、

  • 実験計画書の作成が必要
  • 相談先は地方の総合通信局ではなく、総務省(本省)である

総務省は全国の同様の案件を一手に担っている為、地方総合通信局への商用免許申請に比べて審査時間が長引く傾向にあり、商用免許よりも免許交付までに時間がかかるのが一般的です。さらに追加の書類や作業も発生する為、商用免許に比べてハードルが高いということを念頭に置き、検討する必要があります。

28GHz帯の使い道には何がある?

28GHz帯は前述の通りNSA構成です。28GHz帯は遮蔽に弱く利用が難しい周波数の為、免許申請については慎重になっているお客様が多く見受けられます。
(余談ですが、28GHz帯は5Gにおいてミリ波と呼ばれている周波数帯です)

では、28GHz帯はどういった用途であれば利用価値があるのでしょうか。

28GHz帯のメリットとして1つ目に挙げられるのは大容量通信です。他にローカル5G割当帯域として検討されているSub-6帯と呼ばれる周波数帯のうち、4.6GHz-4.8GHz帯は帯域が200MHzで、かつ屋内限定利用です。屋外で利用可能なSub6周波数帯4.8GHz-4.9GHz帯の帯域は100MHzです。一方で、28GHz帯は2020年末に帯域が900MHzまで拡張されました。その為、映像や動画などの大容量通信にローカル5Gを利用する場合の候補として挙げられることが考えられます。

2つ目のメリットは遮蔽に弱いことです。遮蔽に弱いことはデメリットとして考えられることが多いですが、逆にこれを活かすことで、特定エリアだけで使わせる利用方法が考えられます。
例えば屋内であれば壁1枚隔てた隣のエリアや外に電波が漏れる可能性は低く、秘匿性が高い場所では候補になると考えられます。屋外でも建物などに遮られる為、エリア設計がしやすいというメリットもあります。

スタジアムやコンサート等の大規模イベント等への活用も期待されています(イメージ)

スタジアムやコンサート等の大規模イベント等への活用も期待されています(イメージ)

免許申請は先行者が優位になるのか?

「自分達が先にローカル5Gを先に使い始めて、後から隣の事業者が使いたい、と言ってきた時は、調整する必要はないですよね?」というご質問をよく受けます。

ローカル5Gは先行優位ではなく、後から隣接する事業者がローカル5Gを使う場合は、そちらとの事業者間調整を行う必要があります。その為、例え先に利用を始めていても、自分達のカバーエリアが隣の事業者のカバーエリアと重複している場合は調整が必要となるのです。
逆に、既に隣の事業者がローカル5Gの電波を送信していても、こちらが利用を開始するので電波を調整してください、と言う権利があるということです。

最初に調整したらそれで終わり、とならないところがこの制度のポイントです。

免許人の単位とは?

例えば一企業で全国に複数工場を持っていて、それぞれでローカル5Gを使う場合、免許はそれぞれの工場で個別申請が必要になるのでは?と思われるかもしれません。

しかし、免許人の単位は「法人単位」です。(法人登記単位での免許所有となります)
複数の事業所に基地局を設置する場合も、免許人は全て法人名となります。その為、利用する事業所が追加となる場合は、免許も追加の開設申請が必要です。

事業所ごとに免許人を分けることは出来ないということを考慮し、手続きを進めていきましょう。

エリア設計シミュレーションについて

サービスとしてご提供しているローカル5Gの利用エリア設計シミュレーションについて、「免許申請時の提示資料として有効なものか?」というご質問を受けました。

答えは「No」です。

なぜならば、エリア設計シミュレーションに使われているソフトウェアの大半は、法令に定められているローカル5G利用エリア(カバーエリア及び調整対象区域)の求め方と、異なる計算式を使用しているためです。
総務省が提示しているガイドラインのカバーエリアと調整対象区域は、電波法関係審査基準で示された計算式によって求める必要があり、ローカル5Gソリューションでは、この計算式を用いて作成しています。

では、シミュレーションソフトウェアは必要ないのでは?と思われる方もいらっしゃるかと思います。

ソフトウェアを使用したエリア設計シミュレーションは、希望するカバーエリア(サービスエリア)をより正確に設計する為に使われます。ローカル5Gは免許を申請し、予備免許が交付されないと電波を送出出来ない為、試しに電波を送出してみてどこまで届くか調べることが出来ません。その為、実際に無線局を設置したら、使おうと思っていた場所に電波が届かない、といったことが起こる可能性があります。

カバーエリアと調整対象区域を計算する際は、利用エリア及び周辺の地形や建物を細かく考慮しませんが、シミュレーションソフトウェアはこういった現地の情報も細かく入力して算出します。その為、実際にある位置に無線局を置いた場合、どこまでカバーエリアになるかをより詳細に求めることが出来ます。

事業者間調整は誰と行えばいいの?

免許を取得するにあたり、他者へ電波干渉を与えてはいけない、電波の利用時は事前に事業者間調整を行う必要があることを第2回目のコラムでお話しました。

では、実際に免許申請を行うときは、具体的に誰と電波干渉に関する調整を行えば良いのか?こちらもよく質問いただく内容です。 事業者間調整の相手は、各総合通信局から提示されます。
どのような事業者と調整する可能性があるかは、利用(申請)する周波数によって異なります。

利用周波数ごとの調整対象事業者

実際には利用する周波数、帯域幅など、申請内容に応じて上記表に記載された調整先の中から調整が必要な事業者が提示されます。

2.CTCグループが解決します!

今回はローカル5Gの検討にあたりお客様から頂いた様々なご質問のうち、代表的なものをピックアップしてご紹介しました。

本コラムでご紹介した、エリア設計シミュレーション、免許申請に必要なカバーエリアの計算、実験試験局の免許取得支援はもちろんのこと、免許取得後に発生した事業者間調整や、ローカル5G検討段階での要件定義のご支援も行うことで、皆様のローカル5G利用を全面的にご支援します。

著者

中島 暁子

中島 暁子

2002年入社。衛星通信運用業務を経て、2008年より地域WiMAX、Wi-Fiなど無線関連のサービス企画、プリセールス、導入作業に携わる。 現在はCTCグループの5G/ローカル5GにおいてRAN領域全般を担当。

  • 本コラムは2021年12月現在における技術情報の加筆・修正を加えた再編集版となります。
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※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。