CTCLS、米国Appistry社のGATKの国内初の販売代理店契約を締結

次世代シークエンサーのデータ解析を高速、効率的に行い解析品質を標準化

2014年04月23日 CTCライフサイエンス株式会社

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(略称:CTC)のグループ会社で、製薬を始めライフサイエンス業界にシステム提供を行うCTCライフサイエンス株式会社(代表取締役社長:横山 良治、本社:東京都世田谷区、以下:CTCLS)は、ライフサイエンス業界向けビッグデータソリューションの提供を行う米国Appistry Inc(本社:米国ミズーリ州、President and CEO:Kevin Haar、以下:Appistry社)とゲノム配列解読装置である次世代シーケンサーのデータ解析に特化したソフトウェア「GATK Genome Analysis Toolkit(以下:GATK)」の国内初の販売代理店契約を締結しました。GATKの販売から、GATKを利用したワークフロー作成支援、日本語でのQ&Aサポート、ビッグデータに対応可能なストレージや大規模コンピューティングなどのお客様の状況に応じたIT基盤の構築までワンストップで提供します。売上目標は初年度2億円です。

GATK について

GATK は、米国のバイオメディカル研究機関Broad Institute of MIT and Harvard(以下、BI)が開発し、2009年より無償配布が開始された次世代シーケンサー(NGS)※1 のデータ解析ソフトウェアです。これまでに、全世界で1,000ユーザー以上に利用され、ヒトの遺伝的多様性に関するカタログを確立するための国際共同研究である1000ゲノムプロジェクト※2 や、米国のがんゲノム研究プロジェクトであるThe Cancer Genome Atlas※3 でも採用されています。
学術機関のみならず一般企業での利用が拡大したことから、学術機関向けの無償配布は継続しながら、2012年Appistry社が世界で唯一の販売サポート権利をBI社から取得し、企業向けに商用版のGATKライセンスを販売、有償によるインストール作業・ドキュメント・サポートサービスを提供しています。Appistry社が企業向けに販売サポートを行うことで、BIはソフトウェア開発における機能拡張に向けてリソースを集中できる体制となりました。

GATKの活用事例と特長

GATKは、次世代シーケンサーで生成された大量データから遺伝子の変異解析ができ、腫瘍のサンプルを用いて、特定の癌の重要な体細胞変異を発見するがん研究の分野や、遺伝疾患の配列変異の可能性を探るバイオマーカーの発見/予測分野などで活用されています。GATKの、主な特長は以下の通りです。

  1. 約70のプログラムから構成され、複数のプログラムを組み合わせた解析フローが構築できます。
  2. 次世代シーケンサーから得られたBAMファイル※4 形式の1次データ品質の解析前チェック機能により、未チェックのデータ解析に比べてより正確な結果を効率的に得ることが可能です。
  3. 2つの遺伝子変異検出機能の組み合わせにより、解析結果の高精度化を可能にします。

GATK概略図

GATK概略図

Appistry社について

2001年に設立したビッグデータ解析・運用に対するソリューション提供を行う企業。アプリケーションの対応範囲は医学、金融、情報通信など広範に渡り、高性能コンピューティングと独自の解析技術を複合したハイスループットでスケーラビリティに富んだソリューションを提供します。昨今のライフサイエンス業界においてNGSによる遺伝子変異解析に基づいた個別化医療・診断の需要が高まり、NGSから生成する膨大データの解析・運用に対するニーズに対応するため、ライフサイエンス分野関連のビッグデータ解析・運用に注力し、ビジネスを進めています。

Broad Institute of MIT and Harvardについて

ハーバード大学と米国マサチューセッツ工科大学が共同で運営する研究施設で、2003年に米国ロサンゼルスの慈善活動家であるEli及びEdythe L. Broad夫妻により設立されました。ゲノムベースの知見に基づいた個別化医療の研究に重点を置いており、疾患の治療や診断方法における新規ツール、手法や科学コミュニティ全体に公開可能なデータの開発を行っています。

  • ※1次世代シーケンサー
    遺伝子配列の解読を行う装置で、蛍光や発光などを用いた検出方法により塩基配列を同時並行的に解読することが可能なシーケンサー機器の総称。大幅な解析能力の向上を実現しています。
  • ※21000 ゲノムプロジェクト
    ヒトの遺伝的多様性に関するカタログを確立する国際共同研究で、異なる民族グループの匿名1000人以上の配列解析を目指していることに名称が由来。疾患の原因探索を行う上で基礎データとなるゲノム変異を特定することが可能になり、公共で利用できるゲノム研究データセットを準備することがプロジェクトの目的。
    http://www.1000genomes.org/
  • ※3The Cancer Genome Atlas
    米国立衛生研究所(NIH)の機関である米国立癌研究所(NCI)と米国立ヒトゲノム研究所(NHGRI)が資金提供する共同プロジェクト。がんの予防・治療に有用ながん関連遺伝子変異の解明を目指す。
    http://cancergenome.nih.gov/
  • ※4BAMファイル
    遺伝子配列のマッピング結果の統一フォーマットの1つで、NGS解析で多く利用されるバイナリ形式のファイル。

本件に関するお問い合わせ先

CTCライフサイエンス株式会社
マーケティング部

E-Mail:ls-marcom@ctc-g.co.jp

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