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|特集|既存のクラウドを超える 今、ITは新たなステージへ

特別対談 IDC アナリスト×CTO Disruption時代のSI企業の役割

人工知能、ロボット、IoT(Internet of Things)─、IDCが「第3のプラットフォーム」の出現を予測し、CTCがクラウドサービスを開始した2007年からIT業界は大きく様変わりしている。
システムは記録するためのもの(SoR:System of Record)から人とモノをつなぐためのもの(SoE:System of Engagement)となった。
ITの機能を利用する環境が本格的に整った世界について、今をどのように捉え、未来にどう臨むのか、ITの黎明期から業界を見てきた2人が語り合った。

デジタルトランスフォーメーションの規模が拡大

中村
ITを活用したビジネスの変化を見ていた中で、IDCではテクノロジーに関する意思決定の方法論を昨年、IDC DecisionScape※1として策定しました。基幹系に特化した新たなクラウドサービス「CUVICmc2」の開始で、CTCのクラウドビジネスも新たな段階に入ると認識しています。今を時代の転換点として捉えられていることに共通するものを感じます。今日は、CUVICmc2を開始する意図やCTCの技術の方向性についてもお伺いしながら、国内IT業界の将来について話していきたいと思います。
大久保
IDCが提唱している“第3のプラットフォーム※2は2007年の発表当初から意識してCTCでも取り組みを進めています。年に数回、北米を中心にITベンダーを訪問し、国内ITの世界での位置付けを肌で感じるようにしているのですが、直近のIT業界で起こっている「価値」の転換についてもお話ししたいと思います。
中村
昨年末IDCは、2016~2018年のIT業界に関する予測をIDC FutureScape※3として発表しました。IT技術の進展でエンドユーザー企業のビジネス構造が大きく変化しており、これをデジタルトランスフォーメーション(以下:DX)として予測の主軸に据えています。DXとは、スウェーデンのストルターマン教授が、“より良い生活”を目指して、ITが生活に浸透してすべてのモノをつなげていく様子を命名したものです※4。IDCでは、“企業が第3のプラットフォーム技術を利用し、イノベーションを通じて価値を創出し、競争上の優位性を確立すること”とDXを解釈しています。先日の予測では、今後2年間で世界的にDXエコノミーが急拡大するとみており、エンドユーザー企業はそこでイニシアチブを取ること、SI企業はそれに貢献することが大きな経営課題になるでしょう。
大久保
いわゆるdisruption(破壊)ですね。クラウドやAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を活用して、従来にないビジネスモデルで身軽に市場参入してくる。これが既に大規模なシステムを持たれているお客様にとって脅威になります。CTCはもちろんお客様のDXを全面的に支援します。しかし、技術の調達が容易になったことでお客様自身がIT企業となる可能性もあり、私たちSI企業も今まで通りにお客様を支えるだけでは生き残れないと感じています。つまり第2のdisruptionが現実のものになってきたわけです。
  1. IDCが提供する意思決定の方法論をまとめたポートフォリオのこと。
  2. モバイル、ソーシャル、ビッグデータ、クラウドの4要素で構成されるITプラットフォームのこと。第1のプラットフォームとはメインフレームと端末、第2のプラットフォームとはクライアントサーバシステム。それに次いで2007年からIDCが提唱している。
  3. 前年までのPredictionsを拡張した方法論で、企業のビジネス部門およびIT部門のニーズに応えるIT市場の現状と3年間の将来にわたる予測を提供する調査レポートのこと。IDC DecisionScapeの1つ。
  4. Erik Stolterman and Anna Croon Fors,“ Information Technology and the Good Life”, Information Systems Research:Relevant Theory and Informed Practice, Kluwer Academic Publishers, 2004.

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