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|特集|既存のクラウドを超える 今、ITは新たなステージへ
特別対談 IDC アナリスト×CTO Disruption時代のSI企業の役割

ITエンジニアリング力を持ったビジネスインキュベータを目指す

中村
少し長いスパンではどのようにお考えでしょうか。IDC FutureScapeでは、DXの進展に伴い、業界再編が起こり、2020年には今日存在しているITベンダーの30%以上が姿を消すと予測しています※7。DXが浸透した市場では、新しいテクノロジーやビジネスモデルの登場が頻繁に発生し、先ほど第2のdisruptionといわれた通り、ユーザー企業の技術力の向上も伴ってSI企業の選別が厳しくなるでしょう。そこで、今までお聞きした取り組みの先にはどのような構想をお持ちでしょうか。
大久保
一言で言えば、「ITエンジニアリング力を持ったビジネスインキュベータ」を目指しています。先ほどの話に出ていた「イノベーション・パートナー」を推し進めた形です。つまり、お客様のビジネスモデルの創出からCTCが関わる体制を築くことです。セキュアなクラウドという基盤上で、いまだ存在しないモノやコトを生み出すデザイン思考を中心に、アジャイル開発やDevOpsなどの手法を駆使して、お客様の業務変遷に合わせて柔軟に変わっていくシステムをイメージしています。
中村
システムの役割は、第3のプラットフォームの台頭に伴い、記録するためのもの(SoR:System of Record)から人とモノをつなぐもの(SoE:System of Engagement)に比重が移ってきています。そして今度は、価値を創造するためのもの(SoI:System of Insight)に移るという動きに呼応していますね。具体的には、クラウドイノベーションセンターを拡充してCTC Agilemixを強化していくということでしょうか。
大久保 忠崇

大久保 忠崇

CTC 取締役 兼 常務執行役員 ITサービス事業グループ担当役員 兼CTO。1981年伊藤忠データシステム(現CTC)に入社。金融システム開発、システム基盤開発、情報システム担当兼CIOなど幅広い事業の責任者を歴任。

システムの役割

システムの役割 概念図
大久保
さらにビジネスモデルそのものも変えていきます。
クラウド関連の技術を核として投資型のビジネスを展開していきたいと考えています。文字通りのインキュベーション・ビジネスです。ITによる価値の創造に関連して、CTCのリスクでDevOps環境を構築し、システム開発を実行することで、お客様のビジネスを支えていく仕組みです。現在、取り組んでいるサービス型ビジネス強化の先にあるビジネス形態とも言えます。
中村
そうなるとエンジニアの役割も大きく変わってきますね。
大久保
これまでのように営業が話を聞いて、エンジニアが設計し、提案していくような従来型の営業とSEという業務の区分から脱却する必要があります。より広範に、そして、よりクリエイティブに活動していかないと到底目指す姿に近づけません。将来的には、ビジネス創出のお手伝いをする「プロデューサー」、デザイン思考で問題を解決していく「クリエーター」、状況に応じて様々なスクリプトや言語を使い分け、高速に最適なプログラミングができる「ITスペシャリスト」という区分を思い描いています。
中村
かつてエンジニアが技術力だけではなくコミュニケーション能力が重視されるようになった頃のように、今また、創造力やデザイン力という新しい側面が1つの条件となるような、時代の転換期だということですね。
大久保
次の世代が思う存分イノベーションを実行できる新たなSIビジネス環境をつくっていくことが今から楽しみです。
中村
CTCを含めた皆さんと、そのような時代に立ち会い、業界に寄与していける状況をうれしく思います。ありがとうございました。
  1. IDC Japan 株式会社の2015年12月9日のプレス発表『~デジタルトランスフォーメーションの規模拡大を牽引せよ~ 2016年版 世界と国内のIT市場に関する予測を発表』参照。
出典:Best Engine Vol.0

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