コラム

サーバーロードバランス(SLB)の歴史

第3回:SLB技術2020年以降のトレンド

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サーバーロードバランス(SLB)の歴史

2020年以降のSLB機器が担う技術トレンドの変化や拡大について紹介します。

「サーバーロードバランス(SLB)の歴史」の第3回目は2020年以降に焦点を当てたいと思います。

2019年以降、COVID-19の流行によりADC業界においても無視できない変化が訪れることになりました。ADCについては前章からの進化や、競合他社との競争を含め機能の追加を余儀なくされており、認証やSSL-VPN関連の機能を併用することが基本となってきた時代でもあります。

特にVPNの利用は特定の業種や職種に特化している部分が多かったのですが、COVID-19の流行によりVPNを利用したリモートワークの需要が爆発的に流行しました。

VPNの利用は以前からも実施されていましたが、クライアント側のソフトウェアに依存しない利用ブラウザのコンポーネントを利用するSSL-VPNの飛躍的な利用が特徴の1つです。

VPN リモートワーク(テレワーク)

VPNによるリモートワークについてですが、通常我々従業員がオフィスで端末を操作し、業務を遂行していくことが通常です。リモートワークとはその従業員が自宅もしくはPCが利用できるインターネット環境と端末を有していれば、どこでもオフィスに出社したように業務が実施できる環境を指します。

業種によっては難しいところもありますが、特にIT業界ではリモート環境においても過不足無く実施できる業務が多く、出社制限等の状況から実施を早急に行う必要があったという背景があります。

特にCOVID-19をきっかけにリモートワーク、テレワークが許可され一般的になったことはこの出来事からであったと言っても過言ではありません。皆様においてもこの出来事を皮切りにテレワークが定常となったという企業の方も多いのではないでしょうか。

その点においてリモートワークを実現するVPN、SSLを利用したSSL-VPNはSSLをアクセラレーションでき得るADC製品にはうってつけの機能であり、認証機能も併用して実装できることから更に需要が高まることになりました。

図1:SSL-VPN 環境イメージ

図1:SSL-VPN 環境イメージ

FowardProxyコントロールによるクラウドサービスの利用

SSL-VPNを始めとしたリモートワークの普及に伴い、これまでも利用されていたクラウドサービスも著しく普及していきました。特に企業にとっては定常的に利用されるMicrosoft 365等は必須の要件である企業が多いと言えます。

Microsoft 365に限った話では無いのですが、通常企業は直接インターネットにアクセスできる環境にはせず、社内のProxyサーバを利用してインターネット環境に接続させる方式が一般的です。これは途中のProxyサーバ側にて何らかのセキュリティ的な対策や、宛先の制限をするために必要となっています。

ただしこのProxyサーバは企業内全てのユーザを管理、制限する必要があり、その負荷は決して低くはありません。更にMicrosoft 365のようなクラウド上での多数サービスを実施するとなると、1クライアントのアクセスが数十のセッションに膨れ上がることになります(Microsoft 365全体では1ユーザ当たり30~40セッションを消費すると言われています)。

これは通常のインターネットサービスと比較しても過剰なセッションと言わざるを得ません。それらを全てProxyすることは効率やネットワークトラフィック、1番にはProxyサーバへの多大な負荷をかけることになります。

そのためMicrosoft 365のような信頼されたサービスであれば、Proxyサーバでの接続を軽減し、Forwardさせるという技術がForwardProxyの技術としてADC側に実装されるようになりました。
ADCにはクラウドサービスかどうかを判断させるためのルール(URL, IP address等)を設定し、その条件にHitした場合はProxyによる制御を省略し、宛先サービスへそのままアクセスさせるという動作を実行します。

単純にForwardさせるだけという動作であれば、途中のルータやスイッチにも可能なのですが、Proxyサーバへのコントロールを詳細に設定できるADCにこの役割が適切となり、近年のトレンドとなっています。

図2:Forward Proxy接続イメージ

図2:Forward Proxy接続イメージ

F5 BIG-IP での利用

これまでSLB, ADCの歴史を振り返り、それぞれの機能や実装を解説させて頂きましたが、F5製品であるBIG-IP製品はこれらの機能を余すところ無く実装している製品となります。ここでは語っていない技術も含まれておりますが、HTTPサービスの充実した保護(ASM, APM, AFM)や、SSL-VPN関連で肝となる認証やセキュリティ機能に関して十分な対策が可能な機能を実装しています。

またクラウドサービスを想定した機能の実装や、BIG-IP自身でのクラウド対応(AWS, Azure, GCP, etc)も実装されており、利用者側のニーズに沿った機能を提案できるような需要にも応えられます。

CTCテクノロジーではF5製品を2004年より取り扱い、インターネットサービスの黎明期からクラウドサービスが当たり前になった現在までサポートを続けている実績がございます。前述したHTTPサービスの充実した保護、認証やセキュリティなどについてお悩みの方は、ぜひ弊社にお声がけ下さい。

著者

CTCテクノロジー株式会社 テクニカルサポート本部 テクニカルサポート第3部 渡辺 健太

CTCテクノロジー株式会社
テクニカルサポート本部
テクニカルサポート第3部
渡辺 健太

1999年CTCテクノロジー株式会社に入社。
入社よりネットワークのサポートエンジニアを勤め続け現在に至る。
Cisco以外のネットワークで育った異端児ネットワークエンジニアという側面を持つ。

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