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Technical Report

「シンプル化」プラットフォーム SAP HANAのデザイン

ハードとソフトの革新がSAP HANAのRun Simpleを実現

SAP HANAは、ハードウェアとソフトウェア両方の革新を融合して実現したインメモリ・コンピューティング・プラットフォームです。①インメモリテクノロジー ②分析・更新処理を高速実行する仕組み ③最新のCPUテクノロジーをベースに「圧倒的な高速性」を実現しています。

①インメモリテクノロジー

ハードウェアの革新に伴い、サーバに搭載できるメモリは今や数テラバイトに及びます。また、メモリのアクセス速度はHDDに比べて、10万倍以上です。そこで、メモリの能力を徹底的に活用すべく、正しいデータをメモリに置くようソフトウェア・アーキテクチャを根本から開発しました。

しかし、業務で使用するDBは信頼できるものである必要があります。一般に、更新処理が完全に処理されること(Atomicity)、データが無矛盾であること(Consistency)、関係ないデータに影響しないこと(Isolation)、データが永続すること(Durability)という4つの特性(ACID特性)を満たさなくてはなりません。SAP HANAが、揮発性のメモリにデータを置くことでDurability(永続性)への懸念が発生しますが、データ更新の差分ログをHDDに書き込んでいくことでその問題を払拭しています。

②分析・更新処理を高速実行する仕組み

ソフトウェアレベルでは、まず、通常のDBにあるような集計用の中間テーブルを排除しています。つまり、DBの構成そのものが非常にシンプルになっています。

また、データの保存は行型のテーブルと列型のテーブルを組み合わせているので、分析処理と更新処理を1つのDBで行うことができます。列型テーブルはビッグデータ用のDBとしても採用される技術で、分析で高いパフォーマンスを発揮し、さらに、整数や文字列などの値の属性が同じであると、データの圧縮率が高くなる特徴があります。これにより、二重、三重のデータ圧縮が可能となり、メモリの節約にも貢献します。

③最新のCPUテクノロジー

マルチコアなCPUやマルチCPUを活用した並列処理、複数データを一括処理する仕組み(SIMD:SingleInstruction Multiple Data※1)を徹底しており、さらなる高速化を実現しています。

このような革新的な技術によりSAP HANAでの「シンプル化」が実現し、ビッグデータの本格活用やビジネスプロセスの拡張と最新化ができるようになり、急速に変化する世界に対応できるようになりました。

“デザインシンキング”を軸に再創造を行い、企業を支援する

SAPは、SAP HANAアーキテクチャで企業のデジタルトランスフォーメーションを支えていきます。デジタルエコノミーが定着した今、各企業にはさらに無限のビジネスチャンスが広がるものと考えており、3つの戦略的領域で企業を支援していく方針を立てています。すなわち、ビジネスモデルそのものを一から見直す「ビジネスモデルの再創造」、同じプラットフォームで分析とトランザクションをリアルタイムで統合したことによる「ビジネスプロセスの再創造」、そして、仕事そのもののやり方を大きく変えていく「仕事の再創造」です。

この3つの再創造のプロセスを担うのは“デザインシンキング”で、SAPでは“人”との共感やコミュニケーションに基づいて問題を見つけ、解決する手法と定義しています。SAP HANAは、そのように人と人をつなぎ、夢を実現していくプラットフォームと位置付けられています。

  1. 単一の命令を複数のデータに適用する処理のこと。画像処理や物理演算で使用されている。
出典:Best Engine Vol.0

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