2025年10月10日
東海旅客鉄道株式会社
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
東海旅客鉄道株式会社(代表取締役社長 丹羽 俊介、以下「JR東海」)は、2023年より伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(代表取締役社長 新宮 達史、以下「CTC」)の支援を受けながら、超電導リニア機械設備の保全業務におけるデータ連携を実現する機械運用システム(Machine Operating System、以下「MOS」)を開発してきました。
本開発では、超電導リニア機械設備の保全を効率的かつ高品質に実現するため、ローコード開発基盤「OutSystems注1」と、検査設備管理ソフトウェア「SAP EAM注2」および帳票ソフトウェア「i-Reporter注3」を連携させたシステム構築を行いました。SAP EAMとi-Reporter、OutSystemsを連携したシステム構築は国内初の取組みです。
この度、一部の機械設備についてシステム構築が完了したため、2025年秋に山梨リニア実験線で運用開始しました。
1.開発の背景・目的
- JR東海は、リニア中央新幹線において、データに基づく機械設備の点検・保全業務の効率化や品質向上を実現するために、データ連携アプリケーションの導入を検討してきました。
- リニア中央新幹線の開業に向けた業務の変化にも対応しつつ、進歩が著しいICT分野の技術を柔軟かつ迅速にシステムに機能追加・変更ができるようにすることで、効率的な運営体制の実現を目指しています。また、その実現のため、OutSystemsを活用したアジャイル開発注4によりシステムの内製化に取り組むことで、鉄道事業の知見とともにシステム開発にも精通した人材の育成を推進しています。
2.システムの概要
- 開発したアプリケーションは、SAP EAMとi-Reporterを連携し、OutSystems上で定期検査結果や機械設備の不具合事象を管理することを実現しました。
- 定期検査の一部を機械設備のデータに基づき実施し、検査結果を帳票に自動で反映します。
- 生成AIが、定期検査計画を策定するとともに、作業者への作業指示が自動で作成されます。
機械運用システム(MOS)の概要
山梨リニア実験線で超電導リニア機械設備の保全に関するデータを連携
- 定期検査の一部をデータに基づき実施、電子帳票に自動反映し、保全業務を効率化
- 生成AIにより検査計画を策定、作業者への作業指示を自動で作成

3.開発の体制
- 今回のシステム開発は、リニア機械設備の保全に精通したJR東海の技術者が、CTCから技術指導の支援を受けながら進めました。
- CTCは、2015年からOutSystemsを取り扱っており、大規模システムの構築・保守・教育などの豊富な実績を活かして、JR東海へのOutSystemsの導入支援およびインフラ環境の整備も担当しました。
システムのアジャイル開発
JR東海とCTCで役割分担をしながらシステム開発体制を構築
- 今回、JR東海から開発者を選任し、CTCの支援を受けながらアプリケーションを実装。

4.今後の予定
- 山梨リニア実験線にて運用開始したMOSについて、対象の機械設備を順次拡大するとともにシステムのブラッシュアップを実施していきます。
- 注1 OutSystemsは、OutSystems社が提供する企業向けのローコード開発プラットフォームで、少ないコードで迅速にアプリケーションを構築することができます。
- 注2 SAP EAM(SAP Enterprise Asset Management)は、SAP社が提供する設備資産管理ソフトウェアで、物理資産のライフサイクルを通じた保全業務の統合管理を可能にします。
- 注3 i-Reporterは、シムトップス社が提供する現場帳票の電子化ソフトウェアで、紙帳票のレイアウトをそのまま活かしながら、現場での記録・報告業務をペーパーレス化・効率化します。
- 注4 アジャイル開発とは「計画、設計、開発、テスト、リリース」の一連の工程を短い期間で繰り返し行う開発手法です。仕様変更や顧客ニーズに迅速に対応できる等のメリットがあります。
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