2026年02月09日 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(代表取締役社長:新宮 達史、本社:東京都港区、略称:CTC)は、株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長執行役員:籔田 健二、本社:東京都千代田区、以下:MRI)との共同で次世代通信基盤「オール光ネットワーク※1(All Photonics Network、以下、APN)」と分散型データベース「TiDB(タイディービー)※2」を組み合わせた、分散型データセンターの実現に向けた検証を実施しました。電力消費を抑制しながら、データ処理能力を高める次世代インフラの構築を目指します。
近年、AIの活用による膨大な計算処理で電力需要が大幅に拡大する中、企業は環境負荷の低減と災害対策を目的にデータセンター(DC)を全国各地に分散する取り組みを進めています。しかし、現行の通信インフラでは距離に伴う通信遅延により、DC間でのリアルタイム処理やAIモデルの分散学習など低遅延が求められる分野での課題となっています。こうした背景から、総務省は2030年代のAI社会を見据え、従来の電気信号通信を光信号に置き換え、低遅延・大容量・低消費電力を実現するAPNを中核とした新たなデジタルインフラの整備を推進しています※3。
APNによる分散型DCの実用化は、複数の拠点でデータを効率的に処理・保存できるため、災害時における迅速なデータ復旧や環境負荷の軽減に貢献するだけでなく、通信・金融・医療など、リアルタイムかつ大容量の処理が求められる分野においても安定したサービス提供を可能にすると期待されています。
今回の検証では、APNを利用し、70km圏内の接続を想定した2つの仮想DCと3つのリージョン(区域)を構築してデータ分散処理の動作を検証しました。仮想DCに置く分散型データベース(DB)として「TiDB」を選択しました。TiDBは、高い可用性と拡張性を備えたオープンソースの分散型SQLデータベースです。データを小さな単位に分割して複数のDB間で複製し、更新時には全てのDB間で整合性を保ちながら自動的に同期する点が特徴です。
検証期間は2025年10月22日から10月28日までです。CTCは、検証用機器の調達、インフラの設計・構築、分散型データベース(TiDB)の設計・構築、ならびに検証プランの策定および実施を担当しました。MRIは総務省からの委託を受け、オール光ネットワークの簡易実証基盤を構築すると共に、ユースケース創出に向けた分散型データベース構想の検証をCTCに依頼し、本取り組みの実現に至りました。
今回の検証の成果は以下の通りです。
| No. | 評価観点 | 検証の成果 |
|---|---|---|
| 1 | APN環境での動作・性能検証 |
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| 2 | 冗長化・可用性 |
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今回の成果を踏まえ、次年度はより本格的な実証環境にて実際のダークファイバーを活用した長距離伝送の検証や、実運用を想定したシナリオに基づく技術評価を実施する予定です。
今後も2社は、分散型データセンターの実現に向けて、段階的に技術課題の解決に取り組みながら、将来的な商用サービスの展開を視野に入れて検証を進めます。
今回の簡易実証基盤上での検証イメージ
APN通信を使用した分散型DCの期待効果
- ※1オール光ネットワークは、光電融合技術を活用し、ネットワークや通信装置での電気信号と光信号の変換を最小限に抑えることで、低消費電力・低遅延・大容量を実現する通信技術。従来のネットワークでは中継装置で電気信号への変換が必要でしたが、オール光ネットワークでは光信号のまま処理を行うため、エネルギー効率が高く、超高速通信に対応が可能。5G/6Gやデータセンター間通信、AI・IoT分野など、膨大なデータ処理が求められる次世代インフラに不可欠な技術として注目されています。
- ※2TiDB(タイディービー)は、PingCAP社によって開発されたオープンソースの分散型SQLデータベース。MySQL互換を持ちながら、クラウドネイティブな設計により、オンプレミスやクラウド環境で柔軟に運用が可能。複数のノードにデータと処理を分散することで、水平スケーリング(スケールアウト)と高可用性を実現します。
- ※3総務省「Beyond 5G推進戦略2.0
」では、2030年代の情報通信基盤として、オール光ネットワーク(All Photonics Network:APN)を中核としたインフラ整備の必要性が示されています。
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